WOWOW歴9年のわたしが、200本を超えるオリジナルドラマ(連続ドラマW)のなかから選んだ15作品です。作品選びの参考にしていだたけたら幸いです。
<この記事にはプロモーションが含まれています>
【第1位】空飛ぶタイヤ
DATA
初回放送日:2009年3月29日 全5話
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:麻生学・鈴木浩介 脚本:前川洋一 音楽:佐藤直紀
キャスト:仲村トオル、戸田菜穂、大杉漣、柄本佑、大塚千弘、田辺誠一、本上まなみ、袴田吉彦、相島一之、尾野真千子、國村隼、ミムラ、萩原聖人、西岡徳馬、水野美紀、遠藤憲一、山口もえ、他
受賞歴 :平成21年日本民間放送連盟賞 番組部門 テレビドラマ番組最優秀 東京ドラマアウォード優秀賞(連続ドラマ部門) 、第26回ATP賞テレビグランプリ2009最優秀賞(ドラマ部門)、第26回ATP賞テレビグランプリ2009グランプリ
原作:池井戸潤「空飛ぶタイヤ」(実業之日本社刊)
ストーリー
走行中のトラックのタイヤが外れて主婦を直撃する死亡事故が発生。原因は車両の整備不良という警察発表に納得がいかない運送会社の社長は、遺族に対して深い悼みを感じながらも、真相を明らかにするために世界的な巨大企業である自動車メーカーに立ち向かう。
momocoの「空飛ぶタイヤのここが好き!」
この作品との出会いは近所のTSUTAYA。店員さんの熱のこもったレビュー入りPOPに惹かれて見ていなければ、WOWOWに加入することも、池井戸潤の小説を片っ端から読むこともなかったと思います。信念を持ち正義を信じる主人公が何度もくじけそうになりながら巨大企業の暗部を暴いていくというストーリーはこの上なく痛快で、レンタルDVDとWOWOWオンデマンドで10回以上通して見ました。
もちろん、WOWOWでの再放送は録画してBlu-rayにダビングしました。私の大切な宝物です。一番好きなのは、第5話。赤松(仲村トオル)が自力でつかんだ証拠を持って警視庁に乗り込み、高幡刑事(遠藤憲一)に怒りをぶつけるシーンです。内部告発して「もうあの会社にはいられなくなるかもしれない」と胸の内をさらしたホープ自動車の沢田(田辺誠一)に妻(本上まなみ)が掛けた台詞もよかったなぁ。
【第2位】ダブルフェイス(潜入捜査編/偽装警察編)
DATA
初回放送日:2012年10月
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:羽住英一郎 脚本:羽原大介 音楽:菅野祐悟
キャスト:香川照之、西島秀俊、蒼井優、和久井映見、伊藤淳史、堀部圭亮、伊藤かずえ、高橋光臣、角野卓造、小日向文世他
受賞歴 :東京ドラマアウォード2013 作品賞 グランプリ(単発ドラマ部門)、平成25年日本民間放送連盟賞 番組部門 テレビドラマ番組 優秀賞、第3回衛星放送協会オリジナル番組アワード オリジナル編成企画賞 特別賞、50回ギャラクシー賞 テレビ部門 奨励賞(西島秀俊)
ストーリー
2002年の香港映画『インファナル・アフェア』を2本立てのドラマとしてリメイク。警察と犯罪組織、それぞれに潜入を命じられた2人の男が、宿命的な出会いを迎える姿をスリリングに描く。「潜入捜査編」の主人公は、警察官でありながら犯罪組織の幹部となった男。「偽装警察編」は犯罪組織から警察へ送り込まれた男が主人公。
momocoの「ダブルフェイスのここが好き!」
TBSテレビとWOWOWの共同製作ドラマで、最初に放映されたのがTBSの「潜入捜査編」。「偽装警察編」を視聴するために加入した記憶があります。香港映画『インファナル・アフェア』、史上最高額でリメイクされた『ディパーテッド』も見ましたが、犯罪組織に潜入した警察官の悲壮感、せつなさ、戻る道が閉ざされてしまった時の絶望感は、この作品が最も丁寧に描かれているのではないでしょうか。そして窮地を脱したはずの「偽装警察官」も……。二人の運命が交錯するクライマックスとラストシーンは、何度見ても色あせることがなく、見事という他ありません。
【第3位】下町ロケット
DATA
初回放送日:2011年8月21日 全5話
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:鈴木浩介、水谷俊之 脚本:前川洋一 音楽:羽岡 佳
キャスト:三上博史、寺島しのぶ、渡部篤郎、池内博之、綾野剛、原田夏希、眞島秀和、野間口徹、忍成修吾、松尾 諭、光石 研、小市漫太郎、小木茂光、佐藤二朗、古谷一行、他
