()ネタバレを含みます。ドラマを見てわからないところがあった時などにお役立てください。
第3子を出産することなく亡くなったレイナ・ヴェラリオンの遺体は故郷ドリフトマークへ帰り、海へ沈められた。神妙な表情でそれを見送る諸侯のなかには、ライオネル・ストロングの逝去によって”王の手”に返り咲いたオットー・ハイタワー、ハレンの巨城(ハレンホール)の新たな城主となったラリス・ストロングの姿もあった。
デイモンと再会したヴィセーリスは、愛する妻を亡くした弟に王都へ戻ってこいと声を掛ける。しかし、デイモンは「俺にとっても娘たちにとってもペントスが故郷だ」と答えて話を切り上げ、オットー・ハイタワーの弔慰に対しても不快感を示してその場から去った。
城に戻ったコアリーズは「ペントスの医者は我々のグランドメイスターと同様に優秀で、デイモンは夫として最善を尽くした。誰の非でもない」と話すが、レイニスは「我々の傲慢さに対する罰かもしれない」と答える。そしてレイニスは「あなたは自分と子孫のために動いている。私が大昔に諦めた野心を、あなたはまだ追いかけている。子どもたちまで犠牲にして」と責める。
コアリーズは「遺産を残さない人生に何の意味がある?」と反論するが、レイニスも「生きる目的そのものが遺産なのよ」と譲らない。そして「ドリフトマークの後継者は、真のヴェラリオンの血を継ぐベイラにして。それでレーナを偲ぶと皆の前で宣言してほしい」と頼む。
コアリーズは「それではレーナーの子どもたちの出自の疑いを認めることになる」と渋るが、レイニスは「レイニスの子は我々の血筋ではない」と断言。そして「レーナの子どもたちは彼女が残した遺産なのよ」と諭す。しかし、それでもコアリーズは自身の哲学を貫く。
「歴史に刻まれるのは血筋ではない。名前なのだ」
デイモンの後を追って砂浜に出たレイニラは、結婚生活に関するレーナーとの取り決めや、子どもをつくるための自身の努力と務めについて話す。そしてその辛さから逃げるためにハーウィン・ストロングと関係を持ったと打ち明けた。そしてハレンの巨城(ハレンホール)への帰郷を止めるべきだったと後悔する。
それもこれも自分がレイニラを捨てたせいだと分かっているデイモンは「子どもだったから手を引いた」と認めた。レイニラはそんなデイモンの唇を求めて言った。「あなたが欲しい」
葬儀のときから海原に響き渡るドラゴンの咆哮を気にしていたエイモンドは、用心深く声の主を探す。そして丘の向こうで羽根を休めて眠っている世界一巨大なドラゴンーヴァーガーと出会ったエイモンドはそのスケールに圧倒されながらも騎座によじ登った。そして騎竜者(ドラゴンライダー)としての未来を自ら切り拓いてみせた。
ヴァーガーを乗りこなしてドリフトマークに戻ったエイモンドは、「母上のドラゴンを盗んだ」と攻撃的な目を向けるレイナとベイラに「もう遅い。ヴァーガーは俺のものだ」と主張。そして「そいつらに豚をもらえ。お似合いだ」とジャセアリーズとルケアリーズを嘲笑。そして喧嘩の火蓋は切られた。
1対4。圧倒的不利な状況ながらエイモンドは、剣術の稽古で開花したセンスを存分に発揮し、向かって来る相手を次々と殴り倒していく。体格は変わらないが力の差は圧倒的で、レイニラの息子たちを「落とし子」「ストロング公」と揶揄する余裕もあった。
しかし、結果的にこの一言がエイモンドの人生を変えた。ハーウィンをバカにされて頭に血が上ったジェセアリーズが取り出し、ルケアリーズが拾ったナイフで顔を切り裂かれ、エイモンドは左眼を失ったのだ。
