()ネタバレを含みます。ドラマを見てわからないところがあった時などにお役立てください。
6年後。レイニス・ヴェラリオンは夕暮れ城(イーヴンフォール・ホール)からの使い鴉によって、コアリーズが海賊に襲われて瀕死の重傷を負ったことを知る。
レイニスとベイラはコアリーズの生還を信じて疑わないが、ヴェイモンドはコアリーズ亡き後の王座について言及。彼と血を分けた弟こそがふわしいとほのめかすヴェイモンドを、レイニスは「反逆罪に見なされるわよ」と戒告。
しかしヴェイモンドはコアリーズのせいでヴェラリオン家は災難続きだと非難。コアリーズが次代の当主に指名しているルケアリーズを「ストロング家の小僧」と言い放ち、このままではヴェラリオン家の血筋は絶える。ドリフトマークは俺のものだと主張。レイニラは「風向きは変わった。王家は俺の肩を持つ」と自信満々なヴェイモンドに警告した。「王はあなたの舌を斬るわ」
ドラゴンストーンでシアラックスの卵を3つ捕獲したデイモンは、ベイラから届いた書簡によってヴェイモンドの言動を知る。お腹にデイモンの子どもを宿しているレイニラは「反逆もあり得る。ここまで言うからにはすでにハイタワーと手を組んでいるかもしれない」と警戒を強める。レイニスについては、レーナーを殺されたことを恨んでいるが、ベイラと暮らしており、ヴェイモンドの味方になるほど愚かな女性ではない。それがレイニラとデイモンの見解だった。
デイモンとレイニラは海路で王都へ帰郷した。しかし、懐かしさを感じることはない。
ヴィセーリスの姿がない小評議会ではヴェラリオン家のことが議題に上がる。
「コアリーズは次の当主は孫のルケアリーズに決めているらしいが、いくらドラゴンに乗れてもドリフトマークの外で育った者に艦隊の指揮は無理だろう」
「”海蛇”はルケアリーズを跡継ぎに指名したわけではない。王家が最善の決断をすべきだ」
「レーナーの息子だぞ。何のいわれがあってそんなことを・・・」
「それが問題なのだ」
議論は続くがアリセントは「明日、レイニラ王女と他の者の申し立てを聞くわ」と言って席を立った。
扉の前で警護していた”王の楯(キングズ・カード)”のエリック・カーギルは、ゲストのもとへ急ぐアリセントの足を止めて告げた。
「プリンスの部屋で問題が発生しました」
王の居室を訪れたレイニラとデイモンは、頭部と顔の左半分に包帯を巻いてベッドに横たわるヴィセーリスと対面した。枯れ木のように痩せ細ってしまった王にデイモンは”海蛇”が復活した三頭市(トライアーキー)と踏み石諸島(ステップストーンズ)で戦い、瀕死の重傷を負ったことを告げる。そしてドリフトマークの玉座にルケアリーズを支持してほしいと頼む。
レイニラはデイモンとの間に生まれたふたりの子ども―エイゴンとヴィセーリスに会わせるが、王の意識はもうろうとしている。デイモンは辛そうな兄に頼まれてお茶を差し出すが、その臭いを嗅いで疑念を抱く。
プリンスの部屋で起きた問題。それは給仕の娘の強姦だった。アリセントは泣きじゃくる娘にまとまったお金を渡し、妊娠を防ぐ効果のある飲ませた。そして「あなたがこのことを口外しても、あなたの言うことを信じる者は誰もいない」と告げた。
アリセントは怠惰な眠りを貪っているエイゴンを起こして頬を張り「これほど大事な日に妻と私に恥をかかせた。あなたはもう息子ではない」と告げた。
アリセントと再会したデイモン、レイニラは、ヴィセーリスに芥子(けし)の汁を飲ませていること、そしてターガリエンの紋章を外して偶像や星印を置いている理由を訊く。
芥子の汁についてアリセントは「飲まずに苦しむ姿は見ていられない」と返答。紋章については「七神の星が導いてくださるわ。神々が統治者よ」と説明した。
懐かしい城内を歩いたジャセアリーズとルケアリーズは人々の好奇の目線を感じる。そんな彼らが釘付けにになったのは、クリストン・コールとエイモンドの剣術の稽古だった。エイモンドはクリストンと互角に戦えるまでに成長しており、クリストンから「槍試合でも勝てます」とお墨付きをもらっても意に介さず、隻眼で甥っ子たちを睨みつけた。
その最中に衛兵の先導で門をくぐってきたヴェイモインド・ヴェラリオンは、ただちに王妃、”王の手”と会談。コアリーズの死をまたずにドリフトマークの後継者を決めていいものか。決断しかねている王妃にオットーは「王土のために覚悟を決めなさい」と諭し、ヴェイモンドも「万が一に備えるべきです」と進言した。デイモンの読みどおり、ヴェイモンドとオットーはすでに手を組んでいたのだ。
オットーは続ける。
「三頭市(トライアーキー)の脅威が迫っている今、王土で一番の艦隊の指揮を子どもに任せるのか?」
「考えるべきは民のことよ」とアリセントが返答すると、ヴェイモンドは言った。
「次の”潮の主”はけっしてご恩を忘れません。もちろんドリフトマークもです」
ウィアウッドの前でレイニス・ヴェラリオンと対面したレイニラは「誓ってレーナーの死には一切関わっていません。私は彼を愛していました」と弁明。そのうえでルケアリーズを支持し、あなたの孫たちと私の息子たちの婚約をお願いしたいと申し出た。
