スポンサーリンク

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

ウィンターフェル

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

夜明けまでにはまだかなりの時間があった。
震え、祈り、願う戦士たちの勇気に火を灯したのは、馬の背に揺られ、漆黒の闇の中から忽然と現れた紅の女――メリサンドルだった。

メリサンドルはドスラクの騎馬隊の前で馬を止めると、ジョラー・モーモントに頼む。
「剣を持ち上げろと言って」
ジョラーが命じるとドスラクの戦士たちは黙って半月刀を持ち上げた。
メリサンドルは最前列の戦士の刀を素手で掴むと、呪文を唱えた。

戦士たちが持ち上げた刀に一斉に炎が走る。まるで松明のようだ。それは大きな波となって、後方に控える戦士たちの頬を照らした。そのなかに”穢れなき軍団(アンサリード)”の指揮官の姿を認めたメリサンドルは、馬上から声をかける。
「ヴァラー・モルグリス」
「ヴァラー・ドヘリス」

「門を開けろ!」
そう叫んで彼女を城内へ迎え入れたのは、城壁の上からその様子を見守っていたダヴォス・シーワースだった。再会したダヴォスにメリサンドルは伝える。
「サー・ダヴォス。処刑しなくても、私の命は夜明け前までよ」

やがて、ドスラクの戦士たちが気勢を上げて闇の中を駆け出した。その後方から放たれた巨大石が、大きな放物線を描きながら彼らを追い越していく。そして、炎の波と化した騎馬隊は死者たちの群れに衝突した。後方に控える戦士たちにはうめき声のようなものがかすかに聞こえるだけで状況は把握できない。いったい、どうなっているのか。

しばらく経ち、先陣を切った戦士たちの幾人かが声もなく戻ってきた。そのなかにはジョラーの姿もある。味方の血を浴びたのだろう。鎧が鮮血に染まっている。そして――死者の波が押し寄せてきた。”穢れなき軍団(アンサリード)”が矢を突き立てるが、亡者(ワイト)たちはお構いなしに前進を続ける。

「持ち場を守れ!」
左翼を担当するブライエニー・タースは自らを鼓舞するように叫び、亡者(ワイト)を迎え撃つが、あっという間に飲み込まれていく。ジェイミーが助けにいくが為す術がない。早くも絶望的な状況に追い込まれた彼らを援護したのはデナーリスだった。

ドロゴンを駆るデナーリスは進撃を続ける亡者(ワイト)の波を炎で寸断する。その圧倒的な力に初めて直面したサンサは、城壁の上で息を呑む。
その隣で空を駆けるデナーリスとジョンの戦いぶりを見ていたアリアは、地下に逃げるようサンサに言い、短剣を渡す。使い方が分からないというサンサにアリアは言った。
「尖った方で刺すのよ」
それはかつて、黒の城(カースル・ブラック)へ発つジョンがアリアに贈った言葉だった。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

突如発生した猛烈なストームに視界を遮られながらデナーリスは上空から味方を援護するが、疲れを知らない死者の群れは容赦なく戦士たちに襲いかかる。ジェイミーも、ジョラーも、ブライエニーも、トアマンドも、サンダーも、すでに肩で息をしている。サムは死者の剣を受けそうになるところをエディソンに救われるが、その直後、エディソンが餌食となった。
「ウソだろ・・・サム」
サムはエディソンの亡骸を振り返ることなく、その場から脱した。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

「退却だ!退却しろ!!」
ブライエニーが叫ぶ。戦士たちは一斉に後退を始め、城内で待機していたリアナ・モーモントが城門を開けと命じた。傷ついた戦士たちは我先にと城内へなだれ込んでゆく。