原作:池井戸潤「下町ロケット」(小学館刊)
ストーリー
JAXAで宇宙ロケットの開発に打ち込みながら、打ち上げ失敗の責任を取らされて辞職。父親が経営していた小さな町工場を継いだ男が主人公。ライバル会社から仕掛けられた特許侵害の訴訟によって会社存亡の危機に立たされながらも諦めずに戦いを挑み、是が非でもエンジン部品の特許を買い取って純国産ロケットの開発を成功させたい大企業に対しても技術者としての信念を貫く。
momocoの「下町ロケットのここが好き!」
池井戸潤の企業小説の魅力は、会社という組織における「とても嫌なヤツ」や「裏切り者」をしっかりと描くことで信頼する仲間との絆を際立たせていくところ。だから映像作品では、視聴者から嫌われる役どころを演じる俳優の技量が完成度を大きく左右します。この作品で言えば、帝国重工の社員を演じる眞島秀和、野間口徹、升毅。そして佃製作所を訴えるナカシマ精機の社員として登場する佐藤二朗、顧問弁護士の小木茂光。彼らの存在があるからこそ、帝国重工の若手技術者役の忍成修吾や、仲間であり味方を演じる松尾諭、光石研、小市慢太郎、 寺島しのぶといった面々を応援したくなるのです。TBSのドラマも完成度の高い作品に仕上がっていましたがですが、バイプレーヤーの充実度では断然、こっちに分がありますね。
【第4位】邪神の天秤 公安分析班(殺人分析班シリーズ)
DATA
初回放送日:2022年2月13日(全9話)
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:内片輝、山室大輔、山本大輔 脚本:穴吹一朗、小山正太、成瀬活雄音楽:諸橋邦行
キャスト:青木崇高、松雪泰子、徳重聡、小市慢太郎、福山翔大、筒井道隆、渡辺いっけい、段田安則、他
原作:麻見和史『邪神の天秤 警視庁公安分析班』『偽神の審判 警視庁公安分析班』(講談社文庫刊)
ストーリー
過去の事件を捜査するため、警視庁捜査一課十一係から公安部に異動した鷹野(青木崇高)にとっての最初の事件を描く。爆破事件の現場近くで与党大物議員の殺害事件が発生。遺体からは臓器が抜かれ、その付近には心臓と羽根を載せた天秤が残されていた。臨場した鷹野は、古代エジプト神話を模した殺害方法に違和感を持って捜査一課時代と同様に現場の写真撮影を行い、筋読みを始めるが、同僚の氷室(松雪泰子)たちには「公安には向いていない」と冷遇される。
momocoの「邪神の天秤 公安分析班のここが好き!」
主人公は殺人分析班シリーズで如月塔子(木村文乃)とコンビを組み、彼女に捜査のすべてを教えた鷹野秀昭(青木崇高)。クールですが使命感に溢れ、深い愛情を持つ大好きなキャラクターなのでわたしにとっては待望の作品です。
位置づけとしては殺人分析班3部作のスピンオフですが、主人公への共感度とストーリーの奥深さでこちらを上位にしました。
捜査一課と反目していることもあって、写真撮影、筋読みといった捜査一課の手法を持ち込んで失態を犯した鷹野を公安部の連中は不適合者として扱い、班長の佐久間(筒井道隆)からは「明日までにこのチームに残るか決めろ」と言われてしまいます。
しかし、鷹野は愚直に「現場100篇」を実行。そこで捜査一課の早瀬に会い、同じ事件を追っている如月塔子の着任当時を振り返って「異端児は革命を起こせる」と確信。公安のやり方を学ぶことを決意します。
そこから変わり者と呼ばれても構わずに信念を貫き、公安の連中を巻き込みながら猟奇事件の核心に近づいていく姿が熱いです。早瀬泰之(わたなべいっけい)をはじめ、かつての仲間十一係の刑事との関わり方も鷹野らしくて好きです。
【第5位】石の繭/水晶の鼓動/蝶の力学(殺人分析班シリーズ)
石の繭 公式サイト
水晶の鼓動 公式サイト
蝶の力学 公式サイト
DATA
初回放送日:「石の繭」2015年8月16日(全5話)/「水晶の鼓動」2016年11月13日(全5話)/「蝶の力学」2019年11月17日(全6話)
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:内片輝 脚本:渡辺謙作、八津弘幸、穴吹一朗音楽:諸橋邦行
キャスト:木村文乃、青木崇高、段田安則、渡辺いっけい、平岳大、北見敏之、小柳友、樋渡真司、康喜弼、仲村トオル、他
原作:麻見和史「石の繭 警視庁殺人分析班」「水晶の鼓動 警視庁捜査一課十一係」「蝶の力学 警視庁殺人分析班」(講談社文庫刊)
