三叉鉾河(トライデント)
サンダー・クレゲインはアリアを馬に乗せて三叉鉾河(トライデント)の赤の支流沿いに北へ向かう。目指すのはエドミュア・タリーとロズリン・フレイの結婚式が行われる双子城(ツインズ)。その席にいるはずのキャトリンとロブ・スタークから身代金をいただくつもりなのだ。
サンダーにしてみれば1人で洞穴から飛び出したボディーガードを兼ねているつもりだが、アリアは恨みと警戒心を解くつもりはなく、サンダーがキングズ・ランディングで暴徒に犯されそうになっていたサンサを救ったという話も信じられない思いで聞いた。
奴隷都市ユンカイ
使者のラズダル・モ・エラズがほのめかしていた「力のある友」は、”巨人の落とし子(タイタンズ・バスタード)”の異名を取るブレーヴォス人のメロが指揮官を務める騎馬傭兵部隊”次子(セカンド・サンズ)”。その数は2,000。
デナーリスの呼びかけに応じ、副長のプレンダール・ナ・ゲズン、ダーリオ・ナハリスを従えて天幕にやってきたメロは、デナーリスを「娼館で犯した女だな」「戦が終わったらおまえを全員で味わってやる」などとゲスな言葉で侮辱した上でユンカイを裏切ることはないと断言。
デナーリスはワインひと樽を持って引き上げていったメロの後ろ姿を追いながら「戦場ではあいつを真っ先に殺して」とバリスタン・セルミーに命じた。
デナーリスを殺せば”穢れなき軍団(アンサリード)”と戦わずして勝てると踏んだメロは、新月を利した暗殺を提案。コインに運命を任せた結果、その役を務めるのはダーリオ・ナハリスに決まった。ダーリオはニコリと笑って言った。
「ヴァラー・モルグリス」。
ダーリオ・ナハリスは”穢れなき軍団(アンサリード)”に変装して難なくデナーリスの天幕に忍び込んだ。入浴中だったデナーリスは一糸まとわぬ姿で「さっさと殺せば」と睨みつけたが、ダーリオは彼女に貢ぎ物を用意していた。
それは――メロとプレンダール・ナ・ゲズンの生首だった。
理由を訊いたデナーリスにダーリオは「あなたの美しさについて意見の相違があったから」と答えた。そして彼は”次子(セカンド・サンズ)”はあなたのものだと言い、デナーリスのために戦うと誓い、跪いた。

ドラゴンストーン城
ジェンドリーを連れて戻ったメリサンドルは、彼に食事を取らせ、入浴をすすめる。生け贄にそんなことをしてどうする?とスタニスは疑問をぶつけるが、メリサンドルは「怖がらせては味が落ちる」と言ってスタニスを納得させた。
ダヴォス・シーワースがシリーンに渡された絵本『征服王エイゴンの歴史とウェスタロス征服』を開き、意味を汲み取ろうと努力していると、スタニスがやってきてブラックウォーター湾で散ったダヴォスの息子マットスに対して哀悼の意を表した。そしてメリサンドルがロバート・バラシオンの落とし子を連れて戻ったことを話した。
ダヴォスは同じ血を引く無実の少年を殺すことは、レンリーを殺害するのとはまったく違う、誰のためにもならないと説得するが、スタニスは「私は王になりたいわけではない。しかし、運命には逆らえない。少年1人の命で王国を救うのだ」と言った。
ダヴォスはそんなスタニスに「それが間違いだとわかっているから今日ここに来たのでしょう?そして私が反対することもわかっておられる。陛下は欲得や栄光のために殺すような方ではありません」」と話した。
それでもスタニスは、ブラックウォーター湾の戦いに敗れた後、メリサンドルとともに炎の奥に雪の中のでの戦いを見たのだと言った。
「おまえも彼女から生まれたものを見ただろう?真実をどうして否定できる?」
メリサンドルは全裸になってジェンドリーを誘い、身体を求めあうと見せかけて彼の手足をベッドに縛りつけた。そして3匹のヒルをその身体に這わせた。王の血を吸い取るために・・・・・・・。
