サウスダコタ
留置場へ面会にきた妻のフィリスに、ウィリアムは「現場には行っていないが、彼女の部屋に行った夢を見た。信じてほしい」と話す。しかしフィリスは弁解の余地を与えるつもりはないらしく「あなたが浮気をしていたのは知っていた」と責める。
「そっちもだろ!ジョージや他の男たちと不倫しているくせに!」
ウィリアムはこめかみに血管を浮かべて反論するが、フィリスはこうなることを望んでいたかのように言い放つ。
「あなたはもう終わりだわ。一生刑務所の中よ」
フィリスは立ち上がり、扉の向こうからにこりと笑って言った。
「さようなら、ビル」
「なんてことだ・・・!」
ウィリアムは頭を抱える。
ウィリアムと同じ留置場へ入っていた頭にバンダナを巻いた”黒い人物”が、宙に浮いて消え去った・・・。
フィリスが帰宅すると、リビングに見知らぬ男が立っていた。
オーティスが”ミスターC”と呼んだ男だ。
「よくやった。人間の本性に従ったな」
”ミスターC”は言って、ジョージの銃でフィリスの右眼を撃ち抜いた。
ネヴァダ
高層ビルの広大なオフィス。ダンカン・トッドは部下のロジャーを呼び、札束を渡して指示した。
「これで彼女を雇え」
「なぜ、彼に従ってこんなことを?」
遠慮がちに問うロジャーにトッドはちいさく笑みを浮かべて答える。
「ロジャー。君は彼のような者と関わるな。彼のような人間に、一生近づくな」
サウスダコタ
貨物列車の踏切から近いダイナー。”ミスターC”とレイ、ダーリヤは、ジャックという男と一緒に食事を摂る。
「明日以降のことが心配なのか」
薄ら笑いを浮かべながら聞くレイに”ミスターC”は答える。
「俺は何も心配していない。明後日までは1人で行動する。その間は好きなようにやれ」
「そうか。俺が必要な時は連絡してくれ。あんたが必要な情報を集めておく」
「”欲しい”情報だ。”必要”ではない。俺は何も必要としていない。1つ覚えておけ。レイ、俺はな、何も必要としていない。欲しいだけだ。例の情報が欲しい。あの女は、お前には教える」
レイはダーリヤの様子をうかがいながら答える。
「重要な情報のようだな。心配するな、情報は聞き出す。彼女はヘイスティングスの秘書だから大丈夫だ」
ツイン・ピークス
深夜。ライトを片手に暗闇の森を歩くホークの電話が鳴る。マーガレット(丸太おばさん)だ。
「丸太の予告どおり、今夜ここで何かが起きそうだ」
あたりをライト照らしながら進むホークにマーガレットは伝える。
「星々が巡り、時が正体を現す」
やがてホークは、探していた場所にたどり着いた。
そこは25年前、デイル・クーパーがアニー・ブラックバーンを連れ去ったウィンダム・アールを追って見つけた、ブラック・ロッジの入口だった。
赤い部屋
マイクがデイル・クーパーに話す。
「これは未来か、過去か――――ここに、いる。誰かが・・・」
マイクが姿を消すと黒いドレスの女が現れて言った。
「あなたは今、出ていける」
「君はローラ・パーマ-か?」
クーパーが聞くと、女は25年前と同じ言葉を返した。
「彼女を知っている気がする。でも時々、腕が後ろに曲がるの」
しかし、もう一度クーパーが聞くと、彼女はローラ・パーマーだと答え、「わたしは死んだ。でも生きている」言い、顔の中を見せた。
「私はいつ出て行ける?」
クーパーが聞くとローラは静かに近づき、彼に口づけをした。そして笑みを浮かべ、耳元でささやいた。
次の瞬間、彼女は震え出し、絶叫を残してそこから消えた。
はためくカーテン。青ざめた馬(ヨハネ黙示録第6章第8節にあらわれる、死を象徴する馬)。
やがてクーパーは、マイクの後を追って別の部屋へ。そこには進化した”腕”がいた。
”腕”は言った。
「ドッペルゲンガーが戻らねばならない。その後でお前は出て行ける」と。

