奴隷都市ユンカイ
”次子(セカンド・サンズ)”の指揮官となったダーリオ・ナハリスは、ユンカイの奴隷を解放するには裏門の見張りを倒して正門を開き、そこから突入するのがベストだと主張。
仲間だった者を殺してデナーリスに忠誠を誓ったダーリオを信じられないジョラー・モーモントは我々を陥れてユンカイからも報酬をもらうという算段ではないのかと疑う。
デナーリスは軍の指揮官であるグレイ・ワームに判断を委ねる。グレイ・ワームは「この人を信じます」と即答。ダーリオの作戦を遂行することになった。ジョラーは、バリスタン・セルミーのサポートも断り「真に忠実ならば、やるべきことをせねば。どんな犠牲も厭わずに」といつか彼が言った言葉をそのまま使って決意を表明した。
その夜、ダーリオ、ジョラー、グレイ・ワームが裏門から侵入する。外にいた見張りは確かに少なかったが、中で戦っている間に敵に囲まれてしまう。
それでも彼らは傭兵を退け、奴隷兵たちを降伏させた。そして奴隷都市ユンカイの制圧に成功したことをデナーリスに報告した。

”壁”
サムウェル・ターリーは、”壁”を抜けるための最適なルートをジリに説明しながら歩く。数世紀も使われていない夜の砦には秘密の出撃路があると教えるサム。「なぜそんなに詳しいの?」と訊くジリに、「古い本に書いてあった」と答えるサム。ジリは自分にとっては意味不明の記号でしかない文字を読めるサムを「魔術師みたい」と称え、感心する。やがて2人の前に”壁”が見えてきた。
ブランドンの贈り物
ブランたちはブランドン建設王が冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)ために進呈した土地“ブランドンの贈り物”に到着した。「誰もいないのは野人が略奪を繰り返したためだ」とブランが話していると空が鳴り「嵐がくる」とジョジェンが言った。
渓谷を抜けてニューギフトと呼ばれている草原地帯に出たトアマンドたちは、小屋で暮らしている老人を襲うことにする。老人は冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)に売却する馬を8頭も飼っており、それで生計を立てているならお金も貯め込んでいるというのが大鷲の眼で下見を済ませたオレルの見立てだった。
ジョン・スノウは「冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)が馬泥棒がいないか見回りにくる可能性もある。老人は放っておいて馬だけ盗めばいい」と提案するが、トアマンドは「”壁”よりここで戦う方がこっちには都合がいい」と却下。イグリットも槍でひと突きすれば済むと言い、オレルも「始末するべきだ」と譲らない。
トアマンドは決定を覆すことはなく、野人たちは一斉に駆け出す。異変を察知した馬が落ち着きをなくしたのを見て、老人は一頭の馬に飛び乗り逃げ出した。イグリットが弓で狙うが、ジョンが声をかけたため仕留めることができなかった。
ブランたちは風車の壊れた石塔のなかで風雨をしのぎながら”壁”を越える方法について話し合う。オシャのように船を使ってアザラシの入り江からアプローチするとなると2カ月はかかるし、200mの”壁”を登るのは現実的ではない。「ならば人のいない砦の門を壊して――」と、ミラーが言ったその時、石塔の前の広場に馬に乗った老人がやってきて、その後を追って野人が来た。
雨が強くなり、雷鳴が轟く。雷を怖れて落ち着きをなくし、頭を抱えて何度も大声を上げるホーダーを「大丈夫、落ち着いて」とみんなでなだめる。
しかし、その声は外に漏れており、オレルが「あの石塔に誰かいる」と感づく。
このままでは見つかる――ブランは咄嗟に狼潜り(ウォーグ)でホーダーに入って気持ちを鎮めさせる。我に返ったブランを、ミーラとジョジェンが信じられないという顔で見つめる。
老人は捕まり、トアマンドが斬りすてようとするが、オレルがジョンにやらせろと進言。仲間であることをここでもう一度証明しろと言うのだ。ジョンは老人の首に剣を当てるが、何の罪もない人を斬ることができない。仲間であってほしいと願うトアマンドとイグリットは「やれ!」と命じる。
次の瞬間、イグリットが弓で老人の胸を射貫いた。そしてイグリットはオレルに矢を向けた。「こいつは鴉の女房だ!」オレルが叫ぶと、トアマンドはジョンを敵とみなした。
ジョンはイグリットを突き飛ばしてオレルに襲いかかり、まわりにいた野人たちがジョンをめがけて殺到した。トアマンドはジョンを守ろうとするイグリットを羽交い締めにして制し「奴のために死ぬな!」と説得する。
ホーダーの声を野人に聞かれたと確信したジョジェンは「やらなければぼくたちは終わりだ」と説得し、外にいる大狼(ダイアウルフ)のサマーに潜って野人を倒せとブランに頼む。
サマーはジョンを狙っていた野人の喉を噛みきり、その隙をついてジョンはオレルを仕留める。しかしオレルは胸を剣で貫かれながらも上空にいた大鷲に潜り、鋭いくちばしでジョンに襲いかかった。ジョンは最後の力を振り絞って大鷲を仕留めると、馬に飛び乗って駆け出した。イグリットとトアマンドは、その背中を憎しみを込めて見送った。
野人たちが去ったあと、ジョジェンはブランの狼潜り(ウォーグ)を振り返り「サマーにもホーダーにも潜れるなんて、誰にもできない」と感嘆する。
