ツイン・ピークス
ジェリー・ホーンは深い森のなかからベン・ホーンに電話をかけ、車を盗まれたと伝える。しかし、本人はいまどこにいるのか分かっていない。
シェリフ・”フランク”・トゥルーマンは、トミー・“ホーク”・ヒルが保安官事務所のトイレで発見したローラ・パーマーの日記の一部に目を通す。
「昨夜、夢の中で次の言葉を聞いた。”私の名前はアニー”。”デイルとローラが一緒”。”善いデイルはロッジから出られない”。”これを日記に書いて”」
ローラ・パーマー事件に関わっていないフランクは、ホークから説明を受け、”デイル”がデイル・クーパー捜査官、”アニー”がブラックロッジに連れ去られたアニー・ブラックバーンであること、そしてこれが園芸家ハロルド・スミスの部屋で見つかったローラの日記から破って持ち去られたもので、まだ1ページ足りないと知る。
それがどうして事務所のトイレで見つかったのかは不明だが、”泣きすぎて息もできない”。”あれはボブじゃないわ。誰だか分かった”。という文章から、ボブに取り憑かれたことをローラに悟られたと知ったリーランド・パーマーが隠したのだろうとホークは推測する。
そして「ローラはクーパーと会う前に殺されている」と疑問を呈するフランクに説明する。
「ここに、アニーの言葉を夢の中で聞いたと書いてある。その言葉によれば”善いデイルはロッジから出られない”。しかしクーパーは出てきてグレート・ノーザン・ホテルに運ばれた。善いクーパーがロッジから出られないのなら、あの夜、アニーと一緒に出てきたのは善いクーパーじゃない」
そしてその日、自分の知る限り、クーパーに会っているのはハリー・S・トゥルーマンと医師のウイリアム・ヘイワードだけだと付け加えた。
フランクは療養中の弟ハリーに当時をことを聞くために電話をするが、ハリーの状態が思わしくないと感じて断念。負けるな、と励まして電話を切った。
続いてフランクはウイリアム医師とSkypeを接続。ウイリアムは「あの朝のクーパーはどこか奇妙だった。彼を病院に連れて行き、回診の間に検査させたが、その1時間後、彼は服を着て集中治療室から出てきた。そのときも奇妙な顔をしていた」と振り返った。
そして集中治療室にいた理由を訊ねたフランクに「銀行で爆発事故に巻き込まれ昏睡状態だったオードリー・ホーンの様子を見にいったのかもしれない」と答えた。
アンディ・ブレナンは横断中の子どもをひき逃げした車の所有者を突き止め、ひとりで訪問する。そして「他の場所でなければ話せない」という男の言葉を信じ、スパークウッドの先の林道で2時間後に来いと伝えて待つが、男は姿を見せなかった。
サウスダコタ
バックホーン警察署を訪れたサンディ・ノックス大尉は、ルース・ダヴェンポート殺害事件の担当刑事デイヴ・マックレイに会う。そして指紋データベースへのアクセスをブロックした理由は話さず、ダヴェンポートの部屋で見つかった首なしの遺体を確認した。
そして検死官のコンスタンス・タルボットから被害者の年齢が40代後半、死亡時期は5~6日前であり、採取した指紋(ガーランド・ブリッグス少佐のもの)は間違いなくこの遺体のものであると聞くと、デーヴィス大佐に連絡。「今回は指紋だけではなく遺体があります。しかし頭部がなく、ガーランド少佐とは年齢、死亡時期とも合致しません」と報告した。そしてそこにとどまるよう命じられたサンディは、マックレイとタルボットに捜査の担当はあなた方ではなくなると告げた。
その警察署の廊下を、真っ黒な男(ウッズマン)が歩いているが、彼らには見えていないようだ……。
ペンシルバニア
フィラデルフィアのFBI本部。ゴードン・コールは、ダイアン・エヴァンスと再会して散々な目に遭ったと恨み言を言いに来たアルバート・ローゼンフィールドに「頼む」と頭を下げ、ダイアンに会いに行く。
そして「くたばれ、ゴードン」と悪態をつくダイアンに、サウスダコタの連邦刑務所に収監されているクーパーに会い、彼が何者なのか見極めてほしいと頼む。
「君が知っていることが関わっている」
そう言われてダイアンは気持ちを固める。
サウスダコタへ向かう機内で、ゴードンとアルバートは、タミー・プレストンからクーパーの指紋は25年前と同じだと報告を受ける。しかし、アルバートはタミーのPCに取り込まれたデータを指し、コードマークが逆だと指摘。刑務所にいる何者かが同じに見せるために細工した。それがアルバートの見解だった。
ゴードンも同意し、「”とても”は”もてと”だ」と説明し、タミーに「君は優秀だ」と言った。そしてタミーの左右の指を一本ずつ握りながら「”私は・とても・とても・幸せ”。”君に・また・会えて・懐かしい・友よ”」と言い、よく考えろと伝えた。そしてアルバートはこの25年間で唯一撮影されたというクーパーの写真を見せる。「刑務所で会った男ね」とタミー。場所はリオの郊外の彼の家。彼がそこを出たとき、家はどこかの娘のものになったという。