サウスダコタ
ジャックのガレージで車を入れ替えた”ミスターC”は、ジャックの頬を片手で弄んだ後、ダーリャの部屋へ。
ダーリヤは下着姿でベッドに横たわっていたが、慌てて電話を切ったのを”ミスターC”は見逃さず、相手は誰だと聞く。
ジャックだと答え、会えてうれしいと話すダーリヤに、”ミスターC”はレイと会う約束だったが叶わなかったことを伝え、銃のありかを聞く。ベッドの脇だと答え、身体を起こすダーリヤ。”ミスターC”はカーテンの隙間から外を確かめた後、仕事で使うと言いながら、ベッドに近づいて銃を取った。
そしてベッドに体を預け、胸に顔を埋めてきたダーリヤを抱き寄せて言った。
「ジャックは死んだ。車に細工させた後で殺した」
嘘がばれていることを知り慌てて離れようとするダーリヤを押さえつけ、”ミスターC”はポケットからレコーダーをとりだして再生する。そこには部屋に入る直前の電話の会話が録音されていた。相手はレイだ。
レイは銃の輸送中にへまをして捕まり、サウスダコタの刑務所にいるという。
「クーパーはどうする?」
ダーリヤの言葉にレイは答える。
「明日もそっちにいるようなら殺せ。お前がやるんだぞ」
「明日まで待って。必要なら殺すわ」
”ミスターC”は逃げだそうとするダーリヤの後頭部を力任せに壁に打ちつけ、顔面を殴打して雇い主について聞く。私は知らないがレイは知っていると答え、報酬は1人50万ドルだと明かしたダーリヤに、”ミスターC”は伝える。
「明日はブラック・ロッジに戻ることになっていた。だが戻らない。手は考えてある」
そしてレイは秘書から情報を聞き出したのかと訊ね、地図上の座標を聞いていないのかと聞く。
「レイは何か聞いたようだけど、私は知らない」
そう答えるダーリヤに、”ミスターC”は革ジャンの懐から取り出したカードを見せる。スペードのエースだが絵柄は見たことのないもので、上下にひっかいたような傷がある。「何だか分かるか?俺はこれが欲しい」
知っているとも知らないとも言わず顔を背けるダーリヤ。”ミスターC”は暴れる彼女を殴打した後、枕で顔を押さえてつけ、拳銃で頭を撃ち抜いた。
そして”ミスターC”はアタッシェケースを開き、端末を作動させて通信を開始した。相手は行方不明になっているFBI捜査官フィリップ・ジェフリーズだった。
「遅かったな。NYで待っていたんたぞ。今もバックホーンか?」
「お前はどこでもない場所か?」
「ブリッグス少佐に会ったな」
「どうして知っている」
「――お前とはこれでお別れだ」
「フィリップ・ジェフリーズだよな?」
「――お前が明日戻るなら、俺はまたボブと一緒になる」
「お前は誰なんだ」
通信はそこで途絶えた。
しばらく思案して、”ミスターC”はFBIのデータベースにアクセスした。そしてヤンクトン連邦刑務所をサーチ。セキュリティレベルがレベル4であることを確かめるとハッキングしてデータをダウンロードした。
そして隣の7号室へ。招き入れてくれたシャンタルに伝えた。
「隣の部屋をクリーニングしてくれ。そして旦那を呼べ。お前とハッチにある場所へ行ってもらう」


ウインダム・アールが参加したブルーブック計画について知る人物で、ブラック・ロッジについての知見もあります。”ミスターC”とはどこで会ったのかな・・・?
赤い部屋
”腕”がうめき声を上げる。
「2・・・5・・・3・・・何度も、また・・・何度も繰り返して」
そしてボブの名を何度も呼び、クーパーに向かって叫んだ。
「行くのだ!行くのだ!!」
クーパーは別の部屋に向かうがそこには入れず、元の場所に戻るがそこにはもう”腕”はいない。
そして別の部屋を横切り、次の部屋に入ると、そこにはリーランド・パーマーがいた。
「見つけろ。ローラを」
苦悶の表情を浮かべるリーランドをそのままにして移動するクーパー。
すると、赤い部屋全体が揺れ始める。
「なにかがおかしい」マイクは顔を曇らせ、「私のドッペルゲンガー」と”腕”は漏らす。
やがてクーパーは石像を見つけ、その右側の部屋へ。そこからはまっすぐに延びる道路を見下ろすことができた。
その道路を走り”ミスターC”が運転する車が近づいてくる。
瞬間、またしても部屋全体が揺れ、クーパーの足元が崩れ始めた。
口を開けて大きく割れる床。
非――存在――だ!”腕”がそう叫んだ次の瞬間、クーパーはブラックロッジから投げ出された。
ニューヨーク・シティ
クーパーが瞬間移動した場所は、ニューヨーク・シティの高層ビルに設置されたガラスボックスだった。両手を拡げ、バランスをとるクーパー。正面には誰も座っていないソファがある。
エレベータホールに続く扉の向こうでは、サムが警備員を探していた。不在と知ったサムがトレーシーを秘密の部屋に招き入れる前に、クーパーは別の空間に投げ出された。
ツイン・ピークス
ローラ・パーマーの母、セーラ・パーマーは25年後の今もヘビースモーカーだ。ソファに身体を沈め、足を投げ出す格好で煙を吐きながら巨大なテレビモニターと向き合っている。そこにはゾウを襲うライオンの姿が映し出されている。
ロードハウス『Bang Bang Bar』ではポートランド出身のシンセ・ポップバンドCHROMATICS(クロマティックス)が”SHADOW”を演奏している。フロアにはローラ・パーマーの同級生で交際相手だったジェームズ・ハーリー、『RR(ダブルアール)ダイナー』でウエイトレスをしていたシェリーの姿がある。

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