よくわかる ! ゲーム・オブ・スローンズ シーズン4『第10話/世継ぎたち』 | VODフリーク

よくわかる ! ゲーム・オブ・スローンズ シーズン4『第10話/世継ぎたち』

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よくわかる ! ゲーム・オブ・スローンズ シーズン4『第10話/世継ぎたち』

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”壁”の向こう

よくわかる ! ゲーム・オブ・スローンズ シーズン4『第10話/世継ぎたち』

ジョン・スノウを天幕に招き入れたマンス・レイダーは、戦いで死んでいった者達に杯を手向けて追悼の意を表す。そして、門を開いて俺たちを通せと主張する。

仲間を伴わず丸腰で野営地を訪れたジョン・スノウをマンス・レイダーは天幕に招き入れる。
「俺たちへの忠誠が真実であることを祈ったが・・・・・ジョン・スノウ」
「仲間になり情報を集めろとクォリンは命じ、信用を得るために命を投げた。俺は彼と冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)の誓いを守らなければならなかった」

マンスはジョンの話に耳を傾け、イグリットが死んだことを知ると、追悼するため部下に命じて酒を用意させた。警戒するジョンに「おまえを殺すにしても毒だけは使わない」と断言し、マンスは杯を持ち上げた。
「イグリットに」
「・・・・・・イグリットに」

強烈な味にむせかえるジョンにマンスは続ける。
「昨夜、巨人の一人がトンネルに入り戻らなかった。怪力のマグだ」
「奴は死んだ。俺の友人を道連れにしてな」
「マグは巨人族の王で”最初の人々”以前の血を引く唯一の者だった」
「グレンは農場育ちだ」
マンスは再び杯を持ち上げた。
「マグとグレンに」
「グレンとマグに」ジョンも応えた。

マンスが食事の支度をするように部下に命じると、ジョンは要件を告げた。
「兵を引き揚げて帰れ」
「おまえらは矢も油もほとんど残っていないはずだ。人もいない。あと50人がいいところなんだろ?」
「トアマンドとオレルには話したが、まだ1000人以上いる」
「俺は10万の軍を見せた。その見返りが総攻撃か。たいした痛手ではなかったが、俺たちは400人に”壁”を登らせた。8キロ西の無人の場所からな。大勢死ぬだろうが、登り切る奴も少なくないだろうとな」
ジョンは表情をこわばらせる。これ以上、はったりは通用しない。

「おまえは嘘ばかりついているが、俺は正直に話す。もう十分部下を失った。俺たちは”壁”を征服するつもりなどない。隠れにきたんだ。おまえらと同じだ。おまえらのトンネルが必要だ。分かっているだろう?冬来たるだ。”壁”の南に逃げなければ、死ぬよりも恐ろしい事態になる。交渉に来たと言うのなら提案しよう。帰って門を開き、俺たちを通せ。そうすれば誰も殺さない。断れば――黒の城(カースル・ブラック)の者は皆殺しだ」

ジョンは切り株に突き刺さっている短刀に目をやるが、マンスは動じない。
「ほう。そのために来たのか?それをとれば俺を殺すことはできるだろう。だが、部下はその後でおまえをじっくりといたぶりながら殺すぞ。分かっているだろうがな」

次の瞬間、天幕の外から叫び声が聞こえた。
「馬が来るぞ!」
マンスは切り株の短剣をつかむと、ジョンの喉元に突きつけた。
「おまえらの仕業か!?」
「違う!もう兵はいない!」

天幕を飛び出したマンスとジョンの目に映ったのは、旗を掲げた騎馬隊だった。どこから沸いてきたのか、雪原を埋め尽くすように円形の隊列を組んでマンス軍が陣取っている森の中へつっこんでいく。

予期せぬ敵の出現に我を失い逃げ惑う野人たちを確実に追い詰めて馬上で仕留めていく騎士たち。野人たちの武器では甲冑で固められたその身体に致命傷を与えるのは容易なことではない。次々に斬り倒されていく部下たちを見てマンスは決断する。

