シーズン1の背景
『ホームランド』がスタートしたのは2011年。その背景には9.11世界同時多発テロ(2001) 後のアフガニスタン・イラク戦争がある。ニコラス・ブロディが拘束された8年間はアメリカがイラクに侵攻した2003年から、アルカイダの創設者ウサマ・ビン・ラーディンがパキスタンで殺害された2011年までと思われる。
原作はないが、ニコラス・ブロディの設定に近い実在の人物としては、ジェシカ・ドーン・リンチがいる。彼女はアメリカ合衆国の元陸軍上等兵で、イラク戦争中の2003年3月に捕虜となったが、無事に救出されて帰国し、「戦場のヒロイン」と喧伝されてメディアの注目を浴びた。
シーズン1の登場人物
()ネタバレを含みます。ドラマを見て確認したいことがあった時などにお役立てください。
キャリー・マティソン
(クレア・デインズ)
CIAエージェント。作戦本部に所属。双極性障害を患っているため不安定な面を見せ、一度決めたら周囲に構わず突っ走る性格もあって反感を買うことも多い。反面、テロを憎む気持ちは誰よりも強く、国益を守るためならカラダを使うことも厭わない愛国心の塊のような女性。
作戦実行中のイラクでアルカイダに囚われた協力者から、「アメリカ人の捕虜が転向した」と処刑直前に聞いたことから、英雄としてイラクから帰還したニコラス・ブロディをアルカイダの幹部アブ・ナジールと通じているスパイだと疑い、ブロディ邸を監視(盗撮)。ソールの命令で監視体制を解いたした後も独断で張り込みを続け、退役軍人の支援会に出かけて接触。ポリグラフを前に肉体関係に。
ニコラス・ブロディ
(ダミアン・ルイス)
アメリカ海兵隊軍曹。イラクで8年間、捕虜としてアルカイダに拘束されていたが、デルタ・フォースに救出され英雄として母国に帰還。家族とともに平和な暮らしを取り戻すが、PTSD(外傷後ストレス障害)に悩まされ、夜中にアラビア語で助けを求めるようになる。
CIAの取り調べでは一貫して否定し、ポリグラフもクリアするが、イラクではアブ・ナジールの息子アイサに英語とサッカーを教えていて、米軍の空爆で彼を喪ったのを機に、アブ・ナジールのために働くことを決意。アイサを死に追いやった米副大統領ウィリアム・ウォルデンに近づくため、下院議員選挙に出馬する。
ソール・ベレンソン
(マンディ・パティンキン)
ユダヤの血を引くCIA中東部門のチーフエージェント。10年前にキャリーを見出し、1から仕事を教えた恩師であり上司。
ブロディ宅の無断盗撮をはじめ無謀で勝手な行動に呆れ、信頼関係を裏切る行為に怒りをあらわにしながらも、彼女の洞察力と行動力、決断力を高く評価。トム・ウォーカーによる広場爆破事件の後、双極性障害を患っているのを知った時は「もうCIAには戻れない」と肩を落とした。
インド人の妻ミラとの時間を大切にするため、インド・ニューデリー支局への異動を希望するが、彼女との間には距離ができる。
デイヴィッド・エスティース
(デヴィッド・ヘアウッド)
CIAテロ対策センターの司令官。キャリーとは一時期、恋愛関係にあった。
イラクでブロディを発見したチームの指揮官。海兵隊上層部の意向を汲んでニコラスの復員を画策。その直後にキャリーがアブ・ナジールの消息に繋がる証拠をつかんできたため興奮を隠せない。
しかし、何の前触れもなくアブ・ナジールの名前と目撃情報を出したキャリーを信用しておらず、密かに調査を進める。82人の子どもの命を奪ったウィリアム・ウォルデンの無人機爆撃作戦の隠蔽に関わっている。
アブ・ナジール
(ナヴィド・ネガーバン)
アルカイダの幹部。捕虜として扱ってきたニコラス・ブロディを解放。家と自由を与え、息子アイサの英語教師として傍に置いていた。
そのアイサを無人機爆撃で殺しておきながら、その攻撃はアルカイダの捏造だと表明した米副大統領ウィリアム・ウォルデンへの復讐を遂げるため、反米テロリストをアメリカに送り込む。
アイサ・ナジール
(ローハン・チャンド)
アルカイダの幹部アブ・ナジールの息子。シャイで疑り深い性格だったが、自宅で英語とサッカーを教えてくれるニコラス・ブロディには次第に心を開き、信頼する。
