”壁”~西の渓谷
”壁”を制したジョン・スノウたちは200年前に放棄された『灰色の楯』から南面を下り、冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)の監視から逃れるために渓谷の奥深くに進入する。
骨の髄まで野人のイグリットは愛するジョンが野人になりきれないことに対して苛立っており、マンス・レイダーやトアマンドほどにはジョンを信用していないオレルも「人は相手に見合った扱いをする。愛するべき者を愛し、殺すべき者を殺す。それをおまえはわかっていない。だからイグリットと一緒にはいられない」と言った。
休憩時間にトアマンドは女の悦ばせ方を面白おかしくジョンに伝授。しかしジョンはイグリットの態度が気になって仕方がない。オレルはジョンへの嫉妬心を隠そうとはせず「相手は仲間から選べ。美しく荒々しいおまえにふさわしいのは俺だ」とイグリットに告白。それでもジョンがいいというイグリットに「奴の正体を知ったら冷める」と忠告した。
岩の上からブランドンの贈り物(無人の風車小屋)を眺め、人間があんなに高い建物をどうやってつくったのか」と感心するイグリットにジョンは「ウィンターフェルにはこの3倍も高い塔がある」と説明し、いつか連れていきたいと話す。この戦いに勝ったら私が連れていくことになると笑うイグリットを呼び止め、ジョンは申し訳なさそうに言う。
「おまえらは勇敢だが、勝てないよ」
振り向いたイグリットにジョンは続ける。
「”壁”の向こうの王の襲撃は過去1000年に6回あったが、ぜんぶ失敗している。7回目も同じだ。いくらマンスでも、規律もなく訓練もしていない寄せ集めの集団では勝てない。”壁”を襲えば全滅する」
イグリットは「おまえたちではなく、俺たちだ」と訂正し、ジョンの唇を求めて言った。「死ぬ時は一緒だ。でも、まず生きる」
三叉鉾河(トライデント)の河川地帯
ウォルダー・フレイが待つ双子城(ツインズ)への到着が遅れているにもかかわらず、ジョンとタリサは天幕のなかで愛し合う。事を終えてヴォランティスにいる母に手紙を書き始めたタリサは、おなかに子を宿したことを打ち明ける。
金と引き替えにメリサンドルにジェンドリーを渡したことが許せず、アリアはベリック・ドンダリオンを責める。そして自分が信じるのは『光の王』(ロード・オブ・ライト)ではなく死神だと言った。
その時、偵察に出ていたアンガイが、南へ1日の距離にラニスターの軍が迫っていると報告にきた。ベリックとソロスは先に獅子狩りをするといって準備をするが、西のリヴァーラン城へ行きたいアリアは「ジェンドリーと私を欺したあんたなんか殺されたらいい」と罵倒して洞穴を飛び出した。
ベリックの仲間がすぐに後を追うが、アリアをつかまえのはこの洞穴の近くに潜んでいたサンダー・クレゲインだった。サンダーはアリアを羽交い締めにして闇の中に引きずり込んだ、。
キングズ・ランディング
結婚に対する不安な胸の内を、サンサ・スタークはマージェリーに、ティリオン・ラニスターはブロンに打ち明ける。マージェリーはこう言った。女は置かれた立場で最善を尽くすもの。あなたを虐待しないティリオンは最悪のラニスターではない。女性経験豊富だしアタリかも。
一方のブロンはこう言い放つ。シェイと別れることはない、サンサに息子ができればウィンターフェルの城主だ。北部を握れる。好かれようなどと思わず女2人と王国を得ればいい。本音を言えばスタークの娘と寝てみたいだろ?