その後を追ってきた死者の群れの前に立ち塞がったのは、グレイ・ワーム率いる”穢れなき軍団(アンサリード)”だった。しかし死者たちの進撃を止めることはできない。戦士たちを城内に逃がすのがやっとで、わずか数分度にグレイ・ワームは、あらかじめ用意してあった構の後方に下がれと命じた。構にくみ上げた木柵に火を点け、炎に弱い死者たちを食い止める作戦だった。
しかし、ストームに視界を奪われているデナーリスにはダヴォスが送り続けている点火の合図が見えていない。ダヴォスは火弓で点火を試みるが、弓の火力では凍り付いた木材に点火することができない。松明を持った傭兵たちは構までたどり着くこともできない。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

この窮地を救ったのはメリサンドルだった。”穢れなき軍団(アンサリード)”にガードされて構にたどり着いた彼女は凍り付いた木材を魔術で燃え上がらせた。炎の壁がウィンターフェル城を囲み、死者たちの進撃が止まる。城門前で踏ん張っていた戦士たちはひと息つくが、燃えさかる炎を前にしてサンダーは我を喪う。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』
「あなたにできることはない」
地下墓所。ブラックウォーター湾の戦いを勝利に導いたのは俺だと主張し、戦場にいれば他の者が見えないん何かが見えるかもしれないとヴァリスに話すティリオンを、サンサはひと言で斬り棄てる。
「できることはないと認めることが現実と向き合うこと」
デナーリスの戦いぶりを見たサンサも現実と向き合い、地下へ逃れてきたのだ。

その潔さに「結婚したままでもよかったかも」と、うそぶくティリオン。
サンサは「あなたが一番マシな夫だったことは確かね」と調子を合わせるが、デナーリスがいる限りそんなことはあり得ないと話す。サンサは忠誠心が対立するという意味で言ったのだが、ミッサンディにとっては聞き捨てならない言葉だった。
「その通り。彼女がいなければ問題はなかった。この戦いで生き残る者は一人もいなかっただろうから」

「だからあなたはここにいる」
神の森で待機しているブランは、これまでのことを詫びようとするシオンにそれだけ言い、三ツ目の鴉としての役割を実行する。鴉に潜り、夜の王(ナイトキング) に接近したのだ。

亡者(ワイト)と化したヴィセーリオンの背でブランの居場所を察知した夜の王(ナイトキング)は、右手をかざして亡者(ワイト)たちに指令を出した。自ら踏み台となって炎の壁を決壊させよ、と。構の前で立ち止まっていた亡者(ワイト)たちは続々と炎に身を投じ、後続の者たちは”死者の屍”を超えて構を越えていく。死者たちは城壁に殺到した。

「壁につけ!」
城内の動きが一変する。弓では間に合わないと判断した戦士たちは、上に登って死者たちを迎え撃つ。サムが、ブライエニーが、ジェイミーが、ジョラーが、ベリックが、トアマンドが、窮地の仲間を守るために剣を振るい続ける。
そのなかでただ一人、戦意を喪失している者がいた。
サンダーは燃えさかる炎を前に動けなくなっていたのだ。

そのサンダーの目の前で、アリアは自ら考案した槍を軽やかに操り、亡者(ワイト)たちの首を跳ね飛ばし、胸に突き立て、蹴散らしていく。その姿はダヴォスが思わず見とれてしまうほど、勇猛で華麗でいじらしかった。
「クレゲイン!おまえが必要だ!諦めるな!」
ベリックが呼ぶが、サンダーは戦おうとしない。
「奴らには勝てない。見て分からないのか?死と戦っているんだ!死には勝てない」
「それを彼女に伝えろ!」
ベリックが示した先にはアリアがいた。逃げ場をなくして追い込まれている。
サンダーは目を見開き、アリア目がけて駆け出す。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

諦めていない少女はもうひとりいた。
城内で暴れ回る巨人族の亡者(ワイト)に弾き飛ばされたリアナは、咆哮を上げながら立ち上がり、巨人目がけて突進した。巨人は片手でリアナを掴むと顔の前で軽々と持ち上げ、彼女の身体を砕いた。それでもリアナは諦めず、最後の力を振り絞って懐の剣を巨人の左目に突き刺した。巨人はリアナを持ったまま倒れた。動かなくなった小さな身体を死者たちが踏みつけていく。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

