最初の人々の拳
野営地に戻ったサムはホワイト・ウォーカーに襲われるが間一髪のところでジョン・スノウの大狼(ダイアウルフ)ゴーストに救われた。
仲間たちの多くは傷ついており、サムは使い鴉を送ることができなかったので、ジオー・モーモントは”壁”に戻る決断を下す。大切な家族、仲間のすべてが命を落とすことになる未曾有の脅威が、目の前に迫っていると伝えるために。

霜の牙(フロストファング)
野人たちが集結している谷間の野営地に入ったジョンスノウは、初めて見る巨人族の大きさに圧倒される。冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)を歓迎する者は誰ひとりおらず、子どもにまで「鴉(クロウ)」と罵られ石をぶつけられるが「それがいけないことだと教育する父親はいない。あんたら鴉に殺されたから」とイグリットは言った。
ひときわ大きな天幕にいたマンス・レイダーは、”巨人殺し(ジャイアンツ・ペイン)”の異名をとるトアマンドとともにジョンを迎えた。クォリンを殺し、盟友たちを裏切ってここへ来た理由を問うマンス。本当の理由は野人たちの動きを探って”壁”に伝えるためだったが、ジョンは「ホワイト・ウォーカーと戦う仲間がほしかった」と答えた。
クラスターの砦で森に置き去りにされた赤ん坊が連れ去られるのを見たが、そのことをジオー・モーモントは承知していた。仲間とはそれを黙認する者ではなく、その不条理を許さず、ともに戦う者だとジョンは言ったのだ。
するとマンスは言った。
「新しいマントを受け取れ」と。
キングズ・ランディング
二人の王都の守人(シティ・ウォッチ)を従えて訪ねてきたサーセイを、ティリオンは片手に斧を持って部屋に入れた。目の前にいるのは姉ではなく、ブラックウォーター湾の戦いでマンドン・ムーアを使って命を狙ってきた敵なのだ。
サーセイの要件はただ一つ。ティリオンがタイウィンに会うという情報をつかみ「余計なことを言わない方が身のためよ」と釘を刺しにきたのだ。タイウィンがティリオンに会いたがっているという事実はないが、サーセイはティリオンの賢さを警戒している。
ジョフリー王に叙任されて騎士となったブロンは「傭兵として雇うなら、いままでの倍の料金を」と交渉。今までいくら払っていたか知らないティリオンはあっさり承諾する。
目の前に誰もいないかのように”王の手”としての執務に没頭するタイウィンに、ティリオンはブラックウォーター湾の戦いにおいて、壁のむこうで震えていたジョフリー王に代わって王都を守った自分に対する処遇を改め、キャスタリー・ロックの後継者にしてほしいと話す。
タイウィンは、ブラックウォーター湾の戦いの功績に見合う部屋を用意し、時がくれば才能に見合う役職とふさわしい妻も与えると明言。しかし、キャスタリー・ロックに関しては「おまえに継がせるくらいなら死んだ方がマシだ」と怒りを込めて吐き捨てた。
そして、敵意をむき出しにしてその理由を語った。。
「おまえは生まれる時に母親を殺した!出来損ないの邪悪な男だ。嫉妬と肉欲の塊で下劣で狡猾。おまえがラニスター家の者でいられるのは、おまえが私の子ではないと証明できないからだ!あの城の権利を二度と主張するな」
少しは認めてもらっているのかもしれないと考えていたティリオンは、この言葉に打ちのめされる。
サンサがシェイと一緒に港で船を眺めていると、ピーター・ベイリッシュがロスを連れて歩いてくる。シェイに外してくれるよう頼んだうえでベイリッシュはキャトリンとアリアに会った(ハレンの巨城で気付いていたのか・・・・・・)ことを伝え「私が王都を離れる時に連れ出せるかもしれない」と話す。
一方、ロスはサンサの侍女を務めているシェイが娼婦であることを見抜いており「サンサとベイリッシュから目を離さないように」と忠告する。
キングズ・ランディングへ入ったマージェリーは「蚤のたまり場」で御輿を止め、ドレスが泥だらけになるのも構わずに孤児院を訪れ、戦で両親を亡くした子どもたちを激励。シスターには「困ったことがあったら私に直接言って」と言葉を残す。
その夜の晩餐でサーセイは「蚤のたまり場」はいつ暴動がおきてもおかしくない危険なところで、以前、ジョフリーも危ない目に遭ったとたしなめる。しかしジョフリーは「命の危険などなかった。事実とかけ離れたことを言うのは老いたせいかな」と言い、場を沈黙させるが、マージェリーの行動には素直に感心する。
ドラゴンストーン城
ブラックベータ号と息子マットスを失いながら命を取り留めたダヴォスは、旧知の海賊サラドール・サーンに助けられる。
サラドールによると、スタニスはメリサンドルにいいように操られていて、メリサンドルに刃向かう者を火あぶりという残酷な方法で始末しているという。
ダヴォスは「俺がこの手であのメリサンドルを殺すから頼む」と説得して、サラドールの船でドラゴンストーン城へ向かう。
