ネヴァダ
33億円の保険金を受け取ることができたミッチャム兄弟は、クーパーとアシスタントを連れてラッキー7保険のオフィスを訪れ、ブッシュネル・マリンズにダイヤモンドをあしらったカフスと最高級の葉巻、BMWのキーをプレゼント。「言葉が出ないほど感激している」と言わせた後、踊るようにオフィスを出ていった。
一方、ミッチャム兄弟に保険金が渡らないように仕組んでいたアンソニー・“トニー”・シンクレアは、その様子を見てダンカン・トッドに連絡。1日以内に事態を収拾しろと命じられて絶望的な気分になる。保険金受け取りを妨害できなかったトニーに残された道は、ダギー・ジョーンズの殺害以外にないのだ。
ジェイニー・Eの自宅には、ミッチャム兄弟から子ども用のジムセットと新車のBMWが届く。クーパーの帰宅後、遊園地のようなイルミネーションが輝く裏庭で遊ぶサニー・ジムの姿を見て、ジェイニー・Eは幸せをかみしめる。
モンタナ
レイ・モンローを追ってアジトにたどり着いた”ミスターC”は、チームのボスであるレンゾとアーム・レスリングで対決。薄ら笑いを浮かべて見物する手下たちの前で、14年間誰にも負けたことがないというチャンピオンを退けた直後、一撃で顔を砕いて絶命させた。
手下たちは新たなボスに命じられるままスマホを渡し、レイを差し出して引き上げていく。”ミスターC”は逃げようとしたレイの右脚を撃ち抜き、裏切った元相棒を尋問する。そしてレイを雇ったのはフィリップ・ジェフリーズであること、レイはフィリップと電話で話しただけで会ったことがないこと、殺害を命じた理由は連中が欲しがっている何かを持っているためだと知る。
「ブリッグス少佐の件は?」
「聞いてねえ」
”ミスターC”はレイがポケットから取り出した翡翠の指輪を左手の薬指にはめろと命じた。それはレイが独房から出るときに看守から渡されたもので、”ミスターC”を殺したあと、左手の薬指につけろと言われていたらしい。
「情報を教えろ」
”ミスターC”はウィリアム・ヘイスティングスの秘書ベティから聞き出した座標が記入されたメモを受け取り、フィリップの居所を聞く。そのモニターで見守る部下たちのなかに、なぜかリチャード・ホーンの姿がある。
「フィリップ・ジェフリーズはどこだ」
「ダッチマンという店にいるらしいが、そんな場所はねえ――――」
”ミスターC”はレイの額を撃ち抜いた。
「俺は知っている」
レイの左手から翡翠の指輪が消えた。
レイの遺体は赤い部屋に運ばれ、翡翠の指輪はマイクが拾ってテーブルに置いた。
ネヴァダ
ラスベガス市警のフスコ3兄弟のもとに、ダグラス・ジョーンズのマグカップから採取した指紋の照合結果が届いた。ダギーの指紋はサウスダコタの刑務所を2日前に脱獄した男のものと一致していた。しかもその男は失踪中のFBI捜査官だという。フスコ3兄弟は「あり得ねえ」と笑い飛ばし、報告書を丸めてクズ箱に投げた。
トニーは市警のクラーク刑事を訪ねて「バレず人を殺害できる毒を教えてほしい」と頼み、5,000ドルを支払ってアコニチンを手に入れる。翌日、トニーはクーパーをカフェに誘い、隙を見て彼のコーヒーに毒薬を入れる。しかし良心の呵責に苛まれ、クーパーのコーヒーをトイレに流す。
そしてダンカン・トッドに雇われて会社に大きな損害を与えていたことをブッシュネルに打ち明け、涙を流しながらダンカンの不正について証言すると約束する。
ツイン・ピークス
夕食に訪れた『RR(ダブルアール)ダイナー』でボビー・ブリッグスは、エド・ハーリーとノーマ・ジェニングスに同席し、父が重要なものを残してくれたと嬉しそうに話す。ノーマはエドにも食事を用意するが、ウォルター・レイフォードが来たことによって中断した。
ノーマはウォルターから先月の売上について報告を受ける。『RR(ダブルアール)ダイナー』はFC展開をしており、5店のうち3店が黒字だった。経済的に低迷しているこの地域において新しい業態で成功しているのは素晴らしいいと褒められ、ノーマは誇らしい気持ちになる。
しかしウォルターは、この本店が赤字になっていることが気に入らないようで「君はチェリーパイに経費をかけすぎている」と指摘。ノーマはFC店のパイの味が本店とは違うのは契約違反だと反論する。
ローレンス・ジャコビーはショウ・ウインドーに飾られた黄金のスコップに気づいて車を停め、ネイディーン・ハーリーを訪ねる。配信動画を欠かさず視聴しているネイディーンは感激して迎え、自ら考案した音の出ないカーテンを捧げると言った。
セーラ・パーマーは自宅でタバコの煙と酒にまみれている。テレビはボクシングの試合を映している。同じ場面をずっと繰り返しているが、サラは気に留めることもなくグラスに酒を注ぐ。
「あの女、なんだって!?」
真相を知ろうと声を荒げるオードリー・ホーンにチャーリーは告げる。
「オードリー。この件はもう終わりだ」
しかしオードリーの気分は鎮まらず、どこか他の場所にいて他の人間になった気分だという。
いつも最高とは言えないものの自分を見失った経験がないチャーリーは
「まるで実存主義の講義だな」と呆れるが、オードリーの気持ちは収まらない。
「自分がわからなくなったらどうすればいいのよ!?」
「ロードハウスに行き、ビリーがいるか確かめてくるんだ」
チャーリーは言い聞かせるように伝えるが、オードリーが「場所は?遠い?」と答えたため、
「知っているだろ?麻薬でもやっているのか?」と聞く。
それでも場所を教えてというオードリー。チャーリーは仕方なく送っていくと伝え、忠告した。
「ゲームをやめなければ、君の物語を終わらせるぞ」
「物語って何よ。通り沿いに住んでいた女の子のこと?そうなの?」
オードリーはここはゴーストウッドのようだと言って泣き出した。
ロードハウスではジェームズ・ハーリーが”Just You”を演奏している。
コメント