サウスダコタ
スー・シティのヤンクトン連邦刑務所に到着したダイアンは「10分間だけよ」とゴードンに念を押して”ミスターC”と対面した。ダイアンは「君と最後に会ったのは君の家だ。あの夜は忘れない」と答えたかつての上司と同じ顔をした男に「私もよ」と同意して訊いた。
「あなたはいったい誰なの」
ダイアンは私を見て、と二度頼んだ後、スイッチを押して幕を下ろした。
無言で駐車場に出たダイアンはゴードンに言った。
「あれは私が知っているデイル・クーパーじゃない。時間の経過で変わったわけじゃない。心から何かがなくなってしまっているのよ」
ダイアンはゴードンの肩に顎を預けて泣いた。
そして”あの夜”のことはいつか話すと約束した。
面会を終えて収監された”ミスターC”は鉄格子を挟んで刑務官に言った。
「マーフィー所長に伝えろ。ストロベリーについて話があると」
所長室でマーフィーと向き合った”ミスターC”は言った。
「あの犬の脚は4本。1本はトランクの中。残りの3本は情報とともに消えた。俺の身に何かが起きたら2人の人間がここに来る」
「本当に知っているのか?この件を」
右手で拳銃を構えて問うマーフィーに”ミスターC”はある人物の名を告げる。
「ジョー・マクラスキー」
”ミスターC”は拳銃を机に置き、観念にしたように腰を下ろして望みを訊いたマーフィーに言った。
「車がほしい。安いレンタカーでいい。グローブボックスに”友人”を入れ、今夜1時に用意しろ。俺をここから生きて出さないと考えているなら、犬の脚を思い出せ。お前に用はない。俺は二度とここに戻らないしジョーの件が漏れることもない。死んだストロベリー氏のこともな」
ネヴァダ
ケース・ファイルのことが気になり、アンソニー・“トニー”・シンクレアはクーパーのオフィスを訪ねて様子を伺うが、クーパーはまだ自らの仕事に没頭している。そのうち3人の刑事――フスコ3兄弟が、その後を追ってジェイニー・Eが入ってくる。刑事はダギーの車が爆破されて死者が出たと話すが、ジェイニー・Eは車は盗難されたと主張。フスコ3兄弟は書類を提出してくれと言って帰っていった。
クーパーとジェイニー・Eもオフィスを出て自宅に向かう。悲鳴は腕を組んでビルをでたところで起きた。見知らぬ小さな男――アイク・”ザ・スパイク”・シュタットラーが拳銃を向けて近づいてきたのだ。クーパーはこれまでの動きが嘘のように素早くジェイニー・Eの腕を振りほどき、”ザ・スパイク”のノドに手刀を入れて拳銃を奪おうとする。どういうわけか、地面に”進化した腕”が現れてクーパーを応援する。「手をもぎとれ!」
クーパーは再度、”ザ・スパイク”のノドに手刀を入れた。スキンヘッドの小男は落とした拳銃をそのままにして、よろめきながら去っていった。
ツイン・ピークス
グレート・ノーザン・ホテル。秘書のビヴァリー・ペイジはホテルのどこからか聞こえてくる奇妙な音が気になってベン・ホーンに報告した。ベンとビヴァリーは集中して音を聴き出所を突き止めようとするが、うまくいかない。
そのうちにカウンター係が郵送されてきたホテルのキーを届けにきた。それは25年前、ローラ・パーマー事件を捜査していたデイル・クーパーが撃たれた315号室のキーだった。ベンはメンテナンス係に音の原因を調べさせると伝え、ビヴァリーに帰宅を促した。
帰宅したビヴァリーは、玄関先でケースワーカーのマージから「今日は追加の痛み止めが必要で大変だった」と聞く。ビヴァリーは遅くなったことを詫び、すぐに夕食にしようとするが、自宅で病気療養している夫のトム・ペイジは遅くなったことが気に入らない様子。ビヴァリーはため息をついた後、仕事があるから暮らしていけると怒りをぶつける。
ロードハウスの電話が鳴る。取ったのはジャン・ミッシェル・ルノー。彼はどうやら女性をあっせんしているらしく、相手は未成年の女性を買った客のようだ。ジャンは俺の責任じゃないと怒鳴り、「ロードハウスはルノー家が57年も経営してきた。身分証を偽造した15歳の売春婦に潰されるわけにはいかん」と言って電話を切った。
今夜も多くの客で賑わう『RR(ダブルアール)ダイナー』。
「なあ、ビリーを見なかったか?」
入口からそう訊いた男は、客の返答を聞く前に去っていった。
サウスダコタ
深夜。連邦刑務所の刑務官がライトで廊下を照らすと、2つの独房の扉が開いた。出てきたのは”ミスターC”と、レイ・モンローだった。2人は刑務官の後をついて中庭の駐車場まで歩き、レンタカーとキーを受け取った。所長のマーフィーは刑務所を出て行く車を踊り場から黙って見送った。
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