ストーリー
死体がセメントで塗り固められているという謎めいた共通点を持つ連続猟奇的殺人に警視庁捜査一課が挑む。主人公は、警視庁が進めている女性刑事育成プログラムのシンボル的存在として注目されている第十係の女刑事。トレミーと名乗る犯人との交渉相手となって事件の真相に近づいてゆく。
momocoの「石の繭 殺人分析班のここが好き!」
木村文乃が演じる如月塔子は小柄で非力だけど一生懸命で真面目な刑事。育成プログラムのシンボルではあっても、捜査一課の刑事たちは戦力の一人としてジェントルに接します。上司や幹部から「お嬢ちゃんの出る幕じゃない」(ストロベリーナイトとかね)とかの台詞が出てこないのが新鮮です。素晴らしいのは、彼女を認め、労り、鍛え、サポートする仲間の配役。捜査一課長の段田安則、係長の渡辺いっけい、警部補の平岳大、巡査部長の北見敏之など、刑事ドラマでは犯人役も含めて一癖ある役が定着している名優が温かい目で彼女を見守っているというギャップがたまりません。もう、やられたって感じです。相棒役の青木崇高からは彼女に対する大きな愛を感じますが、恋愛事情が絡んでこないのも面倒くさくなくて好きですね。3つのシリーズを通して視聴すれば、如月塔子の成長ぶりを実感できますよ。
【第6位】沈まぬ太陽
DATA
初回放送日:2016年5月8日 全20話
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:水谷俊之、鈴木浩介 脚本:前川洋一 音楽:佐藤直紀
キャスト:上川隆也、渡部篤郎、夏川結衣、檀れい、板尾創路、小泉孝太郎、草刈民代、若村麻由美、古谷一行、國村隼、甲本雅裕、渡辺大、徳重聡、長塚京三、ミムラ、工藤阿須加、袴田吉彦、板尾創路、堀部圭亮、モロ師岡、高嶋政伸、陣内孝則、橋爪功、平幹二朗、他
受賞歴:ギャラクシー賞2016年9月度月間賞、東京ドラマアウォード2016作品賞連続ドラマ部門優秀賞
原作:山崎豊子「沈まぬ太陽」(新潮文庫刊)
ストーリー
1985年夏の日航機墜落事故をモチーフに、国営の航空会社という巨大な縦割り組織のなかで良くも悪くも信念を貫く者たちの生きざまを丹念に描く。航空機を利用するお客様と、一緒に働く仲間と、空の安全を守る――。入社以来、同じ志を持って労使交渉を行ってきた同期入社の親友が袂を分かち、それぞれの信念に基づいて歩み始めると、物語は大きなうねりを伴って動き出す。
momocoの「沈まぬ太陽のここが好き!」
5年にわたって海外の僻地勤務を強いられた挙げ句、未曾有の航空機墜落事故が発生すると遺族のお世話係をしろと言われる。常人にはとうてい耐えられない仕打ちを受けながら、主人公に会社を辞めるという選択肢はありません。持ち前の頑固さと、同じように報復人事を受けて冷遇されている仲間たちへの想いがそうさせているのですが、それが、国営企業を私物化する経営陣のえげつないやり口を描くための最良の要素となっています。悪があってこその善、なんですよね。特に第2部――未曾有の航空機事故を引き起こしてなお、政治家を抱き込んで私腹を肥やすことに執念を燃やす経営陣の「悪代官ぶり」は見ていてすがすがしいと感じてしまうほど。國村隼、板尾創路、陣内孝則、高嶋政伸など、“怪優”たちの演技をじっくりと堪能してほしいです。
【第7位】パンドラ
DATA
初回放送日:2008年4月6日 全8話
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:河毛俊作(フジテレビ)、小林義則(共同テレビ)、若松節朗(共同テレビ)、小椋久雄(共同テレビ)
脚本:井上由美子 音楽:佐藤直紀
キャスト:三上博史、柳葉敏郎、小西真奈美、谷村美月、國村隼、山本圭、平田満、相島一之、山本耕史、小野武彦、余貴美子、吉瀬美智子、他
受賞歴:東京ドラマアウォード作品賞グランプリ(連続ドラマ)、平成20年日本民間放送連盟賞 番組部門テレビドラマ番組優秀賞、ギャラクシー賞テレビ部門2008年4月度月間賞
ストーリー
大学病院の内科医が、18年の研究を実らせてがんの特効薬を完成させる。周囲から変わり者扱いをされていたため最初は誰にも相手にされないが、援助交際を繰り返していた末期がんの少女と知り合ったことがきっかけになり、効果は本物だと認められる。同時に彼を取り巻く環境は激変。功績を我が物にしようとする上司、独占販売を狙う製薬会社など魑魅魍魎たちが作り出す渦に巻き込まれていく。最後に残ったのは希望?それとも絶望?
