キングズ・ランディング
サーセイはジョフリー王毒殺の容疑でティリオンを拘束。サンサの姿が消えていることに気付いたタイウィン・ラニスターは「誰一人として王都から出すな!」と叫ぶ。
サンサ・スタークはフードで頭を覆い、ドントスに手を引かれて海岸へ駆ける。そして小舟に飛び乗ると霧に煙る沖へ向かった。濃い霧のなかから現れたのはピーター・ベイリッシュの船だった。ベイリッシュはサンサを船に引き上げた後、報酬を渡すと見せかけて用済みになったドントスをボウガンで殺害。ドントスはサンサがジョフリーの命名日に命を救ったためにベイリッシュに利用されたのだ。
ベイリッシュはサンサの首飾りを外し「わたしが作らせた」と言って宝石を粉々に砕き、ドントスが横たわっている小舟に投げ棄てた。
「わたしはジョフリーを殺していない」とサンサは主張するが、ベイリッシュは「殺していなくても、彼に父親を処刑され、その後もずっと苦しめられてきたあなたが現場から逃げた。追われるのは当然だ」と話す。
またしても未亡人となり「呪われている」と自嘲するマージェリーにオレナはこれで良かったと慰める。ジョフリーとの結婚生活は耐えることが多くなると分かっていたからであり、傲慢で残虐なジョフリーを操ることができたのなら、弟のトメンを籠絡するのはたやすいことだからだ。
聖堂に安置されたジョフリーの亡骸の前で、タイウィンは早速、次の王になるトメン・バラシオンに対する教育を始める。
「いい王の条件とは何か」
真剣に考え、何度も答えたトメンに、タイウィンは「ジョフリーはいい王ではなかった」といい聖堂の出口に導きながらマージェリーとの結婚を示唆する。
入れ替わるようにやってきたジェイミーは司祭たちにジョフリーとサーセイの二人にしろと命じた。サーセイは殺したのはティリオンだと断言して涙を流し、ジェイミーに復讐してと頼む。
「私たちの息子よ」と。
ジェイミーには裁判で明らかになると答えるが、サーセイは殺してほしいと譲らない。
ジェイミーはサーセイを抱きしめ、ジョフリーの亡骸の前で彼女を貪った。
タイウィンは娼館にいるオベリンを訪ね「シタデル(知識城)で毒を学んだ君が王都へ来て、王が毒殺された」と揺さぶりをかける
エリアを犯して殺害しろと命令を下したのはタイウィンと考えているオベリンは、その話を持ち出すが、タイウィンは「戦場での部下の凶行のすべてを上官が把握できるものではない」と弁明。エリアの死とは無関係だと断言した。
オベリンは「ならばグレガー・クレゲインに会わせろ」と要求。直接話をして姉を犯して殺したと認めれば、その場で決着をつけるつもりなのだ。タイウィンはグレガーに会わせる見返りとしてジョフリー暗殺事件の裁判官を務めてほしいと要求。あとの2人はタイウィンとメイス・タイレルだ。
理由を訊いたオベリンに、タイウィンは、レンリー・バラシオンに付いて一時は王の敵となりながら、今は最も強力な味方になっているタイレル家のように、マーテル家にも味方になってほしいからだと話す。小評議会の参議になり、トメンの相談役になってほしいのだと――。
ラニスターがそこまでドーン人を頼りにしているのか?とオベリンは疑うが、タイウィンは北と東から迫っている脅威について話し「ドラゴンに対抗できたのはドーン人だけだ」と持ち上げる。さらにこうも言った。「助け合おう。王の暗殺と君の姉の死に正義が成されるように――」
投獄されたティリオンは面会に来たポドリック・ペインから、裁判が2週間後に行われること、裁判官がタイウィンとメイス・タイレル、オベリン・マーテルに決まったこと伝え、証人を誰に頼むかと聞く。
ティリオンは真っ先にサンサの名を挙げるが、ポドリックが「奥様は消えました」と伝えると危機感をあらわにする。「ジョフリーを殺害した者は俺の命も狙っている。妻が消えたら疑惑はさらに深まる・・・・・俺の災難はすべてサーセイのせいだと思ってきたが、サーセイは子どもを愛していた。今回の件で無関係と言えるのは彼女だけだ」
ティリオンはジェイミーとブロンに証人を頼みたいと言うが「ジェイミーにはまだ会えておらず、ブロンは尋問を受けています」とポドリック。去り際に彼が「顔も知らない男から陛下が毒を買ったと証言しろと言われました。騎士になりたいのなら、と」
ティリオンは「それは提案ではない。もし断ると強硬な手段をとるに決まっている」と言い、反論を許さないという声でポドリックに命令した。
「兄を探して連れてこい。それが済んだらすぐに王都から逃げろ。処刑場に着く前におまえの首をみるのはごめんだ。お別れだ。ポッド」
三叉鉾河(トライデント)
高巣城(アイリー)へ向かう道中、誰かの土地で馬に水を与えながらサンダー・クレゲインは、アリアと交換でまとまった金が手に入れば、狭い海(ナロー・シー)を渡る船に乗り、傭兵となって”次子(セカンド・サンズ)”に入るかと呟く。アリアはブレーヴォスに行きたいと言うが、本当の理由は教えない。
