常冬の大地
狂王エイリス・ターガリエン統治時代のキングズ・ランディング。エイリスを後ろから斬ったジェイミー・ラニスター。鬼火(ワイルド・ファイアー)が炸裂したブルーウォーター湾。堅牢な家(ハード・ホーム)での戦い。夜王(ナイトキング)に腕を捕まれた瞬間……過去を見渡したブラン・スタークはようやく現世に戻ってくるが、荷車に彼を乗せて洞穴から逃げたミーラ・リードは雪深い森の中で力尽き、足を止めた。
「ミーラ……見つかった」
後方から迫ってくる亡者(ワイト)たちの気配を感じ、ブランを抱きしめるミーラ。
(ごめん、ブラン・・…もう動けないよ――)
その瞬間、フードを被った騎士が現れた。騎士は馬を自在に操りながら鎖のついた砲丸と鎌を振るい、襲いかかってくる亡者(ワイト)たちを次々と倒していく。
そして亡者(ワイト)たちの襲来の間隙を縫ってミーラに声を掛けた。
「一緒に来い。死人は休まないぞ」
騎士はブランを担ぎ上げ、ミーラの手を取ると、馬を促した。
ブランとミーラを救った騎士は、行方不明になっていた冥夜の守人(ナイツ・ウォッチ)の哨士長(ファーストレンジャー)ベンジェン・スタークだった。ベンジェンは三つ眼の鴉の要請で助けに来たと言い、行方不明になった経緯を話す。そして「人間の世界にやってくるホワイト・ウォーカーを迎え撃つ準備を整えろ」と、三つ眼の鴉となったブランに言った。
角の丘城(ホーンヒル)
故郷の角の丘城(ホーン・ヒル)に向かう馬車のなかで、サムウェル・ターリーはジリに「継承権を放棄しないと殺すとまで言った父(ランディル・ターリー)が、歓迎してくれるとは思えない」と不安な胸の内を打ち明ける。野人嫌いの父には伝えていないが、ジリのことも不安材料のひとつだった。そんなサムにとって頼みの綱は赤ん坊のサムだった。孫を連れて戻れば態度を軟化させ、読み書きなどの教育を受けさせてくれるかもしれない――そう考えていたのだ。
到着したサムとジリを迎えたのは、母と妹のタラだった。母「すてきな方ね」とジリを歓迎し、赤ん坊を抱き上げておばあちゃんぶりを発揮。妹は美しい姉ができたことが嬉しいようで「お風呂に入った後で夕食に着るドレスを選んであげる」と笑った。
サムは妹ドレスを着て見違えたジリを伴い、夕食のテーブルに着く。黒の城(カースル・ブラック)での生活について聞いたランディルは「冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)になれば少しは男らしくなると思ったが豚のままか」と嘆き、ジリとの会話から彼女が野人の娘であることを見抜き、憤怒する。
そんなランディルにジリはサムがいかに勇敢で、どうやって自分を守ってきてくれたのかを話すが、ランディルと弟のディコンは「ホワイト・ウォーカーなどいない」と呆れ、サムに対しては「野人の娼婦を連れて来て共に食事をさせるとはな!」と言った。
その言葉を聞いて母はジリとタラを連れて席を立った。
「恥さらしなのはあなたよ」とランディルに言い残して。
するとランディルは「おまえにはもったいない母親だ」と言い、「彼女に免じてジリを厨房においてやる。落とし子もここで育ててやる。だからおまえは今夜中にここを去れ」と告げた。
サムはランディルに言われたとおり、ジリと赤ん坊を置いて知識の城(シタデル)へ発とうとする。しかしすぐに思い直して部屋に戻り、ジリと赤ん坊を連れて故郷を後にした。
家宝のヴァリリア鋼の剣『ハーツ・ペイン』を腰に挿して――。
キングズ・ランディング
”贖罪の道行き”を前に、ようやく王妃との面会を果たしたトメン王は、憑きものが落ちたように穏やかな表情をしているマージェリーの姿に驚き、戸惑う。
このまま抵抗を続けていたら未来はない――
そう悟ったマージェリーは、神のしもべとして生きる決意を固めていたのだ。
「これまで自分に言い聞かせてきた人柄や行動理由は、すべて嘘に満ちていました」
マージェリーはそう言ってトメンの手を取り、兄ロラス・タイレルにも贖罪が必要だと話した。
”贖罪の道行き”当日、ジェイミーは予定通りメイス・タイレルとともに聖堂へ向かい、埋め尽くした群衆を割って軍を進めた。そこにはレディ・オレナの姿もある。
マージェリーとロラスを引き渡せばすぐに帰るとジェイミー。しかしマージェリーの隣に立つ雀聖下(ハイ・スパロー)はひるむ様子もなく答える。
「わたしに引き渡す権利はない。あなたにも連れ帰る権利はない」
そうだ、そうだと口走る群衆に対して舌打ちをして、ジェイミーは馬を促して石段を駆け上る。同時に、兵が槍を構えた。
「バラシオン家のトメン一世の名において」
「この件に王は関与しない」