「もう戦うんじゃない!抵抗をやめろ!」
これ以上部下を失いたくない。マンスは悲痛な叫びを上げた。
その目前に姿を見せたのは――狭い海(ナロー・シー)の王・スタニス・バラシオンと”王の楯(キングズ・カード)”のダヴォス・シーワースだった。

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真の王となるため、メリサンドルの進言に従って屈強な傭兵たちとともに北の地に乗り込んできたスタニスとダヴォス。

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「王の前ではひざまずき、陛下と呼べ」。”玉葱の騎士”ダヴォスの要求をマンスは笑って聞き流す。

「”壁”の向こうの王か」
剣を捨てて向き合ったマンスにスタニスが訊ねる。
「ああ」
「私のことを?」
「知らんな」
「七王国で唯一の王、スタニス・バラシオンだ」
ダヴォスが眉根を寄せながら伝えた。
「ここは七王国ではない。着ている服もちがうだろ?」
武器がなくても動じないマンスにスタニスは言う。
「王に降伏するときはひざまずけ」
「俺たちは違う」
「おまえの部下に鎖をかけ、野ざらしにもできるが、そんなことをしに来たのではない。部下の運命は王次第だ」
「だとしても、俺がひざまずくことはない」
笑みを浮かべてマンスは答え、スタニスは部下に野人たちを連行しろと命じる。

ダヴォスはジョンを見て冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)が何をしているのだと聞く。
「”壁”の向こうの王との交渉だ」
「スタニス王が唯一の王だ。陛下と呼べ」
「分かっている。私の父はスタニス王のために死んだ」
不思議そうな顔をしたスタニスにジョンは続ける。
「私はジョン・スノウです、陛下。父はネッド・スターク」
「そうか――おまえの父は立派な男だった」
「その通りです」
「ネッド・スタークなら、彼をどうした?」
マンスの方を見て、ジョンは言った。
「私は彼の捕虜でした。彼は私に拷問することもできたが、決してしなかった。父なら彼を捕虜にして話を訊くでしょう」
「よかろう」
スタニスが連行しろと命じると、マンスは自ら歩いていった。そしてジョンは言った。
「私が見たものを父が見たなら、夜が来る前に死体を焼けと命じるでしょう。一体残らず」

よくわかる!【海外ドラマ】ゲーム・オブ・スローンズ シーズン4 登場人物と相関図
北では黒の城(カースル・ブラック)の戦い。王都では代理闘士の激突が!因果関係をしっかり押さえておきましょう!

黒の城(カースル・ブラック)

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イグリットのことをジョンに話すトアマンド。

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ジョンは壁の北側でイグリットの遺体を焼いた。「あんたは何も知らないんだね、ジョン・スノウ」。あの言葉をもう聞くことはない・・・・・・。

黒の城(カースル・ブラック)に戻ったジョン・スノウは、スタニスやダヴォス、メリサンドルらが見守るなか、今回の戦いで斃れた者たちを敵味方に関係なく中庭に集めて焼いた。

エイモンに傷の手当てを受けて拘束されているトアマンドは、自由民の弔いの言葉について聞きにきたジョン・スノウに特別なことはしなくていいと告げる。そしてイグリットはおまえを愛していたと話す。
「おまえを殺す。そればかり言っていたがな。あいつは北部の女だ。真の北部の。意味は分かるな?」
ジョンは視線をそらして去っていった。

そしてジョンは一人で”壁”の北側に出て、ウェアウッドの木の前にこしらえたベッドでイグリットの遺体を焼いた。

ミーリーン

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ドラゴンたちをコントロールできなくなってきたデナーリスは、奴隷商人湾の統治を優先するために苦渋の決断をした。

