
キングズ・ランディング
”王の手”再び
6日7晩眠り続けて意識を取り戻したエダードに、ロバートはティリオンを解放してジェイミーと和解せよと勧告。弟を捕虜にされて収まりがつかないサーセイはエダードを責め、今なお元”王の手”を必要とするロバートには「私が王の鎧を着るべきね」と言い放つ。
ロバートはそんなサーセイの顔を殴り、これ以上の侮辱は許さないと恫喝。エダードにはウィンターフェルには戻らず、キャトリンに使い鴉を出して事態を収拾しろと命じ、王の手の徽章を返す。エダードはジェイミーの処分を求めるが、ロバートはラニスター家を敵に回せば国を統治できないと苦しい胸の内をさらし、諦めろと諭す。そしてデナーリス・ターガリエンの件は二度と口にするな、と釘を刺して狩りへ出かける。
ジョリーを殺され、父エダードも重傷を負ったことでアリアは剣術の練習に集中できない。しかし師範のシリオ・フォレルは「戦は人形や猫と遊んでいるときに始まるのではない」と叱責。父のため神に祈りを捧げているというアリアに「この世には死神しかいない。死神に捧げることができるのは、生き延びてやるという決意だけだ」と言って剣を突きつける。
ロバート王はバリスタン・セルミー、レンリー・バラシオン、ランセル・ラニスターを伴って王の森へ。道中、戦の時は諸国の女を征服し続けたという意味での武勇伝を披露するロバートに嫌気がさしたレンリーは狩りの前に離脱。ロバートはランセルが差し出したワインを煽るように飲む。
怪我から回復したエダードは”王の手”に復帰。狩りに出ているロバートの代理としてヴァリスとベイリッシュ、パイセルが脇を固める鉄の玉座に座り、請願者たちの声に耳を傾ける。そしてラニスターの山賊に村を襲われたという村人の嘆願を聞き入れ、その首謀者と思われるグレガー・クレゲインに王の裁きを下し死刑を宣告すると裁定。「やり過ぎです」で忠告したパイセルには、タイウィン・ラニスターに使い鴉を出して法廷に召喚せよと命じる。
何をしていても上の空だったサンサのもとへジョフリーが訪ねてきて、三叉鉾河(トライデント)の一件以来の非礼をわびる。そしてサンサに首飾りを贈り改めて結婚の約束を交わす。
一連の情勢からこのまま無事では済まないと考えたエダードはサンサとアリアにウインターフェル城へ帰るように命じるが、二人は猛反発する。アリアは剣術の修行が面白くてたまらないし、サンサはジョフリーに求婚されたばかりなのだ。エダードは二人の言い分を最後まで聞いてから、もう一度「荷物をまとめろ」と命じる。
娘たちが出ていった後、エダードはまたパイセルに借りている学術書『七王国の名家の系譜と歴史』のページをめくる。そこでバラシオン家の男たちの髪色はすべて黒なのに、ジョフリーが金髪であることに気づき、きわめて危険な疑念を持つ。「ジョフリーは、ロバートの息子ではないのかもしれない」
ヴァエス・ドスラク
焼けずの女王
デナーリスはふと思い立ち、石になったドラゴンの卵を火で炙ったあと、素手で持ち上げる。慌てて止めた侍女は手に火傷を負いウロコの跡が残るが、デナーリスの手は美しいままだった。
野生の雄馬の心臓を自らかみ砕き、子を宿した体内に残らず運ぶことは、カール・ドロゴの妻となったデナーリスが乗り越えなければならない試練であり義務だった。
デナーリスはドスラクの老婆と部族の者だちが祈りを捧げるなかで、絶え間なく襲ってくる吐き気に耐えながら着実にその義務を果たしていく。
そして最後の一片を噛み、飲み干したデナーリスを見てドロゴは満足して笑みを浮かべ、老婆は叫んだ。「王子が馬を走らせている。彼は世界を駆ける雄馬(スタリオン)となるだろう!」
それを受けてデナーリスも叫ぶ。「王子の名はレイゴ!」部族の者たちは拳を握りしめてその名を連呼し、ドロゴはデナーリスを抱え上げた。真の女王の誕生の瞬間だった。
その瞬間に立ち会い、自らが王となってドロゴの部族を率いることは不可能だと悟ったヴィセーリスは、軍隊を買う資金を作るためデナーリスのテントから竜の卵を盗み出そうとするが、ジョラーがそれを阻止。ヴィセーリスは「妹がほしくて傍にいるんだろ」と下衆の勘繰りを全開させて、そこから出ていった。