書庫に逃れたアリアは気配を消して移動しながら亡者(ワイト)たちの追撃をかわす。しかし行く手を阻まれ、城の奥へと追いやられていく。
彼女の窮地を間一髪で救ったのはベリックとサンダーだった。しかしベリックはアリアとサンダーを逃がすために無数の剣を浴び、荒れ果てた食堂にたどり着いたと同時に絶命した。

そこにはメリサンドルがいて、ベリックは役目を終えたと告げる。アリアは三叉鉾河(トライデント)の洞窟の外でベリックとソロスからジェンドリーを買い、連れ去っていった彼女の言葉を憶えていた。
「あなたを知っている。私たちはまた会うと言った」
「それが今。世界が終わるとき」
「私は大勢を殺すとも言った。それもあたった」
「茶色の目。綠の目――そして、青い目をね」
扉の向こうには亡者たちが殺到している。ここに来るのは時間の問題という状況でメリサンドルはアリアに問う。
「死神に言う言葉は何?」
「――まだ死なぬ」
アリアは剣の師匠だったシリオ・フォレルの言葉を口にすると、別の出入口へ走った。
青い目――夜の王(ナイトキング)を倒すために。

「来たぞ!」
亡者(ワイト)たちの気配を感じたシオンは、炎を灯した矢をつがえると「慎重に狙って、命中させろ」と鉄(くろがね)の兵たちに伝えた。

その同時刻、ジョンはレイガルの背にしがみつきながら、神々の森の上空で夜の王(ナイトキング)と戦っていた。互いの首に牙をたてながらもつれ合うように降下する2頭のドラゴン。夜の王(ナイトキング)は氷の槍を放つ機会をうかがうが、その刹那、デナーリスが強襲。ドロゴンの脚で弾き飛ばされた夜の王(ナイトキング)は、ゆっくりと落下していった。
一方、ジョンもレイガルの着陸時に放り出され、雪原を滑る。起き上がったジョンは夜の王(ナイトキング)を探す。

「ドラカリス」
上空から夜の王(ナイトキング)の位置を確認したデナーリスは、迷わずドロゴンに命じた。前夜、ブランが「誰も試みたことがない」と言った方法だった。亡者(ワイト)は火に弱い。それを操る夜の王(ナイトキング)の弱点であってもおかしくはない。そうであってほしいとその様子を見守っていたジョンは願う。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

しかし、ドロゴンが作り出した火の海のなかで、夜の王(ナイトキング)は立っていた。そしてデナーリスを見上げて笑みを浮かべた。デナーリスは夜の王(ナイトキング)が足元にあった氷の槍を掴んだ瞬間、そこから飛び去るしかなかった。

ジョンは火の海を城に向かって進む夜の王(ナイトキング)を追う。神々の森にいるブランが囮であることを悟られないように夜の王(ナイトキング)をおびき寄せ、一騎討ちで倒す。そのチャンスは、彼の目の前にあった。

多大な犠牲を払っていた。形勢は圧倒的に不利だった。誰もがすでに疲れ果てていた。それでもかすかな希望でしかなかったジョンの作戦は、願いどおりに進んでいると言って良かった。夜の王(ナイトキング)は今、ドラゴンの背ではなく、戦える距離にいるのだから。
(ここで仕留める。刺し違えてでも・・・・・・!)

ジョンはロングクロウを握る手に力を込めた。
しかし――背後から迫るジョンの気配を察知した夜の王(ナイトキング)は、ゆっくりと振り向くと手の平をやや上に向け、両腕を徐々に持ち上げてゆく。
堅牢な家(ハード・ホーム)での戦いで死者が蘇る様を見ていたジョンはスピードを上げて夜の王(ナイトキング)との距離を詰めようとするが、行く手を死者たちに阻まれる。城内ではリアナが、城外ではエディソンやドスラクの騎士たちが青い目を開いて立ち上がろうとする。
倒したはずの死者だけでなく、倒された仲間たちもが蘇り、死の軍団に加わるという、途方もない絶望感が生者たちを飲み込んでゆく・・・・・・。

