
キングズ・ランディング
王都の人々
アリアはエダードの娘だとわからないように髪を切り、アリーと名前を変え、冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)のヨーレンが地下牢でスカウトした20名の罪人たちと北へ向かう。そのなかには武具屋のトブホー・モットに見捨てられたロバートの落とし子ジェンドリーもいた。
ヨーレンは「おまえの正体に気づけばすぐさま王に知らせる奴が半分、おまえが女であることに気づいて犯そうと思う奴が半分だ」と言い含める。
ジョフリーはロバートの最期を唄った吟遊詩人の舌を抜くようイリーン・ペインに命じる。そして「月のものが来たらすぐに種を植えてやる」と言いながらサンサを城門櫓へエスコートすると、城壁の頂上に沿って等間隔で設置された鉄串の前に立って言った。
「これが父上だ。よく見ろ」
目を背けるサンサを怒鳴りつけて直視させたジョフリーは「謀反人である君の兄の首も持ち帰って君に贈る」と言う。
サンサが「あなたの首かも」と言い返すと、ジョフリーは王の楯の一人マリーンに命じてサンサの顔を二度殴らせた。
怒りに身体全体を貫かれたサンサは、背中を見せているジョフリーを道連れにしてそこから飛び降りようと踏み出すが、サンダー・クレゲインに阻まれる。
サーセイは従弟の美少年ランセル・ラニスターとも情交を結んでいる。
グランドメイスター・パイセルは宮廷の若い女を部屋に呼んで王についての講釈をたれている。老いてますます盛んだ。
ベイリッシュとヴァリスは、王の耳に有益な情報をささやき続ける才能と、有力者に取り入る才能をお互いに称える。
ウィンターフェル
夢が告げたもの
ブランは夢のなかで父エダードに会ったリアナ像のある地下墓所へオシャとともに出かける。するとそこにはリコンと大狼(ダイアウルフ)の『シャギードック』もいて、彼もまた夢のなかでエダードとここで会ったという。地上に戻ったブランは使い鴉の便りでエダードが処刑されたことを知る。
リヴァーラン城
北の王
妹たちを取り戻して王家の奴らを皆殺しにする。ロブとキャトリンはひとしきり泣いたあと、固く誓った。
忠誠を誓った君主エダード・スタークを喪った諸公たちは、夜遅くまで激論を繰り広げた。そして、今回の戦を率いて勝利をもたらしたロブ・スタークにひざまずくことを決めた。彼らはロブを囲んで連呼した。
「北の王!」と。
エダードを喪った怒りをキャトリンは捕虜になったジェイミー・ラニスターにぶつける。石で顔を殴られ鮮血を流しながらもジェイミーは「殺すなら耳の上を何度も叩け」とアドバイスする。そして塔に登っていたブランを突き落としたことも認めた。本当の理由は話さなかったが。
三叉鉾河(トライデント)
頭角
北部軍だけでなく、スタニス・バラシオンとも敵対しているうえにジェイミーは捕虜となった。この最悪の状況を嘆き、タイウィンの側近は和睦を勧めるが、ティリオンは「ジョフリーがエダードの首を斬った瞬間に和睦の道は消えた。それに勝利した北部軍が和睦に応じるはずもない」と応酬。議論は紛糾するが、タイウィンはジェイミーの奪還を最優先すると宣言。
その上でティリオンの見識こそが正しいと判断したタイウィンは、「我々は神の目湖から赤の支流までを焼き払い、三叉鉾河(トライデント)を南へ渡ってハレンの巨城へ向かう」と作戦を明かし、「おまえは王都へ行き、私の代わりに”王の手”を務めろ」と命じた。娼婦を連れて行くことは許さないと念を押して。
しかしティリオンは父の命令に逆らい、シェイに王都へ一緒に来てくれと頼む。
「宮廷の女たちは、君から学ぶことがたくさんありそうだ」
黒の城(カースル・ブラック)
冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)の使命
次に会った時は母親の話をしよう――そう約束したエダードが斬首されたと知り、ジョン・スノウは「脱走したことになる」とサムが止めるのも聞かずに大狼(ダイアウルフ)の『ゴースト』とともに飛び出していった。
「ロブと合流してジョフリーの首を斬る」
サム、ダレオン、グレンの3人は松明を手にすぐにその後を追う。ジョンは放っておいてくれと頼むが、木の枝に頭をぶつけて落馬したサムを心配して馬を止める。彼らはジョンの気持ちが痛いほどわかっているからこそ言葉には出さず、冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)の誓約の言葉を声に出した。
総帥ジオー・モーモントは、ジョン・スノウの行動を責めなかった。まるですべてを見通していたかのように。そして「おまえが行けばエダード・スタークは蘇るのか?」という問いに沈黙したジョンを見て、本題に入った。
”壁”の向こうでは多くの村が放棄され、夜という夜に炎が上がっているらしい。また、捕らえた野人の話では、理由は不明だが部族が砦に結集していると言う。
さらに東の物見城(イースト・ウォッチ)では青い眼の死体が4体も出ている。
この脅威に立ち向かうことよりも、兄上の戦が重要だと思うか?