momocoの「パンドラのここが好き!」
近年は骨太の小説を選んでドラマ化していますが、“連続ドラマW”としての記念すべき第一作は「白い巨塔」「14才の母」「GOOD LUCK!!」などを手がけた井上由美子のオリジナル脚本です。以後、バイオ技術を題材にした「パンドラⅡ 飢餓列島」、自殺防止のICチップを総理に埋め込む「パンドラIII 革命前夜」へと続きますが、画期的な開発のメリットとデメリットが最も鮮明に描かれているのがこの第一作です。がんの特効薬によって不幸になる人もたくさんいるというところに社会の摂理を感じますね。
(※「パンドラ」はシリーズ化されていますが出演者、テーマが異なるため、この作品だけをランキングします)
【第8位】コールドケース ~真実の扉~(3シーズン)
DATA
初回放送日:シーズン1 2016年10月22日 全10話/シーズン2 2018年10月13日 全10話/シーズン3 2021年10月13日 全10話
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:波多野貴文、内片輝、守下敏行 脚本:瀬々敬久、吉田康弘、蓬莱竜太、林宏司、酒井雅秋、野木萌葱、瀧本智行
音楽:村松崇継
キャスト:吉田羊、永山絢斗、滝藤賢一、光石研、三浦友和、他
ストーリー
未解決殺人事件専門の捜査チームを描き、アメリカ・CBSで7シーズン(2003~2010年)にわたって放映された「コールドケース」の正式な承認を得て製作された日本版。神奈川県警捜査一課を舞台に、ひとつ一つの事件の再捜査に至る過程と事件当時の時代背景を丁寧に描く。
momocoの「コールドケース ~真実の扉~のここが好き!」
本家・コールドケースと同様、事件発生当時の様子を描くシーンでは当時の話題曲・ヒット曲がBGMとして使用されますので「その時の自分」を思い出しながらストーリーの中に入っていけます。
たとえば1996年が舞台の第一話ではMr.Childrenの『名もなき詩』、OASISの『Don’t Look Back In Anger』 など。私としては違和感の方が大きかったですが、5年、10年程度の時間差であっても、前触れのない場面転換時も含めて事件発生当時とリアルタイムで似て異なる俳優を使ったあたりにもWOWOWの気骨を感じました。
永山絢斗が大麻所持で逮捕されてしまったので続編の制作は困難でしょうが、本家は7シーズンも続いた人気作であり、未解決事件ならまだまだ物語はできるはず。そのときを待ちたいです。
【第9位】しんがり 山一證券 最後の聖戦
DATA
初回放送日:2015年9月20日 全6話
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:若松節朗、村谷嘉則 脚本:戸田山雅司 音楽:住友紀人
キャスト:江口洋介、真飛聖、萩原聖人、林遣都、佐藤B作、矢島健一、勝村政信、岸部一徳、田中健、光石研、相島一之、佐野史郎、他
受賞歴:ギャラクシー賞2015年10月度月間賞
原作 :清武英利『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社刊)
ストーリー
四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業に追い込まれたのは1997年11月のこと。最大の原因とされた約2,600億円の簿外債務は、いつ、どのように生まれ、どのように隠し続けられたのか。社内から“場末”と呼ばれ、煙たがられた部署の連中たちが、全社員と顧客を裏切った経営陣に対する怒りを胸に、その真相を追究する。
momocoの「しんがり 山一證券 最後の聖戦のここが好き!」
原作がノンフィクションなので当然と言えますが、山一證券という実名をそのまま使ってドラマにできるのはWOWOWだからこそ。廃業の原因の追及と後始末を行う社員たちにスポットをあてた物語も地味を通り越して新鮮です。特に「ギョウカン」のメンバーが逮捕された幹部社員を社内の一室に迎えてケアをするシーンは滑稽でおもしろかったなぁ。
