ツイン・ピークス
ひき逃げ事故を目撃したためリチャード・ホーンに襲われたミリアム・サリヴァンは、事故に見せかけた爆発事故から奇跡的に逃れ、キャッチボールを楽しむ少年たちの前に瀕死の状態で転げ出る。
レベッカ・”ベッキー”・バーネットは夫のスティーブンを追いかけるため、母親のシェリーに電話をかけて調達。巧みなハンドルさばきで止めるシェリーを振り落とし、拳銃を手にトレーラーハウスを出ていく。
トレーラーハウスの管理人カール・ロッドは、膝をすりむいてその場に残されたシェリーを車に乗せて『RR(ダブルアール)ダイナー』へ向かう。その車中でカールは保安官事務所のマギーに無線で連絡。ベッキーの父で保安官助手のボビー・ブリッグスに繋いでほしいと頼む。
アパートに到着したベッキーは右手に拳銃を握りしめて階段を駆け上がり、スティーブン・バーネットの愛人と思われる女の部屋を激しく叩く。隣人からついさっき出て行ったと聞くとドアに銃弾を5発撃ち込む。
このとき、スティーブンは愛人と階段で息を殺していた。愛人の名はガーステン・ヘイワード。ローラ・パーマーの親友だったドナ・ヘイワードの妹だ。
サウスダコタ
今にも朽ち果てそうな平屋建ての住宅と錆びたコンテナが放置された場所に到着したゴードン・コールはアルバート・ローゼンフィールド、タミー・プレストンとともに車を降りた。ダイアン・エヴァンスは後部バンパーに体重を預けてタバコに火を点ける。ここはルース・ダヴェンポートとウィリアム・ヘイスティングスがガーランド・ブリッグス少佐に会った場所――異空間(ゾーン)への入口だ。
ゴードンは、担当刑事のマックレイの車の後部座席にいるウィリアムに詳細を確認しろとタミーに指示。タミーが話を聞く間、ゴードンとアルバートは帽子を被り髭を生やしたホームレス風の不審な男を目撃する。
ウィリアムの証言に基づき、ゴードンはアルバートとともにフェンスの裂け目からなかに入る。住宅に向かってゆっくりと歩を進めるゴードン。彼の目に映ったのは、晴天の空に突如として表れ、雲を巻き込んでいく巨大な渦だった。空に登ろうとするかのように両腕を上げるゴードン。渦の向こうにホームレス風の男が3人いる。階段を降りている。アルバートには渦も男たちも見えていないが、ゴードンの身体が徐々に透けていくのが分かった。アルバートはただ事ではないと察し、ゴードンの腕をつかんで引き戻した。我に返ったゴードンは「こういうことか」と呟く。
ルース・ダヴェンポートの遺体は雑草のなかに放置されていた。アルバートはその左腕に書き留められた数字をスマホで撮影した。ルースが軍の極秘データベースをハッキングして入手した座標だ。その時、マックレイの車に近づいていくホームレス風の男の姿がダイアンの視界に入っていた。しかしダイアンは声を発することなく目をそらす。
次の瞬間、マックレイは後方から鈍い音を聞き、頬に鮮血を浴びた。マックレイは拳銃を手に車から飛び出るが、不審者の姿はない。刑事は無駄と分かっていながら無線で応援を呼んだ。
「シカモア通りの2240番地だ!」
ウィリアムは頭部をもぎ取られて絶命していた。
ツイン・ピークス
「彼はもうイヤ。だけどまだ愛してる」
『RR(ダブルアール)ダイナー』でそう話すベッキーに、ボビーは「お金は貸すから拳銃で撃った扉は弁償しろ」と説得。そのうえで「これまで見逃してきたが、スティーブンが立ち直ると期待するのは間違っている。これから先、奴がお前に暴力を振るったり、法律を破ることがあれば逮捕する」と断言。
シェリーも親としていかに大切に想っているかを涙ながらに伝え、今夜は泊まっていって抱きしめる。そんな妻と娘を見つめるボビーの目には愛情が溢れているが、シェリーはレッドが店に姿を見せると笑顔で迎えに行く。レッドの素性を知っているのかいないのか、入口でキスを交わす2人の姿を黙って見つめるボビー。心中は穏やかではないようだが、ベッキーには父と母の関係が分からない……。
親子の話は店に撃ち込まれた銃弾で途絶えた。「伏せろ!」ボビーは店の客に叫び、拳銃を持って通りへ飛び出した。
発砲したのは子どもだった。車の後部座席に父親が置いていた拳銃をみつけ、誤って車中から発砲したのだ。ボビーは保安官バッジを見せ、父親に対してあらん限りの怒りをぶつける母親を鎮める。そしてまるで確信犯のように堂々としている発砲者の子どもを横目に、クラクションを鳴らし続けている後続車をなだめようとする。