ある朝、ニコラスに見送られて学校へ向かう途中でアメリカ軍の無人機の空爆に遭い、短い生涯を閉じた。
ジェシカ・ブロディ
(モリーナ・バッカリン)
ニコラス・ブロディの妻。夫は死んだものと諦めブロディの同僚で親友のマイクと肉体関係を持っており、電話で8年ぶりにブロディの声を聞いたのもベッドの上だった。
マイクからは関係を継続するよう要求されるがきっぱりと拒否。PTSDに苦しむニコラスをいたわりながら、全米が注目する英雄の妻として振る舞う。セックスができなくなった夫に不満を抱きながらも家庭を優先し、マイクとの関係を認めて謝り、ニコラスとキャリーの関係も不問にした。
そうしてようやく手に入れた平穏な生活を守るため、ニコラスの出馬には反対する。
マイク・フェーバー
(ディエゴ・クラテンホフ)
アメリカ海兵隊大尉。この8年でジェシカ・ブロディと家族同然の間柄になったニコラスの親友。彼の帰還後も肉体関係の継続を望むが受け入れてもらえず、不満を隠しながら子どもたちとも父親の友達として付き合いを続ける。
新兵募集の広告塔を必要としている上層部とCIAの指示で復員を提案し、ジェシカとの関係が公になってからはニコラスとの関係はこじれていくが、ニコラスの謝罪で和解。出馬したいという彼の頼みを聞いてジェシカを説得する。
ウィリアム・ウォルデン
(ジェイミー・シェリダン)
元CIA長官。アメリカ合衆国副大統領。イラクへの無人機空爆を指揮しながらアルカイダによる捏造だと主張し、息子を喪ったアブ・ナジールの標的となる。
ニコラス・ブロディがその無人機空爆を機に反米テロリストとなり、自分の命を狙っているとは知らず下院議員選挙に出馬するよう説得し、自らは大統領選への出馬を表明した。
トム・ウォーカー
(クリス・チョーク)
ニコラス・ブロディと一緒にイラクで捕虜となった海兵隊員。伍長。ニコラスの証言からアブ・ナジールに殺害されたと思われていたが、転向し生存していた。
妻と息子の留守中に自宅に電話をかけ、留守番電話のメッセージで声を聞くことを支えにアメリカに潜伏。家族という弱みをつかれてCIAとFBIに追われるが逃亡。
海兵隊随一と言われた優秀な狙撃手(スナイパー)は、ライフルの銃口を大統領選への出馬を表明した副大統領に向ける。
ヘレン・ウォーカー
(アフトン・ウィリアムスン)
トム・ウォーカーの元妻。息子ルーカスの将来を考え、すでに再婚している。ニコラス・ブロディの帰還によってトムが殺害されたという事実を受け止めるが、トムの生存と反米テロリストへの転向を知って懊悩。キャリーの説得に応じてCIAの捜索に協力するが……。
リジー・ゲインズ
(リンダ・パール)
副大統領ウィリアム・ウォルデンの主任政治顧問。新兵募集の広告塔としての任務を果たすようになったニコラスが、将来、政治家になれる人材かどうかを見極めるため、エスティースに接見。エスティースの近い将来の昇進を匂わせながら、ニコラスに関する情報の提供を求める。
そして寝返ったのはトム・ウォーカーだという情報を得ると、空議席をつくってニコラスを議員にするため、下院議員のスキャンダルをでっち上げる。
ファリド・ビン・アブド
(アミール・アリソン)
世界中を遊び回っているサウジアラビアの皇太子。通称ファリド。テロリストへの資金提供の噂があり、キャリーがマークしていた。アナルセックスが好きでアンダーヘアのない女性が好みらしい。リン・リードの死後、何のおとがめもなく出国した。
ワリド
(アロク・テワリ)
皇太子ファリド・ビン・アブドの執事長。ファリドのハーレムに加える女性選びから、アブ・ナジールへの資金提供、裏切り者の暗殺まであらゆることを引き受ける。リン・リードの死後、彼女が身につけていた高価なネックレスを持って闇銀行に現れたことでキャリーたちのチームにマークされる。
リン・リード
(ブリアナ・ブラウン)
サウジアラビアの皇太子ファリドの愛人。キャリーがバーレーンで雇った協力者。ファリドのハーレムに加える女性を探してアメリカへ入り、ファリドがアブ・ナジールと接触していた証拠映像と携帯の端末の情報を入手。キャリーに提供し、身の危険を感じ始めた直後、ファリドに始末される。