【第10位】翳りゆく夏
DATA
初回放送日:2015年1月18日 全5話
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:波多野貴文 脚本:吉本昌弘、香坂隆史 音楽:村松崇継
キャスト:渡部篤郎、時任三郎、門脇麦、菅田将暉、岩松了、前田敦子、森口瑤子、鶴田真由、滝藤賢一、板谷由夏、佐藤B作、嶋田久作、橋爪功、他
原作 :赤井三尋『翳りゆく夏』(講談社文庫刊)
ストーリー
20年前、新生児を誘拐して身代金を手にした直後に事故死した犯人の娘が、大手新聞社の就職試験に応募。内定が決まったことを週刊誌にスクープされたことから始まる社会派サスペンスドラマ。ある事件をきっかけに窓際勤務に追いやられた元敏腕新聞記者が社主の命を受けてこの誘拐事件の真相を追うと、思わぬ疑惑が次々と浮かび上がってくる・・・・・・。
momocoの「翳りゆく夏のここが好き!」
第5話の冒頭、真相を追う梶(渡部篤郎)が車中でこれまでの出来事をフラッシュバックさせて紐付けていくシーンは、実に4分50秒。台詞がなくても演じられる渡部篤郎だからこそ可能なのでしょうね。視聴者にも推理を楽しむ時間を与えてくれたような気がしてうれしかったです。20年間前の誘拐事件の犯人の娘である朝倉比呂子(門脇麦)と、記者としてその事件にかかわっていた武藤(時任三郎)の息子(菅田将暉)との出会い方もよかったです。あと印象に残ったのは、かつて同僚として憧れていた照代(前田敦子)が風俗嬢に身を落としたことを知り、店を突き止めた男(前野朋哉)が「お金払うから本番やらせて」「おまえ、人気あったからこれから他のヤツも来ると思うよ」と言い放つシーン。かぎりなくゲスでございます。
【第11位】トクソウ
DATA
初回放送日:2014年5月18日 全5話
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:河合隼人、滝本憲吾 脚本:鈴木智 音楽:堤 博明
キャスト:吉岡秀隆、真飛聖、吉沢悠、深水元基、長谷川朝晴、佐野史郎、矢島健一、でんでん、斉木しげる、松重豊、三浦友和、他
原作:由良秀之『司法記者』(講談社刊)
ストーリー
世界でも類をみない権力を持ち、最強の捜査機関と言われる特捜検察。近年は度重なる不祥事によって存在意義が問われているため、巨悪を討つことに躍起になっている。そんなさなかで明るみに出た大日本建設と県知事の贈収賄疑惑。一斉捜査で集めた証拠から描いたシナリオどおりに喋らせろ。おまえたちの意見など聞いていない――。そんな軍隊のような直告班のなかで、地検から異動となった検事・織田俊哉(吉岡秀隆)は、自分らしく地道に事実を積み上げていこうとする。
momocoの「トクソウのここが好き!」
私、検察の権威などとっくに失墜していると思っており、メディアの報道を信用しなくなってからもけっこう長いです。ですから、自身の弱さを認めて正義を貫く検事(吉岡秀隆)や、身の危険を顧みずに真実を追究し続ける新聞記者(真飛聖、吉沢悠)も「もしかしたら一人くらいは実在するかもしれないけどさ」と、斜に構えて見ていました。そんな私が、ラストシーンをみて検察官の捜査と、新聞記者の取材が今、どんなふうに行われているのか、ちょっと知りたい気になったのでいいドラマだったのだと思います。吉岡秀隆の検事役もまた見てみたいです。
【第12位】贖罪
DATA
初回放送日:2012年1月20日 全5話
WOWOWオンデマンド:配信中
監督・脚本:黒沢 清 音楽:林 祐介
キャスト:小泉今日子、蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴、森山未來、加瀬亮、新井浩文、香川照之、田中哲司、他
原作 :湊かなえ『贖罪』(東京創元社刊)
受賞歴:東京ドラマアウォード2012優秀賞・演出賞
ストーリー
