土竜の町(モウルズ・タウン)
数名の冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)が気晴らしに酒と女を楽しんでいた夜、野人たちが土竜の町(モウルズ・タウン)を襲う。ジリは息子のサムとともに物陰に身を隠すが、赤ん坊の泣き声に気づいたイグリットに見つかる。イグリットは人差し指で「静かに」と合図を送り、その場を離れた。
黒の城(カースル・ブラック)
土竜の町(モウルズ・タウン)が野人たちに襲われたことを知ったサムウェル・ターリーは、ジリと赤ん坊をあの町に追いやったこと激しく後悔し、自分を責める。グレンは3人の冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)がやられたのに何もできないのかとに苛立つが、ジョン・スノウが出て行けば相手の思うつぼだと諫める。そしてエディソン・トレッドは、これまでの苦難をジリはすべて乗り越えて生き延びてきたから今度も大丈夫だとサムを慰める。
それはそれとして、10万のマンス・レイダー軍に102人で挑まなければならないことに変わりはない。絶望感に支配されるなかでエディソン・トレッドは「最後に死ぬ奴は、先に死んだ奴を燃やしてくれ。この世を離れたら、二度と戻りたくない」と言った。
ミーリーン
”穢れなき軍団(アンサリード)”の兵隊たちともに小川で水浴びをしていたグレイ・ワームは、数十メートル上流で身体を洗っていたミッサンディの褐色の裸体に見入ってしまう。ミッサンディはそれに気づいて布で陰部を隠すと、グレイ・ワームは申し訳なさそうに小川に顔を沈めた。
ミッサンディはすぐに謝りに来たグレイ・ワームに、去勢の時は辛かったのではないかと訊く。グレイ・ワームはよく憶えていないが、去勢していなければ”穢れなき軍団(アンサリード)”の指揮官にはなれず、ミッサンディとも会えなかったと言った。ミッサンディはもう一度謝って背を向けたミッサンディを呼び止めて言った。
「興味を持ってくれてうれしい」
バリスタン・セルミーは街角で少年から”王の手”の刻印が入った巻紙を預かる。中を改めると、それはジョラー・モーモント宛ての赦免状(罪や過ちを許すことを記した書状)であり、ロバート・バラシオンの署名は、彼が王だった時代にジョラーが王家のスパイとして活動していたことを意味していた。
セルミーはそれをジョラーに見せて覚悟を決めさせた後、デナーリスに報告。デナーリスはピラミッドの謁見の間にジョラーを呼び出し、セルミー、ミッサンディ、グレイ・ワームの前で説明を求めた。
ジョラーは仲間割れを狙ったタイウィン・ラニスターの謀略だと主張するが、デナーリスが「それでは日付の説明がつかない」と言うと、その赦免状は本物でヴァリスに手紙を送っていたことを認めた。ジョラーは、ペントスへの到着から、カール・ドロゴとの結婚計画、ヴィセーリスの死、デナーリスの妊娠・死産に至るまで、あらゆる情報をヴァリスに届けていたのだ。
デナーリスは席を立つと「あの時、ワインに毒が入っていたことも知っていたのね(シーズン1/第7話『勝つか、死ぬか』)。私を裏切っていたのね・・・・・・初めから・・・」
そして、膝をついて許しを請うジョラーを見下ろして告げた。
「父を殺した男に秘密を売ったクセに・・・・・・許せとはなんともおこがましい。他の人間なら処刑だけど、功績に免じて追放に留める。王都へ戻り、主人の許しを請うことね。日暮れまでに町を出なさい。夜明け後もいたら、首を奴隷商人湾に投げ込むわよ」
要塞(モウト)ケイリン
ラムジー・スノウの洗脳によってリークという別人格になっているシオン・グレイジョイは、シオン・グレイジョイとして要塞(モウト)ケイリンへ向かう。そこにいる鉄の民を追い払うためだ。
白旗を掲げ、単騎で入城を求めたシオンを迎えたのは、守備隊長のケニングだった。ケニングはシオンを女のようだと罵り、気後れしたシオンはリークの人格が表に出そうになる。その瞬間、ケニングは背後にいた部下に斧で頭を割られて絶命した。家来たちは鉄の民の誇りなどとっくに捨てており、すぐでも故郷に帰りたかったのだ。
その彼らにシオンは白旗を上げて城門を開けば家に帰ることができると微笑むが、ラムジーは彼らを殺し、皮を剥いだ。
要塞(モウト)ケイリンを奪還したラムジーに、ルース・ボルトンは「ラムジー・ボルトン」の名を与え、ラムジーはボルトン家の名と伝統を守ると誓う。
高巣城(アイリー)
ピーター・ベイリッシュは、ライサ・アリンの死について、谷間(ヴェイル)の執政で月の門城の城主であるネスター・ロイスの尋問を受ける。ピーターはライサは自殺したと主張するが、ロイス公はそれは断じてないと言い、証人としてサンサ・スタークを呼ぶ。
サンサは自らをベイリッシュの姪のアレイン・ストーンだと名乗り、ベイリッシュに向かって真実を話すと詫びて話を始めた。