ブランはサマーのなかからジョンを見たとリコンに伝える。オシャは黒の城(カースル・ブラック)へ向かったから後を追いましょうと進言するが、ブランは野人たちも向かったから安全な場所ではないし、自分は”壁”の向こうへ行って三つ眼の鴉を捜すと主張。
その上で幼いリコンを連れて最後の炉端城(ラスト・ハース)へ行ってほしいとオシャに頼む。スターク家に忠誠を誓っているアンバー家が守ってくれるからだ。そして離れたくないと涙を流すリコンに「僕とロブに何かあればウインターフェルを継げ」と話す。
オシャはジョジェンとミーラに「ブランを守って」と頼み、リコンとシャギードッグを連れて石塔から出ていった。
三叉鉾河(トライデント)・綠の支流
双子城(ツインズ)を目指して北上していたサンダー・クレゲインは「姿を見られた」という理由で、ぬかるみに荷馬車の車輪を取られて立ち往生していた豚肉の商人を殺害しようとする。
しかしアリア・スタークはそれを許さない。「おまえは女の子をさらうだけでなく少年も老人も殺す。情けのかけらもない」と非難する。そしてホンモノの殺し屋はこんなことはしない、と言ってサンダーを思いとどまらせた。商人は二度も頭を殴られて気絶する羽目になったが。
商人から荷車ごと奪った豚を食べながら、サンダーはアリアに双子城(ツインズ)が目の前に見えているのに1人で行こうとしないのは、家族に会うのが怖いからだと指摘。アリアは「そういうおまえだって炎を怖れている」と返し、兄グレガーとの因縁について知っていることを話した。
好きにしていいと言いながらエダードの処刑を思い出させる言葉を吐くサンダー。アリアは「いつかおまえの目に剣を突き刺してやる」と静かに言った。
双子城(ツインズ)
もう失敗できない――。キャスタリー・ロック制圧に向けて、ロブはキャトリンに助言を求める。結論は、ウォルダー・フレイを味方につけない限り、王都からの援軍を食い止めて勝つことは不可能ということだった。
双子城(ツインズ)に入ってすぐ、ロブ・スタークはウォルダー・フレイとその娘たちに約束と違えたことを謝罪した。愛のために裏切ってしまった、と。
ウォルダー・フレイは要望に応じて歩み出たタリサの身体をなめ回すように見て「愛ではなく、ドレスの下の見事な体のために裏切ったのだ」と言い放つ。
思わず剣に手をかけたロブをキャトリンが制する。それを見たフレイは「すべてを水に流そう」と言い、晩餐の支度をするよう家来に命じた。
ウォルダーと6番目の妻の五女ロズリン・フレイは、フレイ家の娘のなかでも一番と言って差し支えないほど、可憐で美しい娘だった。エドミュア・タリーはひと目で彼女を気に入り、妻として迎えられることを心から喜んだ。
ウォルダー・フレイが創作した悲劇の幕は、床入りの儀式によってエドミュアとロズリンが退席し、タリサがおなかの子の名をエダードに決めたとロブに話した直後に切って落とされた。
楽団の奏でるメロディが変わり、扉が閉じられると、フレイ家の家臣のひとりがタリサの腹部を短剣で何度も突き刺し、キャトリン、ロブ、北部軍のゲストにはボウガンから放たれた矢が降り注いだ。家臣たちが倒れたゲストたちにとどめをさして回るのを眺めながら、ウォルダー・フレイはグラスの酒を舐めるように味わう。
城門から先に進むことを許されなかった荷馬車からいち早く飛び降りで城内に侵入したアリアは、城内で酒盛りをしている北部軍の兵たちが次々に殺されていくのを目の当たりにする。何が起こっているのか理解できずに物陰に身を潜めるアリア。その前で、犬小屋に閉じ込められていた大狼(ダイアウルフ)のグレイウィンドもボウガンで始末される。
そこでようやく兄と母の身が危ないと知ったアリアは、兵士たちが篝火を持って飛び出してきた方向へ歩き始めるが、サンダーに止められる。「もう手遅れだ」。話をしている暇はないとわかっているサンダーはアリアを一撃で気絶させ、肩に担いでそこを離れた。
矢を受けて倒れたキャトリンは、最後の力を振り絞ってウォルダー・フレイの妻ジョユーズをテーブルの下から引きずり出した。そして剣を喉元に突きつけ、ロブを助けてほしいとウォルダーに頼み、絶命しているタリサの傍で呆然としているロブにここから出て行ってと叫んだ。
キャトリンはジョユーズへ向けた剣に力を込めて叫ぶ。
「息子を行かせなければ、スターク家の名誉にかけ、タリー家の名誉にかけてこの女の喉を斬ってやる!」
しかし、90歳を越えてから8人目の妻を娶ったウォルダー・フレイは、表情を変えることなくキャトリンに言った。
「ならば、次の妻を見つける」
どうにか立ち上がったロブにとどめを刺したのは、フレイ家の巨漢娘を娶って富を得たルース・ボルトンだった。
「ラニスター家からの挨拶だ」
ルース・ボルトンはそう言って忠誠を誓っていた北の王の胸を剣で貫いた。
崩れ落ちて絶命したロブを見たキャトリンは絶望の咆哮を上げてジョユーズの喉を切り、自らも同じところをフレイ家の家臣に切り裂かれて絶命した。
ゲーム・オブ・スローンズ シーズン3『第9話/キャスタミアの雨』の地図と登場人物


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