キングズ・ランディング
タイウィン・ラニスターは、ヴォランティスから呼んだ腕の確かな武具職人に2本作らせたヴァリリア鋼の長剣のうち1本を、帰還したジェイミーに進呈するが、片腕では”王の楯(キングズ・カード)”の役目は務まらないから辞職してキャスタリー・ロックを治めろと言い渡す。
しかしジェイミーはこれを固辞。タイウィンは「40年も教育したのに進歩は見込めんな」と怒り、勝手にしろと言って突き放した。
ティリオン・ラニスターはブロン、ポドリック・ペインとともに、マーテル家のプリンス一行を待った。王の婚礼に参列するゲストを迎えるためだ。
到着した家臣は、大公のドーラン・マーテルは健康状態が優れないためサンスピア宮に留まっており、明代として弟のオベリン・マーテルが出席する話した。しかし、オベリンもその姿が見えない。訊けば、夜明け前に到着しているはずだという。「どこを探すんだ?」ブロンは呆れるが、ティリオンは確信を持ってベイリッシュの娼館へ向かう。
ティリオンの予想どおり、オベリンは愛人のエラリア・サンドとともに娼館にいた。”赤い毒蛇(レッド・ヴァイパー)”の異名をとるプリンスは、到着早々、ラニスターの若い騎士の手を短剣でテーブルに縫い付けていた。彼らが唄った「キャスタミアの雨」が気に障ったらしい。
ティリオンはそのことには触れず、オベリンに王都来訪の真の目的を訊く。ラニスターとマーテル家には血なまぐさい因縁があり、仇討ちに来たとも考えられたからだ。オベリンはやはり、そのことから話し始めた。
オベリンの姉エリアは、レイガー・ターガリエンを愛し、結婚して子どもを産んだ。しかしレイガーは他の女に走った。それがきっかけで戦が始まり、王都を奪ったタイウィン・ラニスターは、オベリンの姪と甥を殺害。そして姉のエリアは、タイウィン・ラニスターの命令を受けたグレガー・クレゲインが犯し、身体を真っ二つにした――と、伝えられている。幼かったティリオンはその現場を見たわけではなく、あくまでも噂に過ぎないが、オベリンはティリオンに言った。
「俺が来たと親父に伝えろ。借りを返すのは、ラニスターだけじゃない」
ロブ・スタークとキャトリンの死を知らされて以来、サンサ・スタークは何も食べず、誰とも話をしようとしない。ティリオンが何とか力になろうとするが、サンサは心を閉ざしたままだ。
彼女との結婚は義務であり愛はないと言いながら、心を閉ざしたサンサと真摯に向き合うティリオンに、シェイは苛立ち、部屋に来て肉体関係を迫る。それでも抱こうとしないティリオンにシェイは「ダイヤモンドで追い払おうなんて!」と怒りを爆発させる。何のことかさっぱりわからないティリオン。間の悪いことに、そのやりとりはサーセイが潜り込ませた侍女にすべて聞かれていた。
サーセイは「おまえと一緒にいるために”王の楯(キングズ・カード)”のままでいることにした」というジェイミーに体を許さず「戻ってくるのが遅すぎた上に私をひとりにしたことを詫びもしない。おまけに右手まで失っている」と怒りをぶつける。
ブライエニー・タースは2週間後に迫った婚礼の準備を進めるマージェリーのもとを訪れ、レンリー・バラシオンが殺害された時のことを詳しく話す。
「陛下を殺した影は、間違いなくスタニスの顔をしていました」
マージェリーは王の敵を討ちたいというブライエニーに笑いかける。
「今の王はジョフリーよ」
婚礼の儀での護衛体制を固める席で、ジョフリーはあからさまにジェイミーを見下す発言を繰り返す。ジェイミーがいない間に戦に勝ち、食糧を与えることによって民の信頼を得たと自負しているからだ。右手を失った40歳の騎士に王を守ることができるのか。ジェイミーは左腕一本で十分だと主張するが、胸の内は屈辱に震えていた。
ブライエニーはサンサをここから連れ出せとジェイミーに迫るが、ジェイミーはここが一番安全だといい、これ以上悩ませるなと頼む。サンサはジョフリーの命名日にワインで溺死しそうになったドントスから、あの時のお礼だと言って差し出された青い宝石の首飾りを受け取る(これが後に大きな厄災を呼ぶことになる・・・・・・)。
ミーリーン
三頭のドラゴンは日増しに凶暴になっていた。特に長男のドラカリスはデナーリスに対して咆哮することも少なくなく、ジョラーは「飼い慣らすのは諦めるべきでは」と進言する(例によってスルーされるが)。
親方のお供で何度かミーリーンを訪れたことがあるミッサンディによると、大ピラミッドの建造の際には1000人の奴隷が死んだという。
ダーリオ・ナハリスは戦略に関する重要な話があると言ってミッサンディを外させ、色とりどりの花をマジックのように差し出し、その効能を説明する。結果的に花束を受け取ることになったデナーリスは、呆れながらも悪い気はしない。
しかし、デナーリスはすぐに気持ちを引き締めた。少女の遺体がミーリーンまでの里程標(りていひょう)になっていたからだ。ジョラー・モーモントによると、ミーリーンまで163もの里程標があるという。ジョラーは見なくても済むように先回りして埋葬させると言ったが、デナーリスはひとり一人の顔をしっかり見て進むと決めた。
”壁”の南側
トアマンド、イグリットら先発隊は、マンス・レイダーの指示で後を追ってきたゼン族の部隊と合流した。彼らは南へ下って村を襲い、食料となる人肉を確保してからやってきたのだ。
黒の城(カースル・ブラック)
傷が癒えたジョン・スノウは、アリザー・ソーン、メイスター・エイモン、王都を追われたジャノス・スリントら上官の前で、クオリンを殺害した理由と”壁”の向こうで破った誓約、マンス・レイダー軍の脅威と”壁”を襲う作戦について話した。
最初からジョンを信用していないアリザーとジャノスは、まともに取り合おうともしないが、エイモンが全面的に肯定したため、ジョンは無罪放免となった。ジオー・モーモントの死後、指揮官となったアリザーは不満をあらわにして「何でも見抜ける魔法でも使っているのか」と嫌みをぶつけるが、エイモンは意に介さずに答える。
「王都育ちですから」
三叉鉾河(トライデント)
キャトリンの姉ライサがいる高巣城(アイリー)に向かうことにしたサンダー・クレゲインとアリア・スタークは、空腹を満たすため旅籠に入る。そこにはアリアをハレンの巨城(ハレンホール)に連行して針(ニードル)と名付けた愛剣を奪ったラニスターの騎士ポリヴァーがいた。
サンダーの姿を見つけるとポリヴァーはビールを出し、サンダーの兄クレガー・クレゲインの命令で北部人の拷問を続けていたが、もう嫌になったと話す。そしてこの旅籠から金を奪うために協力しろという。
サンダーは空腹ではきついといいながら4人を倒し、アリアはポリヴァーから針(ニードル)を取り返してとどめをさし、彼らの馬を奪った。
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