私はエダード・スタークの長女サンサ・スタークであり、ご子息を”壁”へ送り届けた時にロイス公とは対面していると――。そしてこう続けた。
「ベイリッシュは多くの嘘をついていますがそれば――父の処刑後、王都で捕虜になり、ジョフリーう太后に虐げられてきた私を守るためだったのです」
サンサが涙を流して訴えると「父上とはここでよく狩りをした。いい人物だった」とロイス公は笑みを浮かべ、夫人はライサに起きたことを正直に話してほしいと言った。
「叔母上はずっとベイリッシュ公を愛していたそうです。彼が8歳で持ち物を袋に詰めて、リヴァーランに来た時から。アリン公とは父親の命令で結婚しただけだとか。だからベイリッシュ公と結婚し、彼女は幸せでした。でも叔母様は、異常に嫉妬深い女性だったのです。ベイリッシュ公はそう遠くないうちに妻に飽き、若い女に手を出すのではないかと疑っていました。
そしてある日――見たのです。彼が私にキスするのを。頬に軽くキスしただけなのに・・・・叔母様は私を娼婦呼ばわりして『月の扉から突き落とす』と脅しました。なだめようとするベイリッシュ公を叔母様はたたき、死んでしまいたいと言って月の扉の端に立ちました。
ベイリッシュ公は『愛しているのは君だけだ』と必死に説得しました。でも叔母様は――扉から飛び降りて・・・・・」
夫人は迫真の演技を披露したサンサを抱きしめて言った。
「あなたのせいじゃないわ。けっしてあなたのせいじゃない」
そしてベイリッシュは「自殺なら正義も罰も必要ない」と言って引き上げていく彼らに、これからはロビン・アリンを支持すべきだと主張。そして谷間の諸侯たちの協力を得て、彼を巣立ちさせたいと話した。
ベイリッシュはサンサに助けた理由を訊く。「あなたがいなくなれば、私もどうなるか分からないから」と事も無げに答えたサンサにベイリッシュは苛立つ。
子どもだと思っていたが、私を利用するとは―――。
サンダー・クレゲインとアリア・スタークは『血みどろの門』に到着。サンダーが名を名乗り、アリア・スタークと一緒だと告げて開門を求めると、門番は申し訳なさそうに言った。
「まずはお悔やみを申し上げる。ライサ・アリンは3日前に亡くなった」
アリアは声を上げて笑った。
キングズ・ランディング
鐘が鳴り響き、キングズ・ランディングはジョフリー王暗殺事件の決闘裁判の時を迎えた。原告側サーセイの代理闘士グレガー・クレゲインと、被告側のティリオン・ラニスターの代理闘士オベリン・マーテルによる決闘である。
薄くて軽い甲冑だけを身につけて、戦いの前だというのにワインを飲むオベリン。黒犬の紋章が付いている長い外衣の下に、重いプレート・アーマーとチェーン・メイルを重ね、大兜で頭を保護しているグレガー。エラリア・サンドは「あんなのと戦うの?」と呆れ、ティリオンは「なんてこった」と絶望した。
オベリンは槍を手にして華麗に舞って観衆の声援に応えてから、長剣を抜いたグレガーと向き合った。
「俺が誰だか分かるか?」
「死人だ」
「エリア・マーテルの弟だ。こんなクソみたいな町に、何のために来たと思ってる?おまえを殺すためだ」
オベリンはグレガーの剣を軽くかわして続ける。
「死ぬ前に告白をしてもらう。おまえは姉を犯し、惨殺した。子ども達も殺した。その罪を告白してから死ね」
うなり声を上げて襲いかかってくるグレガーの剣を巧みにかわし、槍で兜を弾き飛ばしたオベリンはなおも続ける。
「言え。姉を殺し、惨殺した。子ども達も殺した」
グレガーの剣がオベリンの槍を砕くが、オベリンは2本目の槍を受け取って応戦し、プレート・アーマーの隙間からグレガーの腹部を貫いた。観衆が騒然となり、サーセイは目を剥いた。
オベリンが叫ぶ。
「おまえは姉を犯し、惨殺し――」
グレガーは、アキレス腱を切られて動きが止まった。
「子ども達も殺した!」
オベリンの槍が仰向けに倒れたグレガーの腹部を貫き、グレガーは口から鮮血を吹いた。
勝利を確信したオベリンは槍を引き抜き、グレガーの周りを歩きながら猶予を与える。
「姉の名を言え。エリア・マーテルだ。姉を殺し、子ども達を殺した。エリア・マーテルだ!言え!誰に命令された!」
オベリンは裁判官であるタイウィン・ラニスターを指さした。そして、エラリア・サンドに笑いかけた。その瞬間――。
グレガーは腕でオベリンの足を払って倒し、右の拳の一撃で戦闘能力を奪うと、オベリンの両目に親指をのめり込ませながら言った。
「エリア・マーテルだ!子どもたちを殺した。犯してやった!そして頭を潰した!こうやってな!!」
オベリンは脳漿をまき散らして絶命した。
エラリア・サンドは叫びにならない声を上げ
サーセイは笑みを浮かべ
ジェイミーは肩を落とし
ティリオンは観念して目を閉じた。
そしてタイウィンが立ち上がった。
「裁きが下りた。ティリオン・ラニスター。バラシオン家のトメン1世の名において、死刑を宣告する」
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