デナーリスに謁見を求めてきた老人フェネズは、親方の元に戻ることを認めてほしいと願い出る。彼は親方の元で子ども達の家庭教師を務めていたが、奴隷解放によって仕事をなくし、デナーリスが元奴隷のために用意した住居や食堂では若者に虐られているのだ。

「変化に対応できない年寄りには、今の暮らしには恐怖しかありません。惨めな生活です。私以外にも同じことを望んでいる者は大勢いるのです」
デナーリスはこの町に自由をもたらしたかったが、自由は自分でつかむものでもあると言い、1年間限定で親方の元に戻ることを認めた。

続いて現れた民は、デナーリスの前に黒焦げになった娘の遺体を置いて涙を流した。
聞けば、突然、空から襲いかかってきたドラゴンが焼き払ってしまったのだという。
最も凶暴で巨大なドラカリスの仕業と知ったデナーリスは唇を噛む。ドラゴンの母は、すでにドラカリスの制御ができなくなっているのだ。

デナーリスはこれ以上の被害を出さないために、残る2頭のドラゴン――ヴィセーリオンとレイガルを地下墓所に幽閉した。

常冬の大地

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ブランはとうとう、夢のなかで何度も見た――真っ赤な葉を付けたウィアウッドの大木に辿りついた。
「あそこに三ツ目の鴉がいる・・・!」
ブランの胸は高鳴るが、ジョジェンの衰弱はひどく、杖で身体を支えて歩くのがやっとだった。

そして――大木の根元の洞穴がはっきりと見えた瞬間、雪原から出現した亡者(ワイト)の手がジョジェンの脚を絡め取り、強烈な力で後方へ引きずり始めた。

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雪原から続々と出現する亡者(ワイト)たち。

ミーラが救出に向かい、どうにか亡者(ワイト)の手を引き剥がすが、斧や剣を手にした敵が次々と沸いてきて、ジョジェンのもとへ走り出したホーダーとソリの上で身動きができないブランにも襲いかかった。

間一髪でサマーに救われたブランは、2体の亡者(ワイト)から攻撃を受けているホーダーに潜り、ジョジェンとミーラに加勢しようとする。しかし亡者(ワイト)の執拗な攻撃を退けるのに時間かかり、ジョジェンは腹部を何度も刺されてしまう。

亡者(ワイト)はホーダーに潜っていて意識がないブランの後方からも現れ、ブランを目がけて雪原を跳ねるように走った。ホーダーに潜ったブランは為す術がない。しかし次の瞬間、2体の亡者(ワイト)は火の玉を身体に受けて弾け飛んだ。

「来て!ブランドン・スターク!」
意識を取り戻したブランが声がした方向を見ると、木の葉をマントのようにして羽織っている子どもが立っていた。

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火の玉を放ってブランを救ったのは、最初の人々が”森の子ら”と呼んでいた子どもだった。

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ブランを三つ眼の鴉のもとへ誘ったジョジェンは亡者(ワイト)に刺されて絶命した。

「彼はもう助からない。私と来るか、彼と死ぬか選びなさい」
子どもはジョジェンを救おうとしているミーラに向けて言った。
「行って」
ジョジェンが最後の力を振り絞って促すと、新たな亡者(ワイト)が出現した。
ミーラはきつく目を閉じてから、短剣でジョジェンを楽にしてやり、涙を拭って雪原を蹴った。
ミーラが洞穴の手前まで来ると、少女は火の玉をぶつけてジョジェンを焼き払った。

ホーダーに抱えられたブラン、サマーに続き、ミーラと子どもが洞穴の中へ飛び込んだ。追ってきた亡者(ワイト)たちは、洞穴に入った瞬間に砕け散った。

「奴らを動かす力はここまで届かない」
そう言った子どもにブランが名前を聞くと彼女は「最初の人々は”森の子ら”と呼んでいたが、私たちは彼らより以前からここにいる」と言い、洞穴の奥へブランたちを案内した。
無数の根が張り巡らされた洞穴の奥には至る所に鳥や獣の骨、そして人骨と思われる白骨が転がっている。そこを腹ばいになって進んだブランは、大木の根に絡め取られたような形で座っている白皙(はくせき)の老人の前に出た。そして彼を見上げて話しかけた。