しかし、運転手の巨漢の女性は夕食に遅れると言って怒り、早く家に帰らせてと叫ぶ。やがて、助手席で眠っていた子どもがゾンビのように両手を伸ばして起き上がる。白目を剥き、口からは得体の知れない緑の液体を垂れ流している。ボビーは恐怖に支配され、そこから動けない。
保安官事務所。トミー・“ホーク”・ヒルはガーランド・ブリッグス少佐が残したメッセージが示す場所について、ネイティブアメリカンの最新地図を使ってシェリフ・”フランク”・トゥルーマンに説明する。
地図に書き込まれた炎は火の象徴。炎の一種だが現代の電気に近い。
図の星も同じ日付を告げていて、黒いコーンが実っている場所へ行けと言っている。黒いコーンは、病気・異変・死を意味する。そしてこの2つを足すと”黒い火”となる。
こう説明した上で、頭に角が生えたような絵についてホークは伝える。
「これについては知らない方がいい。けっして」
そこへマーガレット・ランターマンから電話が入る。マーガレットは言った。
「ホーク。捜し物を見つけたのね。私の丸太が火を怖がっている。あなたの進む先には火があるわ」
サウスダコタ
バックホーン警察署に戻ったゴードンは、現場で撮影したルースの腕の写真を見せろとアルバートに命じる。アルバートはプリントした写真をその場に出す。ダイアンに見えるように。ダイアンは2人の思惑通り、ルースの腕に記入された数字を暗記する。
タミーとマックレイが運んできたコーヒーとドーナツを味わいながら、ゴードンは「遺体はルースのものだったが、あの場所にブリッグス少佐の頭部はなく、銃声を聞いた者もいない」と報告を受ける。その上でゴードンはルースの遺体があった場所より奥の方で男を見たと証言。同じ男を見たアルバートは、ホームレスのような風貌でボロ服を着て髭を生やし、ニット帽をがぶっていたと補足する。
それを聞いたダイアンはその男が車からで出てくるのを見た気がすると言うが、マックレイとタミーには見えなかったという。するとゴードンが言った。
「今、思い出した。ある部屋にいた男たちを見た。アルバートと見た男たちに似た、髭を生やした男たちだ。汚れた髭面の男たちが、ある部屋にいたんだ」
ネヴァダ
ブッシュネル・マリンズはクーパーをオフィスに呼び「君がケースファイルを精査したおかげで、汚職警官がらみの事態が起きていること、組織犯罪に加担している者が社内にいることが明らかになった」と話す。クーパーが2度、命を狙われたことをブッシュネルはそう解釈したのだ。さらにブッシュネルはミッチャム兄弟は本件とは無関係だと断言し、放火による保険金3,000万ドルの小切手を彼らに渡してほしいと頼む。ボクサー時代、”バトリング・バド”と呼ばれたほど抜け目のないブッシュネルは、会社で加入している保険会社にバックアッププランを適用させていたのだ。
ダグラス・ジョーンズへの復讐心が強くなりすぎて一晩中彼を殺す夢を見ていたというブラッドリー・ミッチャムだったが、3時間後、殺害予定の場所に着いた頃には、どういうわけかロドニーに対して殺すのは気が進まないという素振りを見せる。
どうやらブラッドリーは他にも夢を見ていたらしく、キャンディに殴られたロドニーの傷が治っているのも夢のとおりだと訴える。やがてカジノのハイヤーで到着し、箱を持って登場したクーパーを見るとブラッドリーは夢のすべてを思い出し「箱のなかにあるものが入っていたら、奴は俺たちの敵ではない、殺せない」と訴える。
箱のなかに夢で見たのと同じチェリーパイが入っているのを確認したブラッドリーの歓喜は、クーパーが胸ポケットに忍ばせていた封筒の中味を見て絶頂に達した。そこに入っていたのはミッチャム兄弟に宛てた3,000万ドルの小切手だったのだ。
3人は予約していたサンティーノで祝杯を挙げる。聞き覚えがあるのか、ピアノの音色に反応するクーパー。そこにはクーパーがジャックポットを連発した時にカジノにいて大もうけをした老婦人もいた。感謝のキスを頬に受けた後、クーパーはチェリーパイを食べながら言う。「すげえウマい」
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