夜、死人たちが我々を狩りに来る時に、鉄の玉座に誰が座るのかが重要か?
その問いにジョンが「いいえ」と答えると、モーモント総帥は言った。
「明日”壁”を越える。おまえと、おまえの狼の力が必要だ」
翌日の朝、ジオー・モーモント率いる冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)の騎馬隊は、偵察からいまだ戻らないベンジェン・スタークを探し出し、野人とホワイト・ウォーカーに立ち向かう術を見つけるため、”壁”の向こうへ進んでいった。
ドスラクの海
慟哭
長い眠りから覚めたデナーリスは息子を喪ったことを知る。どんな子だったのかと聞かれてジョラーは口を濁すが、妖女(メイジャイ)ミリ・マズ・ドゥールははっきりと言った。
「コウモリのような翼とトカゲのようなウロコがあり目は見えず、触ると皮膚が剥げ落ち、体のなかはウジだらけだった」と。
そして、そうまでして命を救ったカール・ドロゴは、足を投げ出すような格好でテントの外で横になっていた。その目にはもう生気はない。彼は生きる屍となったのだ。
こうなることがわかっていながら黒魔術を使った理由を話せと問い詰めるデナーリスにミリは言う。「世界を駆ける雄馬が生まれてこなかったから町を焼かれずに済んだ」と。
ミリは命を救ってくれたデナーリスに感謝などしておらず、神殿を焼き、やさしかった人々を殺し、自分を何度も犯した野蛮な部族(カラザール)たちに復讐する機会をうかがっていたのだ。
血盟の騎士たちが去った野営地のテントで、デナーリスはドロゴの身体を拭きながら話しかけるが、奇跡は起きないとわかっていた。前に進むためにデナーリスは、涙を流しながらドロゴの顔に枕を押しつける。
ドラゴンの母
カール・ドロゴの遺体は、切り倒した丸太と幹、大小さまざまな枝で作られた壇に載せられた。
デナーリスはその枕元に石になったドラゴンの卵を並べて置き、最も頑丈な柱に妖女(メイジャイ)ミリ・マズ・ドゥールを縛り付けた。息子を奪った魔女には報いを受けさせなくてはならない。
焼き払った町から連れてきた者たちは解放し、留まる者は兄弟姉妹、夫婦同然に扱う――。そうデナーリスは言い、ドラゴンの娘として誓った。おまえたちを傷つける者に叫び、死ぬ運命を与えると。
火は放たれ、乾いた音を立てて燃え上がった炎は瞬く間に叫び唄う妖女とカール・ドロゴを飲み込んでいった。デナーリスはその炎に向かって歩んでいく。
夜が明けて、眠りから覚めた部族民たちとジョラーが目にしたのは、煤まみれになって座り込んでいるデナーリスと、3頭の幼いドラゴンだった――。
ゲーム・オブ・スローンズ season1 『第10話/血と炎』地図と登場人物


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