ホワイトツリー
サムウェル・ターリーはジリに”壁”の特徴や黒の城(カースル・ブラック)での生活について話し、赤子のために歌を唄った。
狼の森
緑視力を使っていたジョジェン・リードはその反動で全身痙攣を起こすが、ミーラ・リードの処置で目覚める。そしてこう言った。
「ジョン・スノウが見えた。”壁”の向こうで、野人に囲まれていた」
”壁”
登壁の準備を進めながら、イグリットは声を潜めてジョンに言った。
「あんたは鴉たちを裏切って私たちの仲間になったわけじゃない。でも私はあんたの女だから――自分の女を大切にね。鴉はあんたの死を気にしない。マンスは私の死を気にしない。私たちを気にかけるのは、私とあんただけだ。私を裏切らないで。裏切ったらサオを斬って首飾りにする」
”壁”を50以上は登っているというトアマンドは、登壁用のピッケルをジョンに渡して「金具を深く突き出してから次の足を踏み出せ。落ちた時は叫ぶな」とアドバイスして、ジョンの肩をポンと叩いた。
ジョンと野人たちは4つのパーティーに分かれて”壁”へのアタックを開始した。
事故が起きたのは中腹にさしかかった時だった。イグリットの打ち込んだピッケルが”壁”の崩落を誘発し、イグリットとジョンが宙づりになった。先頭にいるトアマンドの下にいたオレルは道連れによる滑落を防ぐため、ナイフでザイルを切断する。
これにより後ろにいたイグリットは背中から落ちていったが、間一髪のところで壁面をつかまえていたジョンが落下する彼女をピッケル一本で支え、死の淵から引きずり戻した。
「運のいい奴だ・・・」
イグリットと抱き合って顔を上げると、オレルがそう言いたげな顔で見下ろしていた。
”壁”を登り切ったジョンとイグリットは、倒れ込んで休んだあと、南側を見下ろして笑い、抱き合った。
三叉鉾河(トライデント)
アリアが隠れ家の洞窟の外でアンガイに弓を習っていると、スタニスの騎士に護られて女――メリサンドルが近づいてきた。ひとめで『光の王』(ロード・オブ・ライト)を崇める女祭司だと見抜いたソロスは、メリサンドルを洞窟の中に案内し、ベリック・ドンダリオンと引き合わせる。
ベリックの身体に刻まれた致命傷の跡を確認したメリサンドルはソロスの力に驚き、6度蘇らせたと聞いて「あり得ない」と首を振った。
ソロスは自らを「信仰をなくしたまがい物の司祭」と嘲笑したが、ベリックがグレガー・クレゲインの槍に倒れた時に、『光の王』(ロード・オブ・ライト)が初めて応えてくれたと話した。以来、『光の王』(ロード・オブ・ライト)はソロスにとって唯一の神になったのだ。
メリサンドルの目的は、正統な王の血を引く者――ロバート・バラシオンの落とし子であるジェンドリーだった。アリアは「仲間になると決めていたのに!」と止めるが、ベリックは金と引き替えにジェンドリーを渡した。なおも2人を責めるアリアに、ソロスは「金と神のためだ。武器や馬や食糧がなくては民を守ることはできない」と弁明した。
ドレッドフォート城
地下牢に張り付けにされたシオン・グレイジョイはラムジー・スノウが吹いた進軍ラッパの音で目を覚ました。張り付けにされる理由も、この場所も、目の前にいるのが誰なのかもわからない。話せることはもう何もないのに拷問は続く。その恐怖と絶望にシオンは絶叫するしかない。
リヴァーラン城
ロブ・スタークの求めに応じてやってきたウォルダー・フレイの2人の息子は、同盟継続の条件として(1)結婚の誓いを破ったことに対する正式な謝罪(2)ハレンの巨城(ハレンホール)とその付属地の譲渡(3)エドミュア・タリーとロズリン・フレイ(ウォルダーと6番目の妻の五女)と結婚を挙げた。
エドミュアは「結婚は一生のことで私にも選ぶ権利がある」と反論するが「断れば同盟が終わり、戦に負ける」とロブが説得。最後はストーン・ミルでの失態を挙げてエドミュアを納得させた。ロブは自分の代わりに罪を償わせてしまうことを謝罪し、この恩はいつか必ず返すと誓ったが・・・・・。