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「おまえは二度と歩くことはできぬ。だが――空を飛べるようになる」。ウィアウッドの根に絡まっている老人はブランに言った。

「あなたが三つ眼の鴉ですか?」
「いろいろなものだった。今はおまえに見えている通りの者だ」」
「弟がここまで導いてくれた。たった今・・・・・・」
ジョジェンの死を伝えようとしたミーラに、老人は言った。
「彼は知っていたよ。発った時から死を知っていた。それでも彼は出発したのだ」
「なぜ分かるの?」
「わしは長い間、ずっと見ていたから。おまえたちを。千と一つの目で見守ってきた。そしてついにおまえはわしのもとへやってきた。ブランドン・スタークよ。ただし、今日はもう遅い」
「たしかに、僕はここまでやってきました。誰も死なせたくないから――」
「失ったものを発見できると願って、彼は死んだ」
「あなたは、僕の脚を治してくれますか?僕はまた歩けますか?」
老人は目を輝かせたブランを見ろして言った。
「おまえは二度と歩くことはできぬ。だが――空を飛べるようになる」

三叉鉾河(トライデント)

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キャトリンが再会を願っていたアリアと対面したブライエニー。彼女を保護することを望むが・・・・・・

目覚めると馬がいなくなっていたため、高巣城(アイリー)を目指して歩き始めたブライエニー・タースとポドリック・ペインは、その高巣城(アイリー)から戻ってきたアリア・スターク、サンダー・クレゲインと出会う。

ブライエニーは彼女の母キャトリンに仕えていたこと、キャトリンの命でジェイミー・ラニスターを護送したことを話す。するとサンダーは、ブライエニーに「ラニスターに金をもらって俺の首を狙いにきたのだな」と問う。ブライエニーは否定するが、サンダーは彼女がその腰にヴァリリア鋼の長剣を差していることを見逃さなかった。

「ジェイミー・ラニスターから譲り受けた」
ブライエニーが正直に話すとラニスターを恨み続けて生きてきたアリアは態度を硬化し「血みどろの門までは15キロだ。私があなたと一緒に行くことはない」と告げた。

ブライエニーはそれでもキャトリンとの約束を果たそうとするが、アリアはそれを断り、サンダーは「私といれば安全だ」と言ったブライエニーに反論する。
「安全などどこにある?こいつは叔母も母親も父親も兄も喪い、故郷のウィンターフェルはがれきの山だ。安全など、どこにもないのだ牝犬め!それが分からない奴に、この子を守る資格はない」
「・・・・・代わりにおまえが守るというのか?」
「ああ。俺が守る」
ブライエニーが先に、サンダーが後から剣を抜いた。
それを見てアリアは駆け出し、ポドリックが後を追った。

岩肌がむき出しになった丘陵地帯で、ブライエニーとサンダーは火花を散らした。
やがて勝負は剣を捨てての肉弾戦となり、これを制したのはブライエニーだった。サンダーは岩壁を転げ落ちて動きを止めた。

「アリア!どこだ!?」
岩陰に身を隠していたアリアはブライエニーの呼びかけに答えず、サンダーのもとへ歩いた。そして少し離れた岩に腰を下ろし、頭から血を流し、大腿部に深手を負っているサンダーを見つめた。

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ブライエニーに屈したサンダー。「俺が守る」と宣言したアリアとの旅はここで終わりを告げた。