ベイラはいずれ七王国の王妃となり、その息子たちは世継ぎとなる。そしてレイナはドリフトマークを治め、彼女とルケアリーズの子が跡を継ぐ・・・それがレイニラの描く未来だった。
レイニラの嘘を見通しているのか、レイニスは笑みを浮かべて答える。
「御託を並べるのは自由よ。孫娘たちをダシにしてね。明日、ハイタワーはあなたに先制攻撃を仕掛け、ひざまずかせる。私はどこにも与しない」
レイニスの協力を得られなかったレイニラは、死の淵にいる父ヴィセーリスの枕元で訊く。
「氷と炎の歌は真実だと思う?言ったわよね。共通の敵と戦うために王土をまとめろと。でも、私が世継ぎになったから分裂した。女王の座を望んでいたけど・・・私には荷が重かった――重すぎたわ」
うわごとのように娘を呼ぶ王に、レイニラは続ける。
「重荷を背負えというのなら私を守って。子どもたちも」
もはや言葉を発することもできない王を前に、レイニラは嗚咽を漏らす。
翌朝、ベッドで治療を受けながらヴィセーリスは「今夜は私の家族が赤の王城(レッドキープ)に集まる。晩餐の用意をしろ」とオットーに伝える。
コアリーズの後継者選びは、開会にあたって”王の手”オットー・ハイタワーが「私が王に代わって申し立てを聞き、裁定を下す」と宣言。つまり、ヴェイモンドが後継者として認められることは、この時点で決まっていたのだ。
この出来レースを潰したのは、ヴィセーリス王だった。娘であるレイニラの勝ち目のない申し立てを遮るように後方の扉から入場したヴィセーリスは、今にも倒れそうな足取りで、しかし確実に鉄の玉座に近づいてゆく。
「今日は私が玉座に座る」下から射貫くような視線でオットーに告げるヴィセーリス。誰の手も借りずに階段を上った王は、最後の数歩だけ弟デイモンに支えられながら玉座に辿り着いた。家族を守り、王土を守る。その執念の成せる業としかいいようのない王の姿に、誰もが息を呑んだ。
着座したヴィセーリスは体力が限界に達していることもあって速やかに本題に入った。
「後継者はもう決まっているはずだ。そして、ここにいるなかでコアーリズ公の意向を知る者はただひとりしかいない。レイニス王女だ」
それを受けて前に進み出たレイニスは、背筋を伸ばし、穏やかな表情で告げる。
「夫がドリフトマークの後継者として望んでいたのは、レーナーの正嫡・ルケアリーズです。そして私もその意思を支持します。また、さきほどレイニラ王女から、その息子たちとコアリーズ公の孫娘との結婚の申し出がありました。これを私は謹んでお受けいたします」
オットーとアリセントは落胆し、エイゴンは笑みを浮かべる。そしてヴィセーリスは宣言した。
「今度こそ、我々はここにヴェラリオン家のルケアリーズをドリフトマークの流木の御座”潮の主”の後継者とする」
しかし、ヴェイモンドは納得せず、王に向かって言葉を荒げる。
「あんたは長年の伝統に背いて娘を世継ぎに指名した。そのあんたがヴェラリオン家の後継者を決めるだと?そんなことは認めん」
そしてルケアリーズを指さして続ける。
「あいつはヴェラリオンの血筋ではない!もちろん私の甥孫でもない!」
「ルケアリーズは紛れもなく私の孫だ。そなたはドリフトマークの次男坊に過ぎん」
ヴィセーリスが呆れて睨みつける。
「あんたは自分の一族を好きにすればいいが、我が一族の運命を決めるのは許さん。後継者をこのような――この子供らは、落とし子だ!そして彼女は―あばずれだ」
「貴様・・・舌を切り落とす」
ヴィセーリスが立ち上がって剣を抜いた次の瞬間、ヴェイモンドは絶命した。
デイモンが顔を斬り落としたのだ。
ヴィセーリスが望んだ家族の晩餐は予定通りおこなわれた。
ヴィセーリスは顔の左半分を覆っていた仮面を外し、最後の力を振り絞って家族の団結を望む。それに応え、レイニラとアリセントはともに感謝の気持ちを伝えて乾杯する。
子どもたちもそれぞれが乾杯の言葉を述べ、祝宴はなごやかな雰囲気で進む。
しかし、体力を使い果たした王が退場すると状況は一変。
乾杯の言葉に「ストロング」を繰り返して揶揄したエイモンドにジャセアリーズとルケアリーズが反応して殴りかかったのだ。大人たちが割って入って事は納まったが、またしても遺恨を残して宴は終了した。
その夜、ヴィセーリス王は王妃アリセントに見守られながら身罷った。
今際の際、ヴィセーリスはうわごとのように「すまない、申し訳ない」と謝る。
そして「真実だと思うかどうか、知りたがっていたよな」と前置きして続ける。
「エイゴン・・・彼の夢・・・歌だよ。氷と・・・炎の・・・あれは真実だ・・・北で見たのは約束された王子・・・王土を一つにして冷たい闇に立ち向かう。お前だ。お前がやれ。必ずやるのだ・・・」
「エイゴン」という言葉はどうにか聞き取れたものの、アリセントには何のことだかわからない。なぜなら、それはかつて、エイゴン征服王の短剣に刻まれた歌について、レイニラに語った話の続きだからだ。意識が混濁しているヴィセーリスはレイニラが側にいると思って話したと思われるが、アリセントは「エイゴンに王位を継承させろ」。それが王の最期の言葉だと解釈した。
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