アイリーン・モーガン
(マリン・アイルランド)
反米テロリスト。父親は石油業界の大物で自身も8歳から13歳までサウジアラビアで暮らした。6年前G8(主要国首脳会議)への抗議デモで逮捕されている。
CIAにマークされて弱気になるラキムを励まして使命を果たそうとするが、ナジール側からも狙われることに。ラキムの死後メキシコへ逃亡を謀るが追跡していたソールに確保された。
ラキム・ファイサル
(オミド・アブタヒ)
ブライデン大学機械工学部の助教授。反米テロリスト。アイリーンの夫。アブ・ナジールへの資金提供窓口と思われている闇銀行での目撃情報とパキスタン・ラホールへの渡航歴からCIAの尾行を受ける。アフザル・ハミドが明かしたメールアドレスの最終送信先が彼だと判明したタイミングで姿を消したが、アイリーンと逃亡中、ナジール側の刺客に射殺された。
アフザル・ハミド
(ワリード・ズエイター)
シリア人。34歳。ニコラス・ブロディの見張り役だったテロリストで、彼が救出された時に只ひとり生き残った。イスラム人民解放軍のメンバー。潜伏先のイスラマバード(パキスタンの首都)で確保され、CIAに連行された。
アブ・ナジールの対アメリカテロ計画、闇銀行からのカネの流れとその目的を知る人物として、キャリーとソールの尋問を受ける。家族の住所とメールアドレスを白状した後、隠し持っていたカミソリの刃のかけらで自殺した。
マンスール・ザハラニ
(ラムゼイ・ファラガラー)
サウジアラビアの外交官。スイスのジュネーブでアブ・ナジールの密使サバックと接触して金を受け取り、アメリカに潜伏してウィリアム・ウォルデンを狙うトム・ウォーカーへ指示を出している人物。
男色の証拠写真を突きつけ、娘の国外退去を迫るキャリーとソールに屈し、トム・ウォーカーとモスクで会っていたことと、彼がアブ・ナジールの工作員であることを認めた。そして、CIAの協力者としてトム・ウォーカーを広場におびき出すが……。
ヴァージル
(デヴィッド・マルシアーノ)
元CIAエージェントで現在はフリーランスの技術者。キャリーに頼まれてブロディ邸への盗撮装置のセッティング実行。監視にも協力している。
マックス
(モーリー・スターリング)
ヴァージルの弟。人が足りないという理由でブロディ邸への盗撮装置のセッティングを手伝う。コミュニケーション力に難があるので最初はキャリーに訝しがられるが、度胸がよく、突出したハッキング技術を持っているということで重宝され、キャリーの作戦になくてはならない存在になっていく。
デイナ・ブロディ
(モーガン・セイラー)
ニコラス・ブロディの娘。16歳。ジェシカとマイクの関係にはずっと前から気づいていて、ニコラスが戻ってからは「パパを欺している」と非難する。しかしその直感と行動力が、死を決意したニコラスの命と国家の危機を救うことに。
クリス・ブロディ
(ジャクソン・ペイス)
ニコラス・ブロディの息子。12歳。空手を習っている。
ダニー・ガルベス
(フラッチ・ティティジア)
グアテマラ人の父とレバノン人の母をもつCIAの分析官。アラビア語とスペイン語が堪能。ムスリムである。キャリーの後先を考えない行動をどこかでうらやましいと感じていたが、エスティースからはカイロ支局作戦本部への推薦する代わりにキャリーの周辺を探るよう命じられる。
マギー・マティソン
(エイミー・ハーグリーヴス)
キャリーの姉。精神科医。「病気(双極性障害)が露見したら仕事が続けられなくなる」とキャリーに頼まれ、医局に内緒で向精神薬のサンプルを渡している。
フランク・マティソン
(ジェームズ・リボーン)
キャリーの父。マギー夫妻と同居している。双極性障害を患っている。
ミラ・ベレンソン
(サリタ・チョードリー)
ソールの妻。インド人で今はソールと離れて暮らしている。ソールについていく人生を変えたいと思っていて、ニューデリーへの転勤も必要ないと否定する。
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