「生きていたか」
背中越しにそう言って立ち上がろうともしないスタニスに「あなたこそが王でありまだ戦えます」と称えた上で、ダヴォスは火炙りの刑の真意を聞いた。しかしスタニスが口をひらくことはなく、影のようにスタニスの傍から離れないメリサンドルが答える。
「異端者への罰です」
そして、こうも言った。
「鬼火で大勢がやられた時、私がいれば助けることができた。今頃スタニスは鉄の玉座に、あなたはその隣に座っていたでしょう。でも私を置いていくよう、あなたが王を説得した――」
そこまでは黙って聞いていたダヴォスだったが、今回の戦で散った息子マットスに「炎による死こそが純粋な死だと言っておいた」と耳元でささやかれると我慢がならなかった。
「邪悪な!悪魔の母だ!!」
短剣を抜いて襲いかかろうとして護衛の兵士に取り押さえられたダヴォスに、スタニスは言った。
「地下牢に入れておけ」
王になり損ねた男の目は、永遠にとけない催眠術にかけられたように生気を失っている。
ハレンの巨城(ハレンホール)
ロブ・スタークは北部軍の主力部隊ハレンの巨城(ハレンホール)へ進めるがラニスター軍の姿はなく、廃墟と化した嘆きの塔の中庭に200名を超える北部人の死体が散乱している様を見て怒りを押し殺す。それでも王としての役割は忘れておらず、ジェイミーを逃がしたキャトリンの処遇を変えることはなかった。
翡翠海(ジェイド・シー)~アスタポア
クァースのザロ・ゾアン・ダクソス邸の財宝を売って乗り込んだ帆船でデナーリスとドスラク人の家来は、翡翠海(ジェイド・シー)を西へ向かう。目指すのは”穢れなき軍団(アンサリード)”と呼ばれる最強の奴隷兵士を買えるアスタポア。初めて海に出たドスラク人たちは船酔いでふらふらになっているが、3頭のドラゴンは空を飛び、海に潜って自分で餌を採り、どんどん大きくなっている。
アスタポアに入ったデナーリスは、さっそく奴隷商人のクラズニス・モ・ナクロツと”穢れなき軍団(アンサリード)”の商談を始めた。ヴァリリア語は通訳はミッサンディという名の女性が務めていたが、デナーリスはクラズニスの下品で訛りの強いヴァリリア語をほぼ正確に理解していた。余計なトラブルを避けるために共通語とドスラク語以外はわからない、というフリをしているのだ。
クラズニスは”穢れなき軍団(アンサリード)”に怖れるものは何もないと言い、デナーリスの前で強さを証明するために最前列にいた者の乳首を刀で削り取った。そして彼らが楯を得るために奴隷市場でどんなことをするのかを説明した。
その上クラズニスは言い放つ。
「売れるのは8,000人。返事は明日までは待つ」
港町に戻ると、少女がデナーリスの興味を惹こうとして動き回り、グレープフルールほどの大きさの円形物を転がせて渡した。デナーリスが受け取ると、少女は「回せば開くよ」とゼスチャーで示した。
デナーリスは警戒することなく回そうとする。しかし、次の瞬間、それは何者かによってデナーリスの手から叩き落とされた。ジョラーはフードで頭を被ったその男を取り押さえて首を締め上げるが、突き飛ばされて転んだデナーリスの前に円形物が転がると素早く剣を抜き、中から這い出てきた毒サソリを突き刺した。少女はデナーリスの命を狙う黒魔道師だったのだ。
命の恩人だと礼を言うデナーリスの前でフードをとったその男は、”王の楯(キングズ・カード)”としてデナーリスの父エイリス・ターガリエンに仕えていたバリスタン・セルミーだった。七王国で随一の剣士と言われる男は「女王の楯にしてください」と言って膝をついた。
穢れなき軍団(アンサリード)とは
この訓練で生き残るのは4人に1人。彼らは例外なく去勢され、その日に与えられた仔犬を1年後に絞め殺す。できない者は殺され、生き残った犬の餌になる。
去勢される日から毎食ごとに飲む『勇気のワイン』(有毒のナイトシェイド、吸血蠅の幼虫、黒蓮の根などから作る飲み物)の効能で、年月が経つにつれて苦痛を感じなくなる。戦闘に恐怖を感じることはなくなり、どんな拷問にも耐えられるようになる。
名前を持つことは許されない。
トレードマークの刺付き面をもらうには、銀貨一枚を持って奴隷市場に行き、泣きわめく新生児を見つけて母親の前で殺さなければならない。これによって弱さが残っていないことを証明する。銀貨を渡す相手は母親ではなく奴隷を所有する親方。
兵士は兵士であることが全て。生涯の伴侶は剣と槍と楯であり、どんな誘惑にも屈することはない。主人に従順という点でも比類のない兵士。
400年前、テンモという族長が率いる2万人のドスラク人部隊が初めてクォホールへ侵攻した時、わずが3000人の兵力でこれを退けたと歴史では語られている。以来、クォホール師の衛兵は長い槍を抱携えた”穢れなき軍団(アンサリード)”だけで構成されている。
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