小学生の女の子が何物かに連れ去られて殺害される。その場には4人の同級生がいて彼女たちの目撃情報から捜査が行われたが決め手を欠き、事件は迷宮入りする。そんななかで被害者の母親が4人に求めたのは、犯人をみすみす逃してしまったことに対する贖罪。それはその後も15年間にわたって容赦なく続いたため、4人の人生は大きく歪み、そして不幸の連鎖を招いていく・・・・・・。
momocoの「贖罪のここが好き!」
小泉今日子が演じるのは娘を殺された母親。「あんたたちがバカだから犯人が半年もみつからないのよ」「何としても犯人をみつけなさい。できなきゃ、あたしが納得するような償いをしなさい」と4人の同級生に言い放つシーンにえも言われぬ凄みがあります。贖罪を命じられた同級生役の蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴。そして大学時代の恋人として登場する香川照之の怪演もさっすが!ただひとつ哀しいのは、初放送からわずか5年で、犯人が「娘にしてしまったこと」を、あっても不思議はないと受け容れてしまっている自分がいること。それほど渇いた時代を生きているということなんでしょうね。
【第13位】密告はうたう 警視庁監察ファイル
DATA
初回放送日:2021年8月22日(全6話)
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:内片輝 脚本:鈴木謙一音楽:大間々昂
キャスト:松岡昌宏、仲村トオル、泉里香、池田鉄洋、三浦誠己、眞島秀和、戸塚祥太、秋元才加、甲本雅裕、鶴見辰吾、他
原作:伊兼源太郎『密告はうたう 警視庁監察ファイル』( 実業之日本社)
ストーリー
主人公は、警察官の不正を取り締まる人事一課監察係の佐良正輝(松岡昌宏)。捜査一課の刑事だったが、ある殺人事件の捜査中に後輩の斎藤康太(戸塚祥太)が殉職。その責を負って捜査一課を追われ、刑事や鑑識からは「仲間を見殺しにしてジンイチ(人事一課)へ行った裏切り者」と敵視されながら監察業務を行っている。そんなある日、一通の密告文が人事一課に届く。内容は、捜査一課時代の同僚で斉藤の婚約者だった皆口菜子(泉里香)が、不正に機密データを漏らしているというものだった。佐良はかつての仲間を洗うことに葛藤を覚えながらも、係長の須賀透(池田鉄洋)とともに皆口の行動確認を開始する。すると、ある未解決の殺人事件との接点、そして斎藤の殉職事件の真相が浮かび上がってきた・・・。
momocoの「密告はうたう 警視庁監察ファイルのここが好き!」
皆口の行動確認を通じて真相が明らかになっていく未解決事件の背景にあるのは、「失点が付いたら即、脱落」という、警察組織における出世レースの悲哀。刑事が手柄を焦ったために起きたちいさなミスと油断。その薄っぺらさにリアリティと恐怖を覚えます。少子高齢化による人材不足は、警察組織とて例外ではありません。大切な人を失ったとき、警察をあてにせず、自ら捜査して犯人を捜す時代は、もうすぐそこまできているのではないでしょうか。
【第14位】TOKYO VICE(2シーズン)
DATA
初回放送日:シーズン1/2022年10月22日(全8話) シーズン2/2024年4月6日(全10話)
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:マイケル・マン、ジョセフ・クボタ・ラディカ、HIKARI、アラン・プール 脚本:ジェイク・エーデルスタイン、J・T・ロジャース(英語版)、ナオミ・イイヅカ音楽:ダニー・ベンシ、サウンダー・ジュリアンズ
キャスト:アンセル・エルゴート、渡辺謙、レイチェル・ケラー、菊地凛子、伊藤英明、笠松将、山下智久、伊藤歩、豊原功補、萩原聖人、菅田俊、谷田歩、他
原作:ジェイク・エーデルスタイン『トウキョウ・バイス: アメリカ人記者の警察回り体験記(英語版)』
ストーリー
物語の舞台は1990年代の東京。主人公は、東京の大学を卒業後、日本の大手新聞社に就職したアメリカ人の青年ジェイク(アンセル・エルゴート)。警察担当記者となった彼は、ヤクザ絡みの事件を手練で解決する刑事・片桐(渡辺謙)との出会いをきっかけに、後戻りできない闇社会へと入り込んでいく。
