ミーリーン
デナーリスはバリスタン・セルミーの屍の前で涙を流し、名家の者を全員捕らえよと命じ、ヒズダール・ゾ・ロラクも投獄した。そして全員の地下牢に連行し、そのなかのひとりをドラゴンの前に跪かせた。腹をすかせていたドラゴンは暗闇の向こうから彼に炎を浴びせると、先を争うようにして身体を引きちぎり、腹の中に納めた。
「ヴァラー・モルグリス」
観念して目を閉じたロラクを見て、デナーリスは「残りは明日よ」と伝えた。
意識を取り戻したグレイ・ワームに、ミッサンディは3日間眠っていたことと、バリスタン・セルミーが逝去したことを告げた。バリスタンと多くの部下を失い、女王の信頼を裏切ったと自分を責めるグレイ・ワーム。ミッサンディは待ち伏せされていたのだから仕方がない、恥じることはないと慰め、「ナイフが刺さった瞬間、もう君に会えなくなるのかと思った」と胸を内を明かしたグレイ・ワームにやさしくキスをした。
参謀を2人とも失ったデナーリスは、そんなミッサンディに意見を求める。ミッサンディは見てきたことしか言えないといい、これまでデナーリスがどうやって重要な決断を下してきたのかを話す。
デナーリスは地下牢を訪れ、ひざまづいて慈悲を乞うヒズダール・ゾ・ロラクの前で間違いを認め、自由民による闘技場の再開を承諾。そしてミーリーンの人々との絆を深めるため、ロラクに「名家の家長であるあなたと結婚する」と告げた。

黒の城(カースル・ブラック)
奴隷商人湾の統治がうまくいかず、デナーリスが孤立していることを知ったメイスター・エイモンは力になってやれない自分を責め「ターガリエンの者がひとりになるとは……」と嘆く。ジョン・スノウはそんなエイモンにアドバイスを求め、エイモンは話を聞く前から「やるのだ。子どもの心は棄てなさい」と答える。
ジョンはトアマンドを呼び、”壁”の北へ行き、自由の民たちを集めて戻ってこいと命じる。トアマンドは「誰もひざまづくことはない」と答えるが、ジョンは「ひざまずかなくていい。共に戦ってほしい」と頼み、トアマンドの鎖を外す。そして、指導者になって民を南まで連れてこいと命じる。
トアマンドは大半の民はストロルド岬の堅牢な家(ハードホーム)にいると言い、スタニスに船を貸してくれと頼むのなら、おまえも来いとジョンに言った。
「船が海で焼かれはしないと、おまえが皆に示せ。でなければ行かない」
食堂に集まった冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)たちは、自由民たちを南に連れてくるというジョンの提案に反対する。多くの仲間が彼らに殺されたからだ。サムウェル・ターリーが贈り物の土地や廃村を与えればいいと提案しても、そもそも廃村にしたのは誰だという話になり、アリザー・ソーンも「奴らには村を破壊され兄弟を殺されてきたんだぞ」と主張した。
いつもジョンを支えてきたエディソンは「俺はおまえについて行く」と宣言するが、グレンとピップと50人の兄弟を殺されたことは忘れない、決して許すことはできないと言った。
「拳(フィスト)で見ただろう?彼らを見捨てるとどうなるのか。共に生きなければ、彼らは死の軍団に加わってしまう。野人であっても、死人よりはいいじゃないか」
ジョンは説得したが、賛同を得られないまま会議は終了した。
疲れ切って部屋に戻ったジョンに食事を運んできたオリーは、目も合わせようとしないで部屋を出て行こうとする。そんな彼を呼び止めジョンは言った。
「言いたいことがあるなら、ここで言え」
オリーは振り返り、ジョンの目を見据えて言った。
「作戦なんですよね?手を結ぶフリをして罠に掛けるんでしょ?」
「違う」
「奴らは村を焼き、僕の前で父さんの頭を射ました。母さんも知り合いも皆殺しにされました」
ジョンはオリーに歩み寄って語りかける。
