”薬品なしで男は指さす”。ローラ・パーマー殺害容疑で逮捕されたのは、ベンジャミン・ホーン。
ジェラードの取調べを終えると、ゴードンは極秘任務のためオレゴンへ向けて発つ。
若い海兵隊員でごった返しているグレート・ノーザン・ホテルのフロアでクーパーたちはボブ探しを始めるが、ジェラードは発作を起こして気絶してしまう。「何の騒ぎだ」と言いながら、やってきたのはベンジャミンだ。
クーパーの指示で日記の紙片について捜査するためホークがハロルド邸を訪れると、ユリが散乱した部屋でハロルドが首を吊っていた。現場検証を行ったクーパーは、ハロルドの胸ポケットからメモを発見。フランス語で書かれた「僕の心は独りぼっち」と書いてある。そしてホークはユリが散乱した床に落ちていたローラのもうひとつの日記を拾い上げる。
改めて計算すると月42ドルで生活しなければならないことがわかり「いろんなものを売らないとやっていけない」とボビーを責めるシェリー。するとレオが「新しいクツ」とつぶやく。靴になにかあると思ったボビーはシェリーに修理に出している靴を探すように言う。
元気を取り戻したオードリーは「片目のジャック」で見聞きしたことのすべてをベンジャミンにぶつける。ベンジャミンはローラと寝たことを認め、「殺したの?」という問いかけには「愛していたんだ」と答える。
「ダブル・R・ダイナー」でシェリーは、「レオの世話をしなければならないので店を辞めさせてほしい」と涙を浮かべて話す。「いつでも戻ってきて」とやさしく抱きしめるノーマ。そこへ記憶が高校時代に戻ったままのネイディーンとエドが入ってくる。ノーマは様子がおかしいことを察知して話を合わせるが、ネイディーンはパフェのグラスを破壊する。
修理に出していたレオのブーツを引き取ってきたボビーはマイクのアドバイスでかかとの部分をハンマーで叩き壊す。出てきたのは小型のカセットテープだった。
保安官事務所でローラのもうひとつの日記を修復していたクーパーは、彼女が幼い頃から何度も片腕の男──ボブにいたずらされていたことを知る。どうやら彼はリーランドの友人らしいが、最も注目すべきは、最後のページに「ベンジャミン・ホーンの悪事を、いつか必ず世間に知らしめてやる」と書いてあったことだ。
扉がノックされ、入ってきたのはオードリーだった。彼女は父こそが「片目のジャック」のオーナーであり、ローラと関係を持っていたことをクーパーに話す。「逮捕するの」と心配するオードリーにクーパーは「このことは誰にも話すな」と念を押す。
しかしハリーには「ベンジャミン・ホーンを逮捕する」と告げる。”薬品なしで男は指さす”──。今朝、ジェラードがホテルで気絶した時、真っ先にやってきたのはベンジャミンだった。
クーパーたちはタジムラと会談中のオフィスに踏み込み、ローラ殺害容疑でベンジャミンを連行した。
その頃、パーマー邸ではレコードが音を奏でることなく回り続けている。「リーランド…」うめき声を発しながら、セーラが階段を這い降りてくる。
留置場へ入るベンジャミンを見送って振り向くと、そこには丸太おばさんがただならぬ形相で立っている。
「ロードハウスで何かが起きる」。クーパーは息を呑む。
今また起きている。今また起きている。
ピートが自宅で夕飯の支度をしていると、タジムラが音もなく入ってきてピートを力任せに抱きしめる。グラスが割れ、ミルクが床に飛散する。
「ひと目で心を引かれた。あなたの瞳は温かくて深く、大空のように青い」
そういって笑ったのは、火災で死んだはずの妻キャサリン・マーテルだった。
「ひどい顔だな」ピートは泣き笑いして抱きしめる。
セーラは白い馬の幻を見て気を失う。リーランドは鏡の前でネクタイを結んでいる。
「ロードハウス」では今夜もライブが行われていて、ボックス席にはジェームズとドナの姿がある。ハロルドの死を「誰のせいでもない」とジェームズは言うが、「私が彼のちいさな世界を踏みにじってしまった」とドナは自分を責める。
クーパーとハリー、丸太おばさんの3人はテーブル席に座り、何も語らずに時を過ごす。やがて音楽が止み、バンドがいたステージに赤い蝶ネクタイの巨人が現れる。そして語る。
今また起きている。今また起きている。
鏡に向かって満足そうな笑みを浮かべるリーランド。鏡が写しているのは殺人鬼ボブの顔。リーランドは病院でジャック・ルノーを殺害した時から、ボブに取り憑かれているのだ。
リーランドに取り憑いたボブはゴム手袋を装着し、マデリーンに襲いかかる。泣き叫ぶ彼女の首を絞めあげ、容赦なく顔を殴りつける。立つこともできなくなったマデリーンを力任せに抱きしめ「ローラ」と呼びながらひとしきり踊ったボブは「ミズーラに帰るんだってな!モンタナに!!」とわめきながら、無抵抗の彼女の顔を鏡にぶつける。そして血まみれになった爪に、ペーパーナイフで「O」の文字を……。
巨人はステージ上からゆっくりと姿を消し、再びバンドの演奏が聴こえてくる。
フロアにはなぜか世界最高齢のルームサービスがいて、クーパーの姿を見つけると肩を叩いて言った。
「まことに遺憾です」
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