キングズ・ランディング
「決闘裁判なんて命を捨てたも同然だ」と呆れるジェイミニーに、ティリオンはタイウィンの思惑通りに事が運ぶ(ジェイミーが王都を去ってキャスタリー・ロックの後継者となり、ティリオンは黒の城(カースル・ブラック)で冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)となる)のが我慢ならないと言い、代理闘士として戦ってほしいと願う。しかしジェイミーは左腕一本では少年にも勝てないと告白。ブロンに代理闘士を頼むと決めたティリオンは、サーセイの代理闘士がマーリン・トラントではなく、”マウンテン”グレガー・クレゲインだと知って戦慄を覚える。
ティリオンが待ち焦がれたブロンは、真新しく上品な衣装をまとって現れた。そしてロリス・ストークワースと結婚すると明かした。彼女にはファリースという名の姉がいるが、40歳で子はいない。彼女が死ねばロリスが城主となる。ブロンは近い将来、そうなることを確信して結婚に踏み切ったのだ。
ティリオンはこの難局を切り抜けることができたら、サンサの夫として北部を支配することなるかもしれない。そうなれば望むだけの分け前を与えてやれると説得するが、ブロンは「不確かな話ばかりだ。それに北は寒すぎる」と一蹴。「温かなロリスを抱くか、マウンテンと戦うかどちらか選べと言われたら、あんたもズボンを下ろすはずだ」と言った。
それでもティリオンは友人なら戦ってくれと頼むが、ブロンに「あんたは俺のために危険を冒したことがあるか?」と訊かれると沈黙する以外になかった。ブロンは「贅沢なくそ野郎のあんたが好きだった」と言ってティリオンの差し出した手を握り、牢獄から出て行った。
次に牢獄のティリオンに面会を求めてきたのは、オベリン・マーテルだった。オベリンは幼い頃、キャスタリー・ロックで生まれたばかりのティリオンと会った時のことを話した。
「頭の大きさは常人の2倍、脚の間には尻尾、鉤爪に赤い目、男女両方の陰部を持つ怪物」が生まれたと聞いてわくわくしていた彼は、頭が少し大きく手足は短いが、鉤爪はなく、尻尾の代わりに小さなペニスがついていたティリオンを見て失望したのだ。ただの赤ん坊じゃないかと。
「しかし姉君はそんな君を見て『母親を殺した』と言い、ちいさなペニスをつねったんだ。兄君が止めると、『問題ない。すぐ死ぬそうだし、私もそう願う。長く生きすぎた』と、そう言ったのだ」
ティリオンは瞳に涙を浮かべながらその話を聞いた。そして「サーセイは、遅かれ早かれその願いを叶える」と観念した。
ところがオベリンは「俺の望みは正義だ」と言って立ち上がり「それを叶えられる場所に来た。完璧な場所にな」と興奮気味に言った。なぜなら、彼を苦しめてきた連中が、すべてここには揃っているからだ。
「手始めはグレガーだ。姉の子たちを殺し、その血がついた手で姉を犯し、命をも奪った――」
オベリンは松明でティリオンの顔を照らして宣言した。
「俺が代理闘士になってやる」

三叉鉾河(トライデント)
サンダー・クレゲインとアリア・スタークは、食糧を求めて馬を進めているうちに、何者かに襲われて瀕死の重傷を負った臣民と出会う。彼は言葉を発することはできたが、腹部に深い傷を負っており、助かる見込みはないとサンダーは判断。そして彼の求めに応じて水を与えた後、何も言わずに左胸を剣で貫いた。彼は笑みを浮かべて頷き、息絶えた。
「今のが心臓だ」
サンダーはアリアに言った。
――次の瞬間、何者かがサンダーの背後から襲いかかり、首に噛みついた。サンダーは一撃でその者の首を折った。族はもう一人いて、剣を持っていた。彼はサンダーに牡鹿銀貨100枚の懸賞金がかけられていることと、ジョフリー王が毒殺されたことを話す。
その男を見たアリアは、ヨーレンに連行されていた罪人のひとりだったことを思い出し、ロージだと名乗った男に礼を言ってその左胸を針(ニードル)で突き刺した。ロージは泥に顔を埋めて斃れ、サンダーは「覚えが早いな」と感心して背中を向けた。
アリアは男に噛まれた傷口を自分で縫おうとするがうまくいかず苛ついているサンダーを見かねて、燃えている枝で焼こうとする。しかしサンダーは炎を近づけることを許さず「おまえのおかげで懸賞金をかけられたんだ。余計なことをするな!」とアリアに怒りの矛先を向ける。
黙って針(ニードル)の手入れをはじめるアリア。するとばつが悪くなったのか、サンダーはグレガーに顔を焼かれた時の話をする。
「玩具を借りたら盗んだと思われた。痛みはひどく、臭いはもっとひどい。だが最悪なのは兄貴が犯人ということだ。親父は兄貴をかばい、寝床に火がついたと・・・・・・」
アリアは言った。
「傷口を洗って、縫うのを手伝うよ」
黒の城(カースル・ブラック)
クラスターの砦から戻ったジョン・スノウは、マンス・レイダー率いる10万の軍はすぐ近くにいて、次の満月には”壁”に到達すると報告。そして、北側の巡回はせず、石を入れ、水で凍らせてトンネルを封鎖するべきだと提案した。
