サウスダコタ
ホテルの一室に集まったアルバート・ローゼンフィールド、タミー・プレストン、ゴードン・コールはワイングラスを合わせて乾杯する。その後、アルバートがタミーにブルーブック計画とガーランド・ブリッグス少佐の関係について説明する。
ブルーブック計画とは20年の歳月をかけたUFO調査計画で、1970年、アメリカ空軍は”UFOに関する証拠はなく、国家の脅威にはなり得ない”と判断し、計画を封印した。しかしそれは事実の隠蔽だった。
数年後、米軍とFBIは極秘でタスクフォース・チームを立ち上げ、ブルーブック計画が残した不可思議な謎に繋がる事件の捜査を始めた。関わった女性が死ぬ前に発した言葉から、それを”青いバラ事件”と呼ぶようになった。それは今までとは違う道を進まない限り、答えにたどり着かないことを意味している。
チームリーダーを任されたのはFBI捜査官フィリップ・ジェフリーズで、彼は3人のメンバーを選んだ。アルバート、チェスター・デズモンド、デイル・クーパーだ。このうち、今も無事なのはアルバートだけで、残りの2人は失踪している。そのためゴードンはメンバーの補充を行わなかった。
しかしそれも今夜までだとアルバートは言った。
「MIT(マサチューセッツ工科大)を優等で卒業し、FBIアカデミーでは首席だった君を、我々は高校時代から注目していた」
「やらせてください」
タミーはためらうことなく、むしろ興奮を隠しきれない様子でアルバートとゴードンに向かって頷いた。
「青いバラに」
3人は再びグラスを合わせた。
その後、部屋に入ってきたダイアン・エヴァンスに、アルバートとゴードンは捜査を手伝ってほしいと頼む。もちろん、刑務所から脱走した”ミスターC”の行方をつかむためだ。
ダイアンはしばらく考えてから、右手の指を2本立てて答えた。
「さあ、やろう」(Let’s Rock)
ツイン・ピークス
酒をカゴに入れ、タバコを店員に頼んでスーパーのレジに並んだセーラ・パーマーは、2~3週間前に入荷した新製品のビーフジャーキー(ターキータイプ)を見て顔をこわばらせ、若い女性店員に言った。
「あなたの部屋は前と違うようね。男たちが来る……」
意味が分からず戸惑う店員に、セーラは続ける。
「警告しているのよ!気をつけた方がいい。何かが起きる。私に起きたように……!」
セーラはもう一人の誰かと言い争うように店を出ていった。
カール・ロッドはトレーラーハウスの住人クリスコルを呼び止め、自分の血液を売って生活するのはやめて、芝刈りやガス器具の修理など、仕事をしたら料金を回収しろと伝える。そしてその報酬だと言って50ドルを渡し、今月の家賃は払わなくていいと言った。
スーパーでの出来事を聞いたトミー・“ホーク”・ヒルはセーラの自宅を訪ねる。玄関へ出てきたセーラの様子はいつもどおりで、セーラ自身も「どうしてああなったのか私にも分からない」という。キッチンの方で大きな物音がしたのは気になったが、ホークは何かあれば連絡してくれと伝えるしかなかった。
ベンジャミン・ホーンは、ホテルを訪ねてきたフランクから、リチャードが子どもをひき殺して逃げていると聞く。しかも目撃者である保育士のミリアム・サリヴァンの殺害まで企てたという。ベンは断絶中の孫の愚かさに呆れながらチェアに体を預けてため息をつき、リチャードはハリーとも揉めたことが何度もあると話す。
そしてベンは先日送られてきた315号室のキーをハリーに渡してくれと頼み、リチャードから連絡があれば知らせると約束。秘書のビヴァリー・ペイジに父親を知らずに育ったリチャードの幼い頃の想い出を話したあと、ミリアムの治療費を全額払うよう指示した。
サウスダコタ
ホテルのバーでダイアンは、”ミスターC”から届いた「ラスベガスは?」のメッセージに「まだ聞いてこない」と返信する。
夜半、ゴードンの部屋を訪ねたアルバートは、部屋にフランス人の美女を連れ込んでいることに驚きもせず、美女がゆっくりと身支度を調えるのを顔色ひとつ変えずに待った後、用件を伝える。
「ダイアンにメールが来た。”ラスべガスは?”と。彼女の返信は”まだ聞いてこない”。」
「我々が聞いていないこととは何だ?」
アルバートは「考えてみるが、今は上等のボルドーワインに浸りたい」と答えたゴードンに訊く。
「銘柄は?」(what kind is it?)
「……11時5分だ」
ゴードンが”what time is it?”と訊かれたつもりでボケたことを察知したアルバートは、上司を哀れむような目で見る。
”ミスターC”の指示を守り、ハッチとシャンタルはスナイパーライフルを持ってヤンクトン連邦刑務所のマーフィー所長の自宅前で待機。帰宅したマーフィーを玄関先で射殺した。
ツイン・ピークス
「ロードハウスにいると思うから一緒に来て」
2日前から恋人のビリーと連絡が取れず苛ついているオードリー・ホーンは、夫で会計士のチャーリーにそう頼む。しかし多くの仕事を抱えているチャーリーは「今夜はもう遅い。明日にしよう」と動こうとしない。
オードリーはそんな夫を「クズ」「卑怯で度胸のない負け犬」「かわいそうなクソ野郎」と罵り、「あんたがタマなしだからあたしはビリーが好きなの。ビリーとファックしてる」と怒りをぶつける。彼女が夫にそこまで言う理由は、夢だった。オードリーは昨夜、夢に出てきたビリーが鼻と口から血を流していたことが気になって仕方がないのだ。
さらにオードリーは「ビリーを最後に見たのはティナ。あの娘とは一緒に部屋にいたくないけど、見つけて話をきかなきゃならない。だけどあんたは彼女に電話もしてくれない」とまくしたてる。また、チャーリーが渡した書類にサインしないことにも腹を立てていたようで、共通の友人であるポールを呼ぶと言い出す。そしてこのままなら二人で交わした契約を破棄すると伝える。
チャーリーは観念し、出かける前にティナに電話をかけると言った。しかし「ビリーを最後に見たのはティナだ」とオードリーに伝えたのがチャックだと知ったチャーリーは眉間にしわを寄せて言った。
「チャックは先週、ビリーの車を盗んでいる。チャックが車に乗って去るのをビリーが目撃しているんだ。ビリーは保安官に話し、その日のうちに車が見つかった。車を取り戻したビリーは訴えを取り下げた」
それを聞いたオードリーは「早く電話をかけて」と促す。
そして受け答えするチャーリーの言葉から、重大なことを見落としていることに気づくが、チャーリーは何も語ろうとはしない。
サウスダコタ
閉店したホテルバーのカウンターで、ダイアンは、ルース・ダヴェンポートの腕に記されていた数字を思い出し、スマホの地図アプリに『Coordinates(座標)プラス2』と入力。示した場所はツイン・ピークスだった。
ツイン・ピークス
ロードハウスではChromaticsが”SATURDAY”を演奏している……。
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