ヴィセーリスは酒に酔い、ふらつきながら祝いの場に戻ってきた。カール・ドロゴが「おまえの席は一番後ろだ」と言うとヴィセーリスは「おまえは王ではない」と返して剣を抜き、後ろに回っていたジョラーの喉元に突きつける。ジョラーは剣をしまえ、さもないと殺されると忠告する(ヴァエス・ドスラクで剣を抜くことは許されない)が、ヴィセーリスはデナーリスへ剣を向け、約束の王冠をもらいに来たと言う。
侍女の通訳でヴィセーリスの要求を聞いていたドロゴはドスラク語で静かに指示を出す。それをデナーリスは「そのとおりにすると言っている」と訳すが、それは騒ぎを大きくしないための嘘で、ヴィセーリスは剣を下ろした隙を狙われ、部族の者に腕を折られる。
そして――ドロゴは、身につけていた首狩りを溶かして煮えたぎらせた黄金を「王の冠だ」と言って、命乞いをするヴィセーリスの頭に浴びせた。
絶命した兄を見てデナーリスは言った。
「ドラゴンではなかった。ドラゴンは火では死なない」
ウィンターフェル
シオン・グレイジョイの進言
ブランが、弓を手に三つ目の鴉を追って歩く夢から醒めると、ホーダーが特注の鞍と鐙を手に部屋に飛び込んできた。
ダンサーと名付けた明け2歳馬をパートナーにしたブランは瞬く間に乗馬の腕を上げ、城の外へも出るようになった。そしてある日、ロブ・スタークとシオン・グレイジョイに付き添われて狼の森へ出かけた。
笑顔を取り戻したブランの姿を眺めながら、シオンはロブに「君がスターク家をまとめ、ジョリーを殺して父上の脚に槍を刺して逃げたジェイミー・ラニスターを追撃するべきだ」と進言。ロブは「おまえの家ではない。口出しするな」と退けるが、心中は穏やかではない。
彼らが目を離した隙に狼の森の奥深くへ来てしまったブランは、冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)の脱走者と野人の女に襲われる。間一髪で二人の脱走者を仕留めたロブとシオンは、命乞いをする野人の女オシャを連れて城に戻った。
シオンは城へと続く森の道で馬車で先を急ぐ娼婦のロスと出くわす。彼女はこれからキングズ・ランディングへ行くため、白い港(ホワイト・ハーバー)で船を探すという。
シオンは王都ではライバルが多くて稼げないと引き留めるが、ロスは笑顔で去っていく。
高巣城(アイリー)
ティリオンの擁護者
天空房(スカイセル)に投獄され、転落寸前のところで目を覚ましたティリオンは鉄の扉を叩いて牢番のモードを呼び「大金をやるからここから出せ」と買収を試みるが、あえなく失敗。ラニスター家に金はあっても今は無一文なのだ。
それでも生きることに執念を燃やすティリオンは再び牢番のモードを呼び「罪を告白する」と言って、天空房(スカイセル)から出て弁明する機会を得る。
そこでティリオンは幼い頃から犯してきた罪――いたずらの数々を羅列した挙げ句、ジョン・アリン暗殺、ブラン・スターク殺害未遂のどちらの容疑も明確に否定し、決闘裁判を要求。原告側のライサは擁護者(代理で戦う者)として衛兵隊長のヴァーデス・エデンを立てる。
これに対して被告側のティリオンは兄のジェイミー・ラニスターを指名するが、ライサは今日の裁判に間に合わないとして却下。仕方なく立候補を募るティリオン。あちこちから漏れ聞こえる嘲笑が止んだ後「俺がなろう」と申し出たのは、傭兵のブロンだった。
代理決闘はフロア中央の「月の窓」を開け放って開始された。甲も楯も持たず、使い古した薄い鎧一枚で身を守るブロンはすぐに土俵際まで追い詰められるが、ヴァーデスのパワフルな剣を巧みに交わして盛り返す。そして、腹を貫かれ、脚を切られたヴァーデスは、最後には喉から鮮血を流して「月の窓」から落ちていった。
ブロンのおかげで窮地を脱したティリオンは、ロドリックから取り返した財布を「ラニスターは常に借りを返す」の格言に従ってモードに渡し、高巣城(アイリー)を出ていった。
ゲーム・オブ・スローンズ シーズン1 『第6話/金の王冠』地図と登場人物


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