事態を知ったヴィセーリスは”王の楯(キングズ・カード)”と王都の守人(シティ・ウオッチ)を激しく叱責。エイモンドの治療にあたっているメイスターが左眼の失明を断言すると、アリセントは飲んだくれて寝ていたエイゴンの頬を張ってふがいないと責めた。
当の子どもたちは、コアリーズとレイニラが入ってきたのを機に、口々に声を上げ始める。それを一喝して鎮めると、ヴィセーリスはエイモンドににじり寄って真実を話せと迫る。
するとジャセアリーズが「僕たちを落とし子と言った」と告発。それを受けてレイニラは「最悪の反逆罪よ」と声を荒げ、エイモンドから噂の出所を聞き出すべきだと主張する。
アリセントは「たかが侮辱でしょ?息子は目を失ったのよ」と反論するが、ヴィセーリスは構わずに「噂をどこで聞いた?」とエイモンドを問い糾す。エイモンドは長く沈黙した後「エイゴン」と答えた。
「どこで聞いたのだ?正直に言え!」
今度はエイゴンを問い糾すヴィセーリス。エイゴンはヴィセーリスを見て静かに言った。
「誰だって知っていることだ。見れば分かるでしょう」
全員の目がレイニラとその息子たちに注がれるなか、ヴィセーリスは「我々は家族だ」と叫ぶ。そして、互いに謝罪し友好の意を示せと命じ、今後、王女の息子の出自を疑う者は舌を引き抜くと恫喝した。
しかし、アリセントの気持ちは収まらない。王妃はヴィセーリスの腰から短剣を抜き取り、レイニラに襲いかかった。
間一髪で腕をつかんで押し返したレイニラに、アリセントは胸の内をさらけ出す。
「私は皆の期待通りに生きてきた。王国と一族と法を守ってきたのよ!あなと違ってね!あなたは務めも犠牲も踏みにじってきた!今度は息子の目を奪って開き直るの?」
「疲れるでしょうね。正義のマントの下に身を隠すのは。化けの皮が剥がれたわね」
その言葉に反応したアリセントは、離れ際に短剣をにぎった腕を振る。
レイニラの左腕から鮮血がしたたり落ち、床に血だまりをつくっていく。
呆然として短剣を落としたアリセントに、エイモンドは話しかける。
「もうやめて。これは妥当な代償だ。僕は目を失ったけど、ドラゴンを手に入れた」
「勝とうとするおまえの決意を初めて見た」
アリセントの居室を訪れたオットー・ハイタワーは、取り乱したことを恥じる娘を称えた。そのうえで王に反省の色を見せて息子の怪我を主張しろと命じた。
「感情は抑えろ。そうすればいずれ、おまえと私が勝つ。無謀なエイモンドのおかげでヴァーガーも手に入った。あの子が言ったとおり、代償の1000倍の収穫だ」
レーナー・ヴェラリオンは妹も君も守れなかったと後悔。
恋人のクァールは踏み石諸島の戦いに参戦するが、自分は残って家族を守ると誓った。
王都へ戻る船の上で、ラリス・ストロングは「相手の目をお望みなら申しつけてください」と申し出る。
アリセントは必要ないと返答するが、忠義に感謝する。そして「能力と思慮深さを備えた友が必要になる日がきっと来る」と、今後も協力関係を望んでいることを示唆する。
息子たちを見送ったレイニラは「翠装派と戦うにはあなたが必要」とデイモンに話す。
レーナーがいる限り結婚は不可能。その現実を覆すため、デイモンはレーナーとその恋人クァールにある策略を持ちかける。
レーナーは無断で王の間に侵入した敵としてクアールと剣をまみえて敗れ、コアリーズとレイニスが来る前に暖炉で焼かれてしまう。顔の損傷が激しいため、その正体はもはや確かめようもない。
こうして死んだことになったレーナーは、クァールとともに小舟に乗り、自らの葬儀が行われているドリフトマークを離れる。自由都市ペントスで誰にも咎められることなく、自由に生きるために。
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