そこへ戻ってきた父娘に、アリアはサンダーの娘役を演じながら勝手に水を使ったことを詫び、タリー家に仕えていたと嘘をつき、彼の家で食事にありつくことに成功する。サンダーはシチューをごちそうになっておきながら彼が隠していた銀を奪って去ろうとする。アリアはサンダーを罵倒して銀を返せと叫ぶが、サンダーは「冬が暮れが奴は娘と死ぬ。死ぬ奴に銀は必要ない」と行って立ち去る。
黒の城(カースル・ブラック)
サムウェル・ターリーは100人の男と暮らしているジリが心配で仕方がない。100人の男が毎晩、ジリの姿を思い浮かべていると思っているのだ。ジリはそんなサムに感謝するが、サムは土竜の町(モウルズ・タウン)の方が安全だと話す。そこには強姦魔も泥棒もいないからだ。
結局サムは、ジリを土竜の町(モウルズ・タウン)に連れて行き、娼館の女将に仕事を世話してくれるように頼み、「できるだけ様子を見に来る」と言い残して黒の城(カースル・ブラック)へ戻った。ジリは不満そうだったが、サムにはこうする以外に彼女たちを守る方法がなかった。
王妃の冠近くの村の少年が、村が襲われたとと言って助けを求めてきた。少年の証言から襲ったのは野人たちに間違いなく、今すぐ行って皆殺しするべきだと冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)の気運は高まる。
しかし、それでは敵の思うつぼだとアリザー・ソーンは言い、メイスター・エイモンも「我々は雑(士スチュワードと工士(ビルダー)を含めて100人しかしない。1人たりとも失うことはできない。我々が最優先すべき務めは何か思い出せ」と言って皆を鎮める。
意見を求められたジョン・スノウは、皆を見渡して静かに答える。
「マンス・レイダーが来る。”壁”を突破されたら破壊は終わらない」
その時、角笛が2度、響き渡った。哨士(レンジャー)の帰還の合図だ。戻ってきたのはグレンとエディソン・トレッドの2人だけだった。
2人はクラスターの砦で反乱が起きて縛られていたと言い、カールがクラスターを殺して指揮を執っていると話した。それを聞いたジョン・スノウは、彼らを始末しなれけばならないと言う。なぜならジョンは、マンス・レイダーに黒の城(カースル・ブラック)には1000人を超える冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)がいると嘘を伝えていたからだ。
クラスターの砦でカールたちが野人に襲われ本当のことを話せば、マンス・レイダーたちは迷うことなくここへ総攻撃をかけてくる・・・・・・。
「我々全員が100人ずつ殺しても、奴らを止められないぞ」
行くしかない――冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)たちは、そう覚悟を決めた。
ドラゴンストーン城
スタニス・バラシオンは、ダヴォス・シーワースを呼んでジョフリーの死を知らせる手紙を読ませ、ジェンドリーを逃がしたことを責める。メリサンドルが彼の血を吸わせたヒルを焼いた時に名を唱えた者が2人続けてこの世を去ったからだ。
ダヴォスはメリサンドルの黒魔術は本物で、予言を現実にする力があるのかもしれないが、戦で勝利をつかむのは兵士だと主張。東に行けば兵もいれば船もあるし黄金兵団という1万人の傭兵集団を買うこともできると弁明した。
しかしスタニスは「どこにそんな傭兵を雇う金があるのだ?」と呆れ、急がねば歴史に名を残すことはできないと吐き捨てた。
シリーンは読み書きの新しい教科書としてブレーヴォスの筆頭剣士だったエルヨ・グリヴァスの『その生涯と冒険』をダヴォスに渡す。ブレーヴォスの筆頭剣士とは少なからず因縁のあるダヴォスは興奮して本を開き、話の流れで鉄の銀行(アイアンバンク)という手かあったと気付く。そしてシリーンに、これから話すとおりに手紙を書いてほしいと頼む。
ミーリーン
ミーリーンに入ったデナーリスたちを迎えたのは1人の名もない騎士だった。彼は広場で立ち小便をして牽制。これを迎え撃ったのはダーリオ・ナハリスだった。
ダーリオは馬上で槍を抱えて猛然と突っ込んでくる騎士の正面に立ち、射程圏に入れてから短刀を抜くと、デナーリスに軽くクインクしてから馬の額を目がけてそれを放った。地面にたたきつけられるように落馬した騎士は、ダーリオに首を斬られて絶命した。
静まりかえった奴隷たちに向かってデナーリスは、アスタポア、ユンカイで解放した彼らのように自由になるか、親方どものいいなりになって一生を終えるか、自分で決めなさいと伝え、”穢れなき軍団(アンサリード)”と”次子(セカンド・サンズ)”に命じて木樽を投げ込む。
いくつもの木樽が、町の壁にぶつかって砕け散る。そのなかに入っていたものは、アスタポアで、ユンカイで、奴隷たちが付けていた首輪だった。
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