ハレンの巨城(ハレンホール)
ルース・ボルトンが用意したドレスに身を包んで食事の席についたブライエニー・タースは、隣にいるジェイミー・ラニスターを王都に連れ帰ると主張。
ボルトンは、ロブ王の囚人だったキャトリンの命令は無効だと退け、ジェイミーだけを北部で処刑することも、生かして身代金を穫ることもできるし、2人とも殺すという選択肢もあると言ってジェイミーを揺さぶる。
しかし、答えは最初から決まっていたようで「傷が癒えたら王都に帰ることを認める」とボルトンは静かに言い、タイウィンに真実を――喪った右手とルース・ボルトンは無関係だとを話すことを約束させた。
ジェイミーは乾杯するが、キャトリンの反逆を幇助したブライエニーの同行は認められなかった。
キングズ・ランディング
タイウィン・ラニスターの執務机の前でレディ・オレナは、ハイガーデンの誇りである孫が、七王国で最高の花婿候補であるロラス・タイレルが、年増でもう子どもを産めないかもしれないサーセイの再婚相手になるなんてあり得ない、と言って呆れた。
さらにロラスの性癖もあっさり認め、男と関係を持ったことはただの一度もないと断言したタイウィンに、男どうしでよろしくやるのはだだ遊びで誰も騒いだりしないが、姉妹が結ばれるのはどうなのか、疑問を呈した。
タイウィンは根も葉もない噂だと突っぱねるが「その噂を多くの民が信じているわ」とオレナ。
「ラニスターとタイレルが結婚すれば、民に抹殺されるかもしれない」
「仮に噂が本当でジョフリーが王でなくなったら、タイレル家は貴重な花(マージェリー)を捨てることになる」
「サーセイが子どもを産めなかったら、貴重な花をもう一本捨てることになるわね。絶対に受け容れられない」
しかし、タイウィンは奥の手を用意していた。
「ロラスとサーセイの結婚を拒むなら、彼を”王の楯(キングズ・カード)”にする。誓いは知っているな?生涯、妻をめとらず子ももうけない。そうなるとタイレル家は滅び、ハイガーデンはジョフリーとマージョリーの子どものものになる」
叙任の命令を書くと言ってペンを取るタイウィン。
オレナはその手からペンを奪い、二つにへし折った。
池のほとりに腰を下ろして挙式と将来について話すサンサとロラスを見て、ティリオンはため息をつく。そして「あんたが蒔いた種だ」とサーセイを責める。サーセイはタイレルから家族を守ろうとしただけと弁明するが「俺は家族ではないのか?」とティリオンは言い、ブラックウォーターの戦いのさなかにマンドン・ムーアを使って命を狙った真意を問う。”王の楯(キングズ・カード)”に命令できるのは、王都に2人しかいない。
サーセイの沈黙は、ジョフリー王が命じたことを意味していた。ティリオンは衝動は理解できるとしながらも母親の前でジョフリーの愚かさを嘆き、身の危険が去ったわけではないと知るが「お父様がそばにいる間、あの子は動かないわ」とサーセイは言った。
タイウィンの思惑どおりに事が進めば、王都の歴史はタイレル家が紡いでいくことになる。「ジェイミーが戻れば、あんたはロラスから逃げられる」とティリオンは言うが、ジェイミーが今どこで何をしているのかもわからないサーセイは希望が持てない。
「どうなるとしても俺は終わりだ」とティリオン。問題は、誰がサーセイに事の次第を伝えるかだった。
ピーター・ベイリッシュはサンサとロラスの結婚を阻止したことと、自分裏切っていたロスに罰を与えたことをヴァリスに告げた。国家のためにしたことだと主張するヴァリスに、ベイリッシュは笑いかける。
「カオスこそが国家のハシゴだ」と。
そして、ロラス・タイレルは王都を去り、ティリオンの妻となることが決まったサンサは遠ざかっていくベイリッシュの船を見て涙した。
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