ジョフリーの呼び出しに鉄の玉座まで足を運んだタイウィン・ラニスターは、小評議会を王の手の塔で行うことにした理由を述べ、ターガリエンと3頭のドラゴンの脅威については世界の果ての珍事など心配無用と言い放つ。その目は「おまえはおとなしくそこに座っていろ。何も知らなくていいのだ」と告げている。
ティリオンはキャスタリー・ロックで作ったという黄金の首飾りをシェイに渡し「サンサとの結婚は義務で愛しているのは君だ。王都のどこかに君にふさわしい家を用意するし、子どもができたらきちんと養うからこれからも傍にいてほしい」と頼む。シェイは「父親に会うことも許されない子どもなんてほしくないし、祖父様に見つかったら殺される。それに娼婦は飽きられたら捨てられるのよ」と言い、部屋を出ていった。
鬼火(ワイルド・ファイア)で焼かれた船の残骸が漂うブラックウォーター湾を進みながら、メリサンドルはジェンドリーに「あなたが強いのは高貴な血を持っているからよ」と言い、父親は誰なのかと訊ねた彼に「あそこにいたわ」と言って湾に沿ってそびえ立つ赤の王城(レッド・キープ)を見上げた。そしてロバート・バラシオンだから金マントに追われたのだと教えた。
奴隷都市ユンカイ
都市の城門を見下ろす丘の上でバリスタン・セルミーは、ユンカイにいるのはアスタポアのような戦士ではなく、寝室奴隷(性戯の技法を修練する奴隷)なので倒せると主張。一方のジョラーは「この堅牢な都市を落とすのは容易ではありません。ユンカイのことは忘れましょう」と進言。
デナーリスは「20万人以上の奴隷を解放できるなら、ウエスタロスへ渡る前に”穢れなき軍団(アンサリード)”を減らすことになってもこの都市を攻め落とす」と言い、グレイ・ワームに使者を送るように命じた。
和平を申し入れるために天幕にやってきたラズダル・モ・エラズは、ユンカイはドラゴンがヴァリリアを荒らす前から多くの軍を撃退してきた堅牢な都市だと説明した上で、賢明なる親方(ワイズ・マスターズ)たちの贈り物といってデナーリスに金の延べ棒を献上。船も好きなだけ用意するから、我々には構わずにウエスタロスへ渡ってほしいと話す。
しかしデナーリスは親方全員の命と引き替えにすべての奴隷を解放せよと要求。交渉は決裂した。デナーリスは「贈り物なのよね」と言って金の延べ棒を受け取り「力ある友があなた方を滅ぼす。生き残った者は奴隷に戻してやる」と警告したラズダルを帰した。
デナーリスは「ユンカイ人は屈しませんよ」と小さく異を唱えたバリスタンの言葉を聞き流し、「力ある友」が誰なのかすぐに調べるようジョラーに命じた。
ハレンの巨城(ハレンホール)
ジェイミー・ラニスターは「必ずスターク家の娘をウィンターフェル城へ帰す」とブライエニー・タースに約束し、クァイバーンやボルトン家の護衛とともにハレンの巨城(ハレンホール)を発った。腕を切り落としたロックが「友達のことは任せろ、しっかり面倒を見てやる」と声をかけてきたが、ジェイミーは目もくれずに城門を抜けた。
馬を休ませてジェイミーの腕の状態を確かめたクァイバーンは、ブライエニーの父セルウィン・タースは娘と引き換えに300ドラゴンを渡すと言ったが、ロックが断ったと打ち明けた。
ロックはジェイミーの嘘を信じてしまっていて、サファイアを渡さないつもりかと憤怒していたから、今夜、ブライエニーは彼らの慰み者になって棄てられるだろうと。
それを聞いたジェイミーは護衛隊を率いるウォルトンに、ハレンの巨城(ハレンホール)に戻ると言う。ウォルトンはボルトンの命令に背くことはできないと断るが、ジェイミーは「王都に到着して父が腕のことを聞いたら、おまえに斬られたと話すぞ」と脅し、ハレンの巨城(ハレンホール)へ向けて馬を走らせる。
ハレンの巨城(ハレンホール)の城門を抜け、歓声がこだまする方向へ駆け出すジェイミー。彼の目に映ったのは、ハレン暗黒王が熊をいじめるために作った直径10m、深さ5mの熊の穴で、ヒグマと対峙しているブライエニーだった。ルース・ボルトンと食事をした時と同じガウンを着た彼女は、防具を何一つ付けずに木刀一本でヒグマと戦っており、肩や首は爪を受けて出血していた。
ジェイミーは「黄金でもサファイヤでも俺が払うから彼女を解放しろ」と要求するが、ロックは聞く耳を持たない。ジェイミーは迷わず熊の穴に飛び降り、ウォルトンが放った矢が首に命中したのを確認すると、ブライエニーを見物席へ逃がした。そして自らも片腕で壁をよじ登り、間一髪でヒグマから逃げ切った。
九死に一生を得たジェイミーにロックは「女は渡さん。ボルトン公の命令だ」と言い放つが、ジェイミー構わずに睨みつける。
「王都へ連れていく。ボルトン公が最優先したのは、タイウィン・ラニスターの息子を帰すことだ」
ロックはウォルトンたち護衛隊が剣に手をかけたのを見て諦めた。
その彼に、ジェイミーは小声で伝えた。
「―――サファイヤは嘘だ」
ドレッドフォート城
ヴァイオレットとミランダと名乗る2人の美女が、シオン・グレイジョイを張り付け台から下ろしてやさしく介抱する。そこにラムジー・スノウの姿はない。シオンは快楽を与えるよりも助けてほしいと頼むが、全裸になったミランダが上に乗るとすぐさま反応し、ヴァイオレットが参加すると本能に任せて身体を動かした。
しかしこれは女好きで有名なシオンを貶めるためにラムジーが女たちにやらせたことで、進軍ラッパを吹いて戻ってきたラムジーは部下に命じてシオンの男根を・・・・・。
王妃の冠(クィーンズクラウン)あたり
黒の城(カースル・ブラック)にジョン・スノウはいない。”壁”の北側へ抜けて三つ目の鴉を探すべきだというジョジェン・リードの話を聞き、ブランは決意を固める。
しかし”壁”の向こうから逃げてきたオシャは、自分の大切な人に起きた悲劇を話して反論。メイスター・ルーウィンとの約束を守り、黒の城(カースル・ブラック)へ行くと言って譲らない。
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