「気持ちはわかる。辛いだろう。しかし、”冬来る”なんだ。冬とともに来るものに、我々だけでは勝てない」オリーはそれ以上話そうとはせず、部屋を出ていった。
スタニス・バラシオンは図書室でサムに、彼の父であるランディル公が戦でロバート・バラシオンを破ったことを話す。そして「おまえは戦士には見えないが」と言った上でホワイト・ウォーカーを倒した時のことを訊く。サムがドラゴングラスの短剣で倒したと話すと、スタニスはそれならドラゴンストーン城にもあるといい「読書を続けて真相をつかめ」とサムを激励した。
そしてスタニスは「ジョン・スノウの帰還を待った方が」というダヴォス・シーワースの進言を退け、ウインターフェルへ進軍する。
ウィンターフェル
ブライエニー・タースとポドリック・ペインは、ウィンターフェル城からほど近い宿に入った。ブライエニーはそこでエダード・スタークはもちろん、その父もよく知っているという男と出会う。そして自らは今もレディ・キャトリンに使える者だと名乗り、サンサ・スタークへの伝言を頼む。
ラムジー・ボルトンは、肉体関係を続けている犬舎長の娘ミランダに面倒だから嫉妬するなと忠告する。
浴槽のお湯を足しにきた従女は、北部にはまだスターク家への支持者がいると前置きした上でサンサに伝えた。
「お困りの時は、壊れた塔の一番高い窓にロウソクの火を。あなたは一人ではありません」
サンサが壊れた塔を見上げていると、ミランダが声を掛けてきた。ミランダはサンサのドレスを褒め「懐かしいものを見せてあげる」と言って犬舎へ案内する。
「ここの突き当たりに信じられないものがあるわ」
サンサは吠え続ける獰猛な犬たちを横目に奥へと進み、突き当たりの部屋をのぞき込んだ。
そこにいたのはシオン・グレイジョイだった。
リーク(シオン)からサンサと再会したことを聞いたラムジーは、ルース・ボルトンとその妻ウォルダが揃った晩餐の席にリークを呼び、弟たちを殺したこと(実際には殺していない)をサンサに謝罪させる。その上で、婚礼の場では花嫁の引き渡し役を務めてはどうかと提案。サンサは言葉を失うが、ボルトンが認めたため、従うしかなかった。
ラムジーは満足するが、ボルトンの報告を聞いて顔色を変える。ウォルダが子を宿したというのだ。しかも学匠が言うには間違いなく男だと――。一転、立場が危うくなったラムジーの隣で、サンサはほくそ笑む。
しかしその夜、ボルトンはラムジーの母親と彼を引き取った経緯を話して聞かせ、改めて「おまえは俺の息子だ」と語りかける。そして、間もなく黒の城(カースル・ブラック)を出てここへ向かってくるでろうスタニス・バラシオンとの戦いに力を貸せと言った。
ヴァリリア・煙立つ海(スモーキン・シー)
ジョラー・モーモントが舵を取る小舟でヴァリリアの廃墟を流れる河を下るティリオン・ラニスターは、上空を飛ぶ巨大なドラゴンを目撃し、船の上で立ち尽くす。そして何かが河に落ちた音を聴く。警戒を強める2人。次の瞬間、灰鱗病に冒された石化人(ストーンマン)が続々と船に飛び乗ってきた。
ジョラーが剣で撃退するが、手首を縛られているティリオンは戦うことができない。少しでも肌に触れられたら灰鱗病に冒されてしまうため、ティリオンはイチかバチかで河へ飛び込む。しかし、石化人(ストーンマン)に水中深くに引きずり込まれてしまう……。
ティリオンは、河岸で息を吹き返す。ジョラーが敵を撃退して救助したのだ。ジョラーは縄を切りティリオンに石化人(ストーンマン)に触れられていないかと確認する。水中での記憶がないティリオンは首を振るしかないが「あれほどの灰鱗病は見たことがない」と吐き捨てる。
立ち上がり、薪を拾いにいくジョラー。その手首は灰鱗病に冒されつつあった。
ゲーム・オブ・スローンズ 完全ガイド シーズン5『第5話/”壁”の決断』地図と登場人物


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