momocoの「TOKYO VICEのここが好き!」
HBO MaxとWOWOWの日米共同制作で、監督が私のなかで殿堂入りしている「インサイダー」「ヒート」を撮ったマイケル・マン。主役が「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴートとくれば見逃すわけにはまいりません。90年代の極道の世界を外国人記者を通して描くというのも今までになかったので期待して視聴しました。
印象に残ったシーンは2つ。1つは#1「新聞記者」で入社試験前のジェイクがクラブ(ディスコ)で踊るシーン。わたしは90年代の東京のディスコで踊った経験はありませんが(大阪ならあります)、思わず見とれてしまいました。選曲もいいですね。
2つめは#5「因果応報」で戸澤(谷田歩)が愛人の美咲(伊藤歩)とベッドで絡むシーン。勃起不全の極道を気遣う言葉とその返事に唸りました。
難点を挙げるとすれば、日本語と英語が混在すること。海外では複数の言語が飛び交う作品は珍しくありませんが、組員がつくる味噌汁の味に文句をつける90年代の組長が英語で話すのは違和感しかありません。
【第15位】闇の伴奏者/闇の伴奏者~編集長の条件~
DATA
初回放送日:「闇の伴奏者」2015年10月(全5話)/「闇の伴奏者~編集長の条件」2018年3月(全5話)
WOWOWオンデマンド:配信中
監督:三木孝浩 脚本:佐藤大、阿相クミコ 音楽:グランド・ファンク
キャスト:松下奈緒、古田新太、田中哲司、要潤、藤井美菜、藤井美菜、野間口徹、池田鉄洋、真野響子、森本レオ、平田満、津田寛治、白石隼也、今野浩喜、小宮浩信(三四郎)、八木亜希子、温水洋一、前野朋哉、田中泯、平泉成、岩松了、他
原作:長崎尚志『闇の伴走者―醍醐真司の博覧推理ファイル―』『編集長の条件 ―醍醐真司の博覧推理ファイル―』(新潮文庫刊)
ストーリー
『闇の伴奏者』巨匠と呼ばれた人気漫画家の一周忌に、自宅から未発表作品が発見される。その内容が35年前の未解決連続女性失踪事件に酷似していたことから、漫画家の未亡人が詳しい調査を依頼する。それを担当することになったのが、漫画に疎い元警察官での女性調査員と、マンガのうんちくを語らせたら右に出る者がいないフリーのマンガ編集者だった。やがて二人は、マンガのなかに殺人鬼の犯罪の目撃者がいたことに気づく。
『闇の伴奏者~編集長の条件~』かつて一世を風靡した伝説の漫画誌編集者・南部が、中堅出版社が発売している漫画雑誌の編集長に就任する。しかし、その直後にビルの屋上から転落死し、警察は事故として処理するが、その死には不可解な謎が多く残されていた。出版関係専門の調査員・水野優希と、偶然にも南部の後釜として編集長に就任した醍醐真司は、死の解明に乗り出す。故人が残した作者不明の古い画稿をもとに調査を進める2人は、戦後最大の未解決事件「下山事件」にたどり着く。
momocoの「闇の伴奏者のここが好き!」
いちばん好きなのは……実はロゴ。わたし、デザインの勉強もしていたので、こういう手作り感のあるフォントには引きつけられてしまってついつい見てしまった、という作品です。ですからあまり期待していなかった分、面白く感じたともいえますが、ノンブルを打っていない原稿の状態でページをシャッフルすると、まったく違う物語として完成する可能性がある、というのはマンガならでは。世界としてはすごく狭いのですが、過去の事件や出来事を探り、紐解いてくドラマの題材としては新しさを感じました。
WOWOWドラマを視聴するのに最適な動画配信サービス
今回紹介した作品はWOWOWオンデマンドで配信中です。
WOWOWの代名詞と言える社会派サスペンスを中心に約200作品を見放題で視聴できますよ。
月額料金は2,530円(税込)です。
ぜひ公式サイトをチェックしてください。
【参考記事】WOWOWオンデマンドのサービス、料金、加入・視聴方法などを解説します!
※掲載している情報は2024年1月6日現在のものです。
コメント