「死ぬの?」
「この岩の後ろにメイスターがいなければそうなる。俺は終わりだ。女に殺されるとは、とんだお笑い草だ」
「・・・・・・」
「さあ、行け。あの女について行け。助けてもらえる」
アリアはちいさく首を振った。
「一人では1日と持たんぞ」
「おまえよりは持つ」
「――心臓の位置を覚えているか」
「・・・・・・」
「くそっ。覚悟はできた。やるんだ。リストから1人消える。殺すと言っていただろう」
「・・・・・・」
動こうとしないアリアにサンダーは告白する。
「俺はおまえの友達を殺した。奴は命乞いをした。”お願い、殺さないで”とな。でも俺は殺した。馬は血まみれになり、鞍にはにおいが残った」
「・・・・・・」
「おまえの姉貴・・・きれいな顔の。犯しておくべきだった。ブラックウォーター湾が燃えたあの夜、犯しておけば、冥土の土産になったろうな」
「・・・・・・」
「やれ」
黙ってサンダーの話を聞いていたアリアは、サンダーの腰から金の入った巾着を奪い、その場を離れた。
「殺せ!」
声を聞いてもアリアが振り返ることはなかった。

キングズ・ランディング

オベリン・マーテルとの決闘裁判に勝利したものの瀕死の重傷を負ったグレガー・クレゲインの傷を見て、グランドメイスター・パイセルは手の施しようがないと諦めるが、死霊魔術の研究者(ネクロマンサー)のクァイバーンは「メイスターには救えないが、私なら救える」と言って薬品を集める。

パイセルは「こういう傲慢な男だから知識の城(シタデル)から追放されたのです」とサーセイに訴えるが、サーセイはパイセルを研究室から追い出し、クァイバーンの魔術に懸ける。クァイバーンは治療の結果、グレガーは変わり果てた姿になるかもしれないと忠告するが、サーセイは「弱くならないのであれば問題ない」と言ってクァイバーンに委ねた。

ティリオンの死罪が決したことで意気が上がるサーセイは、タイウィン・ラニスターにロラス・タイレルとの結婚を白紙に戻すよう迫る。タイウィンは財政難の王都を運営するにはタイレル家の財力が必要だと言って突っぱねるが、サーセイはブラックウォーター湾の戦いで負けを覚悟し、トメンに毒薬を飲ませようとした時の覚悟を語り、トメンとともに王都に残ると主張。タイウィンは激怒するが、サーセイはこれを認めなければ、かねてから噂されてきたジェイミーとの関係が真実だと認めると脅す。

サーセイはタイウィンを脅したことをジェイミー・ラニスターに告げ、もう二人の関係を隠すことはないと言ってジェイミーの唇を貪る。そして二人はそのままお互いの肉体を求め合った。

静かに処刑の時を待っていたティリオンを迎えに来たのは、イリーン・ペインではなくジェイミーだった。ジェイミーはヴァリスの協力を得て、ティリオンを海路で自由都市ペントスへ逃がす段取りをつけていたのだ。

ジェイミーは赤の王城(レッド・キープ)の地下通路を松明で照らして先導し、石段の前止まって言った。
「この先に扉がある。2回ノックして、また2回だ。ヴァリスが開けてくれる」
「お別れだな」
思わず漏らしたティリオンをジェイミーは抱きしめた。
「さらばだ、弟よ」

ジェイミーが去り、ティリオンは扉へ続く石段を見上げた。しかし、扉をノックする前にやるべきことがあった。

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「私たちはお互いのもの」。そう誓い合った相手を手に掛けることになったティリオンは、シェイの亡骸に静かに詫びた・・・・・・

ティリオンが足音をしのばせて向かったのは、タイウィンの寝室だった。ろうそくで照らされたベッドにゆっくりと近づくと、女の気配がした。
「まさか・・・・・・そんな・・・・・」
ティリオンがさらに近づくと、女が身体をくねらせながら寝返りを打って声を発した。
「獅子殿?タイウィン?」
シェイはティリオンを見据えたままゆっくりと身を起こし、ベッドの脇にあった果物ナイフをつかんで起き上がると、ティリオンに襲いかかった。