ジャノス・スリントは「腰抜け!」と罵倒し、アリザー・ソーンは「何もせずに嵐が過ぎ去るのを待てというのか?何千年もの間、冥夜の守人(ナイツ・ウオッチ)がトンネルを封鎖したことはない」と顔を紅潮させるが、グレンは「10万の軍を防げる門じゃない」と反論。ジョン・スノウは巨人族の攻撃をこの門では防げないと断言した。
旗色が悪くなったアリザー・ソーンは、例によって「トンネルの維持は雑士(スチュワード)の仕事なのか?」と役職を持ち出し、工士長(ファースト・ビルダー)のヤーウィックに意見を求める。ヤーウィックがこれを認めなかったため、アリザーは次の満月までサムウェル・ターリーとともに”壁”の上で見張りをしろと命じた。
ミーリーン
デナーリスは花束を手に部屋へ侵入してきたダーリオ・ナハリスをベッドへ招き入れる。
翌朝、デナーリスの部屋から出てきたダーリオとすれ違ったジョラー・モーモントは、努めて冷静に「上官の首を穫るような者は信用できない」と訴えるが、デナーリスはすでにユンカイを奪還しろとダーリオに命じていた。
ジョラーはそんなことをしても親方たちは軍が去るのを待ち、また町を支配するに違いないと反対するが、デナーリスは「だから親方全員を殺せと命じた」と言った。
それでもジョラーは、親方達を虐殺すると人を獣として扱っていると思われるだけだと反論。解放された奴隷たちも、女王様は残忍だと思う。何かを教えたいのであれば、それを示すべきだ。敵はすべて悪だと見なしがちだが、善悪は戦う双方にあると訴えた。
「善悪の議論は司祭に任せておけばいいこと。私は目の前にある奴隷制度を終わらせる。それに携わる者は許さない」とデナーリス。しかし最後には、かつて密猟者を奴隷証人に売ったジョラーの罪の告白に免じるという形で折れ、ヒズダール・ゾ・ロラク(父の磔を解き、埋葬することを認めてほしいと願い出た男)を使者としてユンカイに送ると言った。それは、ミーリーンで起きた事実をユンカイで話して聞かせ、奴隷たちに選択の余地を与えることを意味していた。
デナーリスは「あなたの進言によって気が変わったとダーリオに伝えて」とジョラーに命じた。
ドラゴンストーン城
メリサンドルはセリースに、部屋に並べている薬品はすべて嘘を本当に見せるための道具だと打ち明ける。それを聞いてもセリースは、神がメリサンドルとスタニスを引き合わせたのだと意に介さない。そしてスタニスが北へ進軍するとき、娘のシリーンはここに置いていくべきだと話すが、メリサンドルは燃えさるか炎を見つめながら「彼女も一緒でなければならない」と告げる。
王の道
十字路の旅籠に入ったブライエニー・タースとポドリック・ペインは、キドニー・パイを絶賛。パイを焼いたのは、もちろん、アリア、ジェンドリーとともに王都から逃げ、旅をしていたホット・パイだ。彼はパイへのこだわりについて息もつかずに話し、ブライエニーを閉口させる。ブライエニーは話題を変えるつもりでサンサ・スタークを探していることを伝えるが、ホット・パイは知らないと答えた。
出立の朝、ポドリックはサンサには懸賞金がかけられているから気軽にその名を口にしない方がいいと忠告。そこへホット・パイがやってきて「あなたなら信用できそうだ」と言って、妹のアリア・スタークは生きていて、今サンダー・クレゲインと一緒にいると教える。そして「もし会うことがあれば渡してほしい」と言って小さな包みを預ける。ブライエニーが中味を確かめると、それは大狼(ダイアウルフ)の形をしたパイだった。
高巣城(アイリー)
サンサ・スタークは中庭に降り積もった雪を集めてウィンターフェル城を作るが、それを壊してしまったうえに謝ろうともしないロビン・アリンの頬を打つ。
それを見ていたピーター・ベイリッシュは「子どもの喧嘩ですね」と笑い、サンサがやったことを母親のライサ・アリンがずっと前にするべきだったと話す。そして、ウィンターフェル城にはもう戻れないと嘆くサンサに「まだ分からない」と慰める。
しかしベイリッシュを信用できないサンサはジョフリーを殺した理由を訊く。ベイリッシュは愛するキャトリンを苦しめた張本人だからと答える。そして「愛で力も義務も乗り越えられるような、もっといい世界であったなら、君は私の娘だったもしれない。君は母上の若い頃よりきれいだ」と言ってサンサにキスをする。
その一部始終を見ていたライサは、サンサを月の扉の前に呼び出し、ここから落ちた者がどんな有様になるか話して聞かせる。そしてベイリッシュとキスをしたことを責め、サンサの髪をつかんで落とそうとする。
ベイリッシュはライサに止めるように言い、サンサはよそへやると約束する。そして寸前のところで暴挙を止め、泣き出した妻を抱きしめて静かに語りかけた。
「私が愛したのは、生涯を通してたったひとりだけ。君の姉だ」
表情を変えたライサの胸を、ベイリッシュは両腕で強く突いた。
ライサは月の扉に吸い込まれて、落ちていった。
よくわかる ! ゲーム・オブ・スローンズ シーズン4『第7話/月の扉』地図と登場人物


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