そこへスタニスがダヴォスを伴って入ってくる。スタニスはメリサンドルから3匹のヒルを受け取ると、この世から抹殺したい者の名を呼びながら、王の血を吸ったヒルを燃えさかる炎で焼いた。
「簒奪者 ロブ・スターク」
「簒奪者 ベイロン・グレイジョイ」
「簒奪者 ジョフリー・バラシオン」
キングズ・ランディング
主役の2人を待つ間、「姉妹になるのが楽しみ」と腕を絡めて話始めたマージェリーに、サーセイは豊富な資金力にものを言わせてタイウィン・ラニスターに反旗を翻し跡形もなく滅びたレイン家の顛末を語る。そしてこう言って突き放した。
「今度、姉妹だと言ったら絞め殺す」
ティリオン・ラニスターとサンサ・スタークの婚礼は、予定通り聖堂で行われた。エダード・スタークの代わりにエスコート役を務めたのは、ジョフリー王だった。彼はサンサを司祭の前で待つティリオンのもとへ届けたあと、用意してあった踏み台を持ち去った。
ラニスター家の紋章入りのマントを持つティリオンの手がサンサの肩まで届かないのを見て参列者から失笑が漏れる。ティリオンは背中を向けていて気付かないサンサに「しゃがんでくれ」と頼み、儀式は終了した。
ゲストの前で浴びるようにワインを飲んで酩酊するティリオンの隣にいたサンサが席を立つと、ジョフリーが不敵な笑みを浮かべて後を追った。
テーブルにはタイウィンが来て「妻になるべく早くラニスターの子を産ませろ」という。ティリオンは「酔うことと性欲で私に敵う者はいませんので心配なく。私は乳房とワインの神だ。今度訪れる娼館には私の神殿を建てます」と言って笑い、タイウィンを呆れさせる。
ジョフリーは「ラニスターの子を産むのなら種付けは誰でもいいだろう」と侮辱したあと「叔父が酔って寝た後、おまえを訪ねよう。うれしいだろ?嫌ならマーリンが押さえつける」と予告する。
ジョフリーの場をわきまえない振る舞いはさらに続く。ゲストの前でこれからサンサとティリオンの床入り(とこいり/婚礼の夜に、新夫婦が初めて同じ床に入り、寝ること)の儀式をやると言い、サンサにドレスを脱げと命じたのだ。
はしゃぎ回る王を止めたのはティリオンだった。テーブルにナイフを突き刺して睨みつけ「床入りはやらない。どうしてもというなら、おまえが花嫁とヤル時、木の棒を使うことになるぞ」と脅したのだ。
目を剥いて沙汰を下そうとするジョフリー。さすがにこれはまずいと思ったのか、タイウィンが息子をかばって彼の怒りを治めた。ティリオンは自らを貶める台詞を吐き、酩酊したままサンサの手を引いてその場から去った。
部屋に戻ったサンサは初夜の妻の務めを果たそうと背を向けてドレスを脱ごうとしたが、ティリオンは「君が望むまでは寝床を共にしない」と誓い、ソファに倒れ込んだ。
翌朝、朝食を運んで来たシェイは、サンサが眠っていたベッドに情交の形跡がないことを確認して満足する。
ホワイトツリーあたり
サムウェル・ターリーとジリは、小さな廃屋のなかで火を起こし、暖を取りながら赤ん坊の名前について話をしていた。
夜更け、心の木に止まっていた鴉がいっせいに騒ぎ立てるように鳴き始めたのでサムが外に出ると、木々の間から何者かがこちらに向かってくるのが見えた。それは、クラスターの砦で赤子をさらい続けてきた亡者に違いなかった。
亡者は行く手を阻んだサムの剣を片手で破壊すると、サムを放り投げ、泣き声を上げている赤子に近づいていった。「この子は渡さない!」ジリの声に反応して立ち上がったサムは、懐に入れていたドラゴン・グラスを亡者の背中に突き立てた。
すると亡者は断末魔の叫び声を上げて膝から崩れ落ち、粉々になった・・・・・・。
ゲーム・オブ・スローンズ シーズン3『第8話/次子―セカンドサンズ』の地図と登場人物


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