ティリオンはその一撃を受け止めて体を入れ替え、ベッドの上でシェイに馬乗りになった。言葉を発することなく、憎しみをむき出しにして、かつて愛した男の顔を殴打するシェイ。ティリオンは彼女の首飾りをつかんで床に座り込むと、渾身の力でそれを捻った。
「すまない・・・・・・」
涙を流して詫びるティリオン。
長い髪を床に垂らしてシェイは息絶えた。その表情は、うっすらと笑みを浮かべているように見えた。

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シェイを娼婦と呼んだタイウィンに、ティリオンはクロスボウを向け、迷わず撃った。

やるべきことはまだあった。
ティリオンは壁に掛けてあったクロスボウと矢を手にして寝室を出た。そして厠の扉を静かに引いた。そこにはこちらを向いて用を足しているタイウィンがいた。
「武器を下ろせ」
「・・・・・・・」
「誰が逃がした?兄貴だろうな。おまえに甘いから。話は私の部屋でしよう」
立ち上がろうとしたタイウィンにクロスボウを向けて牽制するティリオン。タイウィンは浮かした腰をもとの位置にもどした。
「父親に恥をかかせる気か?」
「ずっと――死んでほしかったのか」
「ああ。その通りだ。しかしおまえは死を拒んだ。それは尊重しなければならない。おまえの戦う姿勢を私は尊敬すらしている。死が怖いのなら処刑はよそう。おまえが殺されることはない。イリーン・ペインがその首を落とすことはない。おまえはラニスターだ。私の息子だ」
しかしティリオンは死を怖れて許しを乞いにきたわけではなかった。
「彼女を愛していたんだ」
「誰を」
「シェイだ。彼女を殺した。さっき、この手で」
「関係ない」
「関係ないだと?」
「娼婦だ」
ティリオンはクロスボウを構え直した。
「今度言ったら――」
「なんだ。父親を厠で殺すのか?まさかな」
立ち上がろうとしたタイウィンにティリオンは声量を上げて訊く。
「あんたは息子に、自ら死刑を宣告した。俺が犯人ではないと知っているのに。なぜだ?」
「よせ。部屋で話そう。こんな格好のままではなく――」
「戻れない。部屋にはシェイがいる」
「死んだ娼婦か」
ティリオンはためらうことなく矢を撃った。腹部を撃たれたタイウィンは、後ろの壁に激しく背中を打ちつけて尻を着いた。ティリオンはいったん外に出て、2本目の矢をセットして戻ってきた。
「・・・・・撃ちおったな。おまえは息子ではない」
「息子だ。ずっとそうだった」
ティリオンは静かに呟くと、2本目の矢をタイウィンの左胸に撃ち込んだ。

扉を開けたヴァリスは、目の前に立っているティリオンを見てただごとではないと察したが、時間がない。
「私を信じてください」とだけ言って、ティリオンを木箱に誘導した。

ティリオンが身を潜めている木箱が船に積まれるのを見届けたヴァリスは、けたたましく鳴り響く赤の王城(レッド・キープ)の鐘の音を聴きながら出港を待った。

ソルトパンズの港

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1人になったアリアは、ブレーヴォスへと旅立った。

三叉鉾河(トライデント)の河口に近い町・ソルトパンズの港にたどり着いたアリアは、船長を探してお金を払うから北へ行きたいと頼む。

しかし船長は「氷と戦と海賊しかいない北へ行く理由がない。俺は故郷へ帰る」と言う。そこが自由都市ブレーヴォスだと知ったアリアは、ジェクエン・フ=ガーから譲りうけた鉄の硬貨を船長に手渡す。
「どこでこれを・・・!」
表情を変えた船長にアリアは言った。
「ヴァラー・モルグリス」
「ヴァラー・ドヘリス」
船長は額に指先をあてて応え、アリアを船に案内した。

よくわかる ! ゲーム・オブ・スローンズ シーズン4『第10話/世継ぎたち』地図と登場人物


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