「2度に渡って名家を陥れるなど許されん。言語道断だ。マージェリーが歩き出す前に雀(スパロー)どもは皆殺しにする」
「やりなさい」
そう言ってジェイミーを見据えた雀聖下(ハイ・スパロー)だったが、あっさりと引き下がった。彼はジェイミーの武力行使を予見し、”贖罪の道行き”が行えなくなった場合の対策を立てていたのだ。
「王妃はすでに罪を購った。七神の真の光のもとへ、別の者を導いた――」
その声を受けて、聖堂の扉から姿を現したのはトメン王だった。
トメンは石段の中腹まで降りるとマージェリーの手を取り、沸き返る群衆に向けて宣言した。
「王室と信仰。世界を支えるこの2つの柱は、協力し合い、七王国を再び栄光へと導く」
王室と信仰との神聖なる同盟。雀聖下(ハイ・スパロー)の願いが成就した瞬間だった。
トメンは信仰に対する攻撃を目論んだジェイミーに対して”王の楯(キングズ・カード)”の任を解き、ただちにリヴァーラン城へ向けて兵を挙げ、”ブラックフィッシュ”ブリンデン・タリーと交渉せよと命じた。
それでもジェイミーは、屈強な傭兵を集めて聖堂へ乗り込み、雀聖下(ハイ・スパロー)と雀(スパロー)たちの首を斬り落とすとサーセイに話す。しかしサーセイは「奴らは必ず叩きのめす。あなたが死んでは元も子もないから軍を率いて交渉役を務めてほしい」と頼む。
双子城(ツインズ)
リヴァーラン城の落城を受け、ウォルダー・フレイは”釁(ちぬ)られた婚儀”のあとでブリンデン・タリーを逃がした息子たちを責め、奪い返せと檄を飛ばす。しかし、マリスター家とブラックウッド家が反旗を翻したために兵力が激減しており、旗印なき兄弟団(ブラザーフッド)の暗躍もあって、1年の包囲戦に耐えられるリヴァーラン城を奪還するのは不可能に近い。
しかしウォルダー・フレイは弁解は女でもできると言って若い妻の尻を叩き「このままで笑いものだ、どうにかしろ!」と激怒。地下牢に幽閉してきたエドミュア・タリーを使い、”釁(ちぬ)られた婚儀”が誰のための宴だったのか思い知らせてやれと言った。
ブレーヴォス
エダード・スタークの処刑やジョフリーの毒殺、ティリオンによるタイウィン殺害など、王都の出来事を描いた舞台を見物していたアリアは、サーセイ役のレディ・クレインの演技に胸を打たれる。素人のアリアにも彼女の演技力が突出していることは理解できた。そして、マージェリー役の若い女優が彼女を追い落とそうとしていることも……。
終演後、舞台の裏側に侵入したアリアは、ためらいながらもレディ・クレインのラム酒に毒薬を投じる。しかし、去ろうとしたところをレディ・クレイン呼び止められ、話をすることに。彼女が舞台に上がった経緯と女優という仕事への愛情を知ったアリアは、自らの使命を忘れ、ジョフリー毒殺のシーンの脚本を変えることを提案。
納得したレディ・クレインは別人になる才能を持っていると感じたアリアの提案をそのまま脚本家に伝える。しかし彼は「口出しをするな」と突っぱねる。仕方がないと諦めて、いつものようにラム酒を口にするレディ・クレイン。しかし次の瞬間、そのグラスはフロアに落ちて割れた。戻ってきたアリアが払いのけたのだ。驚いて見上げるレディ・クレイン。アリアはマージェリー役の若い女優を指さして言った。
「あの女に注意して。あなたの命を狙っているわ」
そう言って去っていくアリアの姿を見ていた女がいた。黒と白の館の娘だ。
アリアは桟橋へ行き、誰でもない者になるために手放した”ニードル”を石畳の奥から取り出した。最後のチャンスを自ら潰した以上、無事では済まないと分かっていたからだ。
娘は黒と白の館へ戻り、アリアの所業をジャクエン・フ=ガーに報告した。
「才能があったのにな。苦しませずにやれ」
ジャクエンは惜しみながら、アリアを始末することを命じた。
ドスラクの海
デナーリスは砂漠地帯でドロゴンが通った形跡を見つけて血盟の騎士たちの行進を止めた。ミーリーンまで1週間。ウェスタロスに渡るためには1,000隻の船が必要だとダーリオ・ナハリスに聞いたデナーリスは、その場で待つように命じ、ドロゴンの背に乗って戻ってきた。
上空を回遊するその姿に圧倒された血盟の騎士たちは、地上に舞い降り、ドロゴンの背から皆を鼓舞するデナーリスの声を聞く。
「木の馬で黒い塩水を渡るか?」
「鉄の甲冑の男どもを殺し、石の家を崩すか?」
「わたしのために七王国を獲るか?カール・ドロゴ”が山々の母の前”で誓ったように!」
男たちは拳を、剣を、槍を突き上げ、その声に応え続けた。
ゲーム・オブ・スローンズ シーズン6 『第6話 わが血族の血』地図と登場人物
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