獲物を求めて突き進む死者たちは、ついに地下室の壁を破り避難していた女性や子どもたちに襲いかかる。絶叫がこだまする地下通路で、ヴァリスは言葉をなくして立ちつくす。

デナーリスの援護によって窮地を脱したジョンは、夜の王(ナイトキング)を追って神々の森へ向かう。一息つきたいデナーリスだったが、今度は自身が窮地に追い込まれる番だった。着地したドロゴンに死者たちが襲いかかってきたのだ。

剣を突き立ててよじ登ってくる死者たちを振り払うため、激しく身をよじって飛び立つドロゴン。デナーリスはその背から振り落とされ、死者の群れのなかに置き去りにされた。ドロゴンに振り落とされた死者が、尻餅をついたまま後ずさりするデナーリスに襲いかかる。間一髪のところで死者の首をはねたのは、彼女が最も信頼する男・ジョラーだった。

城内に入ったジョンは死者たちに囲まれ、押し倒され、ほとんど絶望的な状況にある仲間たちに心のなかで詫びながら、目の前の敵だけを斬り倒して先を急ぐ。しかしヴィセーリオンの炎に行く手を阻まれ、神々の森へ近づくことができない。

神々の森ではシオンと鉄の兵が奮闘を続けていたが、ついに矢が尽き、兵たちは斃れる。シオンは弓を棄てて槍を持ち、襲いかかってくる死者を一人、また一人と仕留めていく。もはや立っているのがやっという状態ながら、ただ一人、ブランの前に鬼神の如く立ちはだかる。

そこへ、ついに夜の王(ナイトキング)が騎士たちを引き連れてやってくる。死者たちの間をゆっくりと歩いてくる夜の王(ナイトキング)と対峙したブランはシオンに声をかける。
「シオン。あなたはいい人だ。感謝します」
シオンは涙をこらえながらその言葉を聞くと、槍を構え直し、雄叫びをあげて夜の王(ナイトキング)に向かって駆けだした。
夜の王(ナイトキング)はその槍を片手で受け止めてへし折り、鎧の上からシオンを貫いた。そしてブランに歩み寄る。

城の外ではデナーリスも剣を手に戦っていた。ジョラーは彼女に近づく敵をことごとく排除していたが、ついに死者の槍を受け膝を折る。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

黙して語らない三ツ目の鴉を前にして、夜の王(ナイトキング)は背中の剣に手を伸ばす。その時、一陣の風が、後方に控えていた騎士の頬を軽く撫でた。
一陣の風は、アリアだった。神々の森の付近に身を潜めて機をうかがっていたアリアが、ドラゴングラスの短剣を手に宙を舞って襲いかかったのだ。

夜の王(ナイトキング)はそれさえも察知した。振り向きざまにアリアの首根っこを掴み、両手で締め上げる。アリアの剣はわずかに届かなかった。
しかし、その直後にほんの一瞬だけ、隙ができた。アリアの左手から落下した短剣を、夜の王(ナイトキング)が目で追ったのだ。アリアはその一瞬を逃さなかった。短剣を右手で掴み、渾身の力で突き刺した。ウィンターフェルでブライエニーと剣を交えた時のように。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

その一撃で夜の王(ナイトキング)と騎士たちは粉々に砕け、死者たちは次々に倒れていった。ジョンに炎を浴びせる寸前だったヴィセーリオンも音を立てて崩れ落ちた。
戦いは終わったのだ。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

ジョラーは愛するデナーリスの腕のなかで絶命した。
その傍らで、ドロゴンが翼を休める。

【ネタバレ解説】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8(最終章)『#3 長き夜』

焼け野原に歩み出したメリサンドルは首飾りとともに偽りの姿を棄てた。
公言どおり、紅の女は夜明けを待たずにその役目を終えた。
最